中国のベンチャー企業であるWeRideの道路清掃向け自動運転車「Robo Street Sweepers」がこのほど、深センで試験運用の許可を取得した。広州や北京、大連ですでに試験運用が開始されており、急ピッチで事業が拡大している状況だ。
中国メディアによれば、今回の許可により、深センでも2023年7月11日から配備が開始された。なお、今回試験運用が開始された深セン市平山区は、コネクティッドモビリティを法的に支援している中国初の行政区だという。
【参考】関連記事としては「競争相手が少ない自動運転清掃車!中国WeRideが発表」も参照。
■人件費を平均57%抑える効果
WeRideは2022年にRobo Street Sweepersを発表し、同年5月から広州の公道での試験運用を開始している。大規模な路上テストののち、販売を開始する予定だとしていた。
当時4カ月にわたるテストを行い、従来の清掃方法と比較してCO2(二酸化炭素)排出量を累計26,791キロ削減し、人件費を平均57%抑えることができたという結果を残している。
この車両は、掃き掃除や洗浄、噴霧、水洗いなどのさまざまな作業を可能にする自動運転道路清掃車だ。歩行者や障害物を回避しながら自動運転し、道路清掃や粉塵抑制、消毒などの作業を効率的に行うことができる。
さらに、独自のクラウド制御プラットフォームと統合されており、オペレーターは車両の稼働ルートや状況などをリアルタイムで遠隔監視できるという。このプラットフォームにより効率的なスケジューリングや遠隔制御、ルート管理なども可能で、車両の充電や水の補充、廃棄物処理、駐車といった作業も自動で行うことができる。
■2017年設立、無人タクシーの開発も
2017年設立のWeRideは、道路清掃の自動運転車だけではなく、自動運転レベル4(高度運転自動化)の無人タクシーサービスの開発に注力している企業で、中国広州に本社を置き、中国各地と米サンノゼに拠点を持つ。
2020年7月には広州において、完全無人の自動運転タクシーの実証をスタートしている。2021年4月には米カリフォルニアにおいて、セーフティドライバーなしの自動運転車の公道試験許可を取得しており、中国と米国の両方で自動運転テストの許可を取得した世界で初めてのスタートアップとなった経緯がある。
2023年1月には、北京市での自動運転ミニバスの路上テスト許可を取得、北京ハイレベル自動運転実証エリア全域の公道で、自動運転走行が可能になった。また同年2月には、広州市の科学都市で初の自動運転ミニバス路線を開業したことを発表している。この路線では、ハンドルや運転席がない自動運転レベル4のミニバスが運行するという。
自動運転タクシーについては、2022年10月に北京市の実証エリアでの自動運転テスト走行の許可を取得、さらに2023年7月には、同エリアで完全ドライバーレスの自動運転タクシーの運行許可を取得している。
■中東でライセンス取得、世界展開が視野
WeRideは2023年7月に、アラブ首長国連邦(UAE)で自動運転車の国家ライセンスを取得したことを発表した。これにより、UAEでレベル4の自動運転車の走行が可能になった。またサウジアラビアでも自動運転車を展開することを2022年に発表している。
同社が開発するのは、自動運転タクシー(ロボタクシー)やロボバス、ロボバン、今回の自動清掃車と、多岐に渡る。米中のほか、中東にも進出するWeRideに引き続き注目していきたい。
▼WeRide公式サイト
https://www.weride.ai/
【参考】関連記事としては「自動運転、アメリカも中国も「中東」でセールス強化 オイルマネーに照準」も参照。