自動運転車レベル テスラだけで3種類 日本で買う前に知るべき「レベルの実態」

FSD日本解禁はまだ先



自動運転車のレベルは、機能の名前だけでは中身が分かりにくくなっている。米EV大手テスラ(Tesla)だけでも、日本で使える「基本の運転支援」、日本では未提供の「運転支援機能FSD」、自動運転ロボタクシー向けの専用車「Cybercab(サイバーキャブ)」と、性格の異なる3つが並ぶ。


テスラは2026年10月、欧州でFSDの名称を「Tesla Assisted Driving」(運転支援)に改めた。国内自動車大手のトヨタ(Toyota)は2028年に自動運転レベル2++を市販車へ導入する方針で、日産(Nissan)も2027年度に次世代の運転支援を投入する。本記事では、呼び名と実態の違いを踏まえ、日本の消費者が購入前に確認すべき点を解説する。

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■「テスラだけで3種類」 呼び名は3つでも自動運転レベルは2と4

まず「3種類」の意味を説明する。ここでいう3種類は、自動運転レベルが3段階あるという意味ではない。日本の購入者の目線でテスラの機能を並べたときの、呼び名と提供形態の3区分を指す。

3区分のうち2つは自動運転レベル2で、残る1つがテスラ自身の位置づけで自動運転レベル4にあたる。つまり、名前は3つでも、レベルは2と4の2種類しかない。

日本で買える基本の運転支援は自動運転レベル2

いま日本でテスラを買う人が使えるのは、前の車に付いて走り、車線の中央を保つ基本の運転支援である。運転の責任は常にドライバーにあり、一般に自動運転レベル2に分類される。この記事では、これを「基本の運転支援」と呼ぶ。


FSDも自動運転レベル2のまま 欧州では「アシスト」に

FSDは名前に「Full Self-Driving」とあるが、自動運転レベル2である。運転者が常に監視し、責任を負う。オランダの自動車認可当局RDWは2026年4月10日に、FSDの型式認定を出した。

そのFSDの名前が欧州で変わった。経緯は次の通りである。

  • 2026年9月:テスラが協議の場で改称を提案(ビルガー独運輸相の説明)
  • 2026年10月6日:ドイツ運輸省が「FSDという名称は誤解を招く」と発表
  • 2026年10月8〜9日:テスラが欧州の公式サイトで表記を「Tesla Assisted Driving」に変更
  • 2026年12月以降:EU全域の承認投票(延期により早くてもこの時期)

米国の公式サイトは「Full Self-Driving」に「Supervised」を添えた表記のままで、月額は99ドルである。

では日本はどうか。テスラジャパンは2025年8月20日のX投稿で、FSDの国内リリース時期について次のように説明している。
「国内リリース時期は、弊社開発状況及び規制当局の許認可に依存します」


その後の国内の動きは次の通りである。

  • 2026年3月6日:テスラジャパンが、FSDの国内導入を2026年中に目指すと公表
  • 2026年9月時点:提供日、価格、対象車種は未発表
  • 2026年10月27日時点:提供開始の発表はなし

日本向けの利用規約も、市街地でのオートステアリングは未展開としている。

Cybercabは自動運転レベル4設計 日本の展開・販売時期は未定

Cybercabはハンドルとペダルがない2人乗りの専用車で、2026年4月に量産が始まった。テスラは自社の緊急対応資料で、米自動車技術会SAEが定める自動運転レベル4と位置づけている。政府の認証ではなく、テスラ自身の位置づけである。決められた条件の中では、運転の主体がシステムにあり、人は運転しない。

米国では、テスラの自動運転配車サービスRobotaxi(ロボタクシー)が複数の都市で無人運行している。ただしCybercabの配車は、10月21日の2026年7〜9月期決算説明会の時点で、テキサス州オースティンだけである。テスラのラース・モラヴィ氏は、年内に顧客へCybercabを届けたいと述べた。一方で、現在の生産分の大半は、テスラが自社で運行する車両向けだ。

同じCybercabでも、ハンドルとペダルを付けた車は、テスラの資料で自動運転レベル2の試験車両と明記されている。名前が同じでも、レベルは変わる。

日本の状況は異なる。Cybercabは2026年9月11日に東京・青山で日本初公開され、東京、大阪、名古屋、新宿で9月28日まで展示された。テスラジャパンは、日本での展開や販売の時期を未定としている。橋本理智社長は、日本の法整備と車両の安全性が整った段階で展開したい考えを示し、まずは国内でのFSD解禁を最優先に取り組むと述べた。

【自動運転ラボの視点】
同じテスラでも、運転の責任が人にある車とシステムにある車が混在する。名称やレベルの数字だけでなく、責任の所在と、どの条件で作動するかを確かめることが、日本の購入者にとって重要になる。

■自動運転レベルの定義 「レベル2++」は正式な区分ではない

自動運転レベルは、運転の主体が人かシステムかで分かれる。米自動車技術会SAEが定める区分は0から5までの6段階で、日本でも広く使われている。

自動運転レベル0から2までは、運転の主体は人である。システムは加速や操舵を助けるだけで、事故が起きたときの責任はドライバーが負う。

レベル3以上は、決められた条件の中で運転の主体がシステムに移る。レベル3は、システムが対応できない場面で人が運転を引き継ぐ。レベル4は、決められた条件の中なら引き継ぎも不要で、無人で走れる。米Google系の自動運転開発企業ウェイモ(Waymo)の無人タクシーが、レベル4の代表例である。

