自動運転技術、テーマパークでは以前から身近!”私有地”での実証実験の場にも

導入されている国内のテーマパークまとめ



出典:さがみ湖リゾートプレジャーフォレスト・公式サイト

夏休みにテーマパークなどに出掛けた人やこれから出掛ける人も多いことであろう。そんなテーマパークで、以前から自動運転カートが身近なアトラクションとして活躍していることをご存じだろうか。

公道での自動運転には法律上の制約があるが、テーマパークという「私有地」であれば基本的には自由に走行が可能だ。走行するルートも自由に設計でき、他の車などが走っていないという点も大きい。


「自動運転」というキャッチフレーズでアトラクションを宣伝すれば、集客にもつながる。自動運転技術を活用したアトラクションは、テーマパークの運営会社が事業の収益性を高めることにも一役買うわけだ。

今回は「自動運転×テーマパーク」を切り口に、以前からあるアトラクションとしての自動運転カートや、私有地であるテーマパークを舞台にした最近の自動運転の実証実験の事例を紹介していく。

■事例1:さがみ湖リゾートプレジャーフォレスト

さがみ湖リゾートプレジャーフォレストでは、「バンピーカート」と呼ばれる自動運転カートが活躍している。4人乗りのカートで、1回の体験が500円というアトラクションとなっている。

子どもが運転しているような気分になれるということで人気のアトラクションで、電磁誘導式の自動運転技術が活用されている。道路に埋め込まれたマグネットを車両が検知しながら進む仕組みだ。


2019年11月25日から12月1日にかけては、仏Navya社製の自律走行バス「NAVYA ARMA」の走行実証も行われた。富士急行やBOLDLY(現SBドライブ)と連携して実施され、一般客もこのバスに乗車して自動運転技術に触れた。

■事例2:愛・地球博公園

ティアフォーは自動運転車両を使ったモビリティサービス「One Mile Mobility(OMM)」の試験運用を開始している。このサービスでは、電動ゴルフカートを改造した4人乗りの完全自動運転EV「Milee(マイリー)」を使っている。

2019年2〜3月にかけ、愛知県長久手市の「愛・地球博公園(モリコロパーク)」の公園管理道路内で試験運用を行い、同年11月には「自動運転社会実装実証事業-集客施設モデル」の実証実験として、自動運転カートとARコンテンツを組み合わせたアトラクションも展開された。

自動運転カートとARコンテンツを組み合わせたアトラクションでは、自動運転で公園内を走行中にARグラスをかけると登場するキャラクターから園内の説明を受けられ、運転に集中しなくても良い環境ならではの体験が提供された。


■事例3:ナゴパイナップルパーク

沖縄県名護市の「ナゴパイナップルパーク」はパイナップルの専門テーマパークで、電動ゴルフカートを使った電磁誘導式の自動運転がアトラクションとして提供されている。大人1000円を払うと、約6分間の自動運転カートによる園内ツアーに参加できる。

沖縄県の離島・古宇利島にある「古宇利オーシャンタワー」においても同じ仕組みの自動運転カートが用いられており、駐車場からタワーの建物までを案内してくれている。ただし、こちらは勾配が大きいためガソリンタイプの車両を使っているということだ。

■事例4:八ヶ岳富士見高原リゾート

高原の自然やキャンプなどを楽しむことができる長野県の「八ヶ岳富士見高原リゾート」。ここでは自動運転カートを使った「天空の遊覧カート」というアトラクションがある。景色を見ながら標高1420メートルまで上がれ、世代を問わずに人気となっている。

リゾート内の特定エリアを自動運転カートで1周する「白樺カート」というアトラクションもある。こちらも電磁誘導式のゴルフカートだが、ペットも一緒に乗れるということが特徴だ。

■【まとめ】まず私有地で普及が加速!?

自動運転技術は「最先端技術」というイメージを持つかもしれないが、自動運転カートが導入されているテーマパークにおいては、すでに身近に体験できるようになっている。

テーマパークだけではなく、いまさまざまな私有地で自動運転サービスが導入され始めている。例えば、自動運転スタートアップの米Voyage Autoは、カリフォルニア州のリタイアメントコミュニティで自動運転の移動サービス実証を行っている。

リタイアメントコミュニティでは退職したシニア層が生活しており、敷地内はゲートで区切られて基本的には住民以外が入ることはできないようになっている。つまり私有地だ。ここで退職したシニア向けに自動運転の移動サービスが提供されている。

テーマパークやリタイアメントコミュニティ…。自動運転の導入は私有地でまず進むということを改めて感じさせる。

【参考】関連記事としては「自動運転、マネタイズは「ビルの中」から 宅配ロボの需要」も参照。


関連記事