すでにアメリカや中国で自動運転タクシーの商用サービスが始まっている。しかし、商用サービス開始までの道のりは決して平坦ではない。国や自治体との折衝、地域住民への周知、法規制の遵守…。超えるべきハードルはたくさんある。
しかし、このようにハードルが多いのは、こうした自動運転タクシーの運行フィールドが「公道」であるからだ。
こうした中、自動運転技術の導入ハードルが低いあるフィールドが注目を集めている。それが「大学キャンパス」だ。私有地であることから法的なハードルも低く、走行エリアが限定されることから高精度3D地図データなども比較的に容易に作製しやすい。
こうしたことを背景に、すでに大学キャンパスでの自動運転車や自動運転宅配ロボットの導入に挑む企業は国内外で少なくない。そしてその急先鋒の1社が、アメリカのスタートアップ企業であるStarship Technologies(スターシップ・テクノロジーズ)だ。
■米Starship Technologies、早期に100大学で導入へ
Starship Technologiesは2014年にSkypeの共同創業者によって設立され、自動運転配送ロボットの開発・展開に力を注いでいる。
同社はこれまでに大学15校で自動運転配送ロボットによるデリバリーサービスを開始しており、毎月のように導入大学を増やしている。
現在はコロナ禍によって大学で対面授業があまり行われていないこともあり、事業の拡大ペースに影響が出ているようだが、早期に100校まで事業を拡大することを目指しているようだ。
■移動サービスだけではなく、宅配でも自動運転技術が活躍
Starship Technologies以外の取り組みにも注目だ。例えば同じ米国では、自動運転低速シャトルバス「Olli(オリ)」を開発・提供する米Local Motors(ローカル・モーターズ)が、2018年にニューヨーク州立大学バッファロー校と提携し、大学内でOlliの運行を開始している。
日本でも大学キャンパスでも導入に向けた取り組みが進められている。例えば埼玉工業大学は、これまでに最寄りの駅と大学キャンパスを結ぶ自動運転バスの導入に向け、実証実験を実施した実績がある。
移動サービスではなく宅配サービスで、大学構内で自動運転技術を活用しようという動きもある。ロボットベンチャーZMPは自社開発の「DeliRo」を使い、2019年に慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスでコンビニの商品を配達する実証実験を実施した。
■【まとめ】大学での「コンタクトレス」への関心度アップへ
新型コロナウイルスの影響もあって、人との接触を極力減らす取り組みへの注目度が高まっている。そのため、コンタクトレスな「大学×自動運転」の取り組みはより社会から関心を集めることになりそうだ。
冒頭触れたように「私有地」という特長も生かし、大学キャンパスで自動運転シャトルや自動運転宅配ロボットの導入が今後加速していくことが予想される。
【解説】関連記事としては「自動運転技術、テーマパークでは以前から身近!”私有地”での実証実験の場にも」も参照。