では「レベル2++」とは何か。数字に+が付くが、SAEの正式な区分ではない。高度になったレベル2を指す業界の呼び名で、法律上はレベル2のままである。国土交通省は、これを「ドライバー関与をほぼ必要としない高度な運転支援」と位置づけている。市街地でも手放し運転ができる機能が想定されるが、運転の責任はドライバーに残る。レベル3との分かれ目はここにある。

日本で市販された自動運転レベル3の車は、国内自動車大手のホンダ(Honda)が2021年3月に発売したレジェンドが世界初の例である。ただし限定100台のリースで、一般の購入者が手にできる車ではなかった。現在は生産を終了している。

【参考】関連記事としては「自動運転レベル2+、レベル2++とは?」も参照。

■トヨタ2028年、日産2027年度 国内勢が「レベル2++」を選ぶ理由

トヨタは2026年8月27日に、2028年をめどに個人向けの市販車へ自動運転レベル2++を導入すると発表した。普及価格帯の車から始め、2030年以降に搭載車を広げる。市街地を含む手放し運転ができるが、運転の責任はドライバーに残る。中核となるAIは内製し、安全対策の仕組み(ガードレール)を組み合わせる。具体的な車種は公表されていない。

日産は、次世代の「ProPILOT(プロパイロット)」を2027年度に日本で発売する。2027年度は、2027年4月から2028年3月までを指す。英AI開発企業Wayve(ウェイブ)の運転AI「Wayve AI Driver」に、次世代のLiDAR(光で距離を測るセンサー)、11台のカメラ、5個のレーダーを組み合わせる。2025年9月には、東京・銀座の一般道でハンズオフ走行を披露した。

ここで注意したいのは、レベルの呼び方が立場で分かれる点だ。日産自身は、次世代プロパイロットを自動運転レベル2相当と説明している。一方、国土交通省はこれをレベル2++相当と定義している。同じ技術を、メーカーは「レベル2」、国は「レベル2++」と呼んでいる。

国土交通省は、こうした高度な運転支援を対象にした優良認定制度の創設を目指している。年内の創設を目指す段階で、制度はまだできていない。

トヨタも日産も、自動運転レベル3ではなくレベル2++を選んだ。日産はレベル2を選んだ理由に普及を挙げている。トヨタも普及価格帯から展開する。責任をドライバーに残す形なら、価格を抑えながら市街地の手放し運転を広げやすい、と読み取れる。

【参考】関連記事としては「トヨタ ついに2028年に自動運転車を発売へ」も参照.

トヨタ ついに2028年に自動運転車を発売へ

■日本の消費者は何を買えばいいのか 購入前に確認する4点

日本の消費者が購入前に確認したい点は、主に次の4つである。特定の車種に限らず、どの車にも当てはまる。各社の位置づけは以下の表の通りだ。

区分自動運転レベル運転の責任日本での時期
テスラ 基本の運転支援レベル2ドライバー現在提供中
テスラ FSDレベル2ドライバー2026年中の導入を目標。提供日は未発表
テスラ Cybercabテスラはレベル4と位置づけシステム展開・販売時期は未定
トヨタレベル2++ドライバー2028年をめど
日産 次世代プロパイロット日産はレベル2相当※国はレベル2++相当ドライバー2027年度

運転の責任は誰にあるか

最初に見るのは、事故のときに責任を負うのは誰かである。FSD、トヨタのレベル2++、日産の次世代プロパイロットは、いずれも運転の責任がドライバーに残る。手を離して走れても、前を見て、いつでも運転を引き取る必要がある。システムが運転の主体になるのは、自動運転レベル3以上である。

提供時期が公式に決まっているか

次に、提供時期が公式に発表されているかだが、テスラのFSDは、日本では2026年中の導入が目標で、提供日、価格、対象車種は未発表だ。Cybercabは展開や販売の時期が未定である。トヨタは2028年をめど、日産は2027年度と時期を示しているが、いずれも発売前の計画にとどまる。

国の制度と法規は整っているか

三つ目は、国の制度が整っているかである。ハンズオフに関する国際基準の改定を反映した国内法規は、2025年9月下旬に施行された。対象は高速道路でのハンズオフである。高度な運転支援を対象にした優良認定制度は、創設を目指している段階で、中身はこれから固まる。購入を検討する際は、その車の手放し運転が高速道路だけか市街地でも使えるのか、また今後創設される優良認定の対象となる見込みがあるかを、販売店やメーカーの公式発表で確認するとよい。

名称ではなく作動条件と責任範囲で比べる

最後に、名称やレベルの数字ではなく、作動条件と責任範囲で比べる。確認する点は三つある。どこで手放しができるのか。高速道路だけか、市街地も含むのか。どんな場面で運転を人に戻すのか。そのとき責任は誰が負うのか。同じ「レベル2」でも、これらは車ごとに違う。

■自動運転車は名称ではなく、運転の責任と作動条件で選ぶ

欧州でのFSD改称は、呼び名と実態をそろえる動きの一つである。名前が「Full Self-Driving」から「Tesla Assisted Driving」に変わっても、車の中身は変わらない。レベル2は、レベル2のままである。

テスラの3種類も、自動運転レベルで見ればレベル2と4の2つだ。日本で今日使えるのは基本の運転支援で、FSDは導入が目標の段階、自動運転ロボタクシー向けのCybercabは展開・販売の時期が未定である。トヨタと日産の動きも、発売は2027年度から2028年ごろと先になる。

日本で自動運転車を選ぶときは、名称やレベルの数字ではなく、運転の責任、作動条件、提供時期の公式な発表を確認することが大切だ。各社の今後の動向に注目したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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