自動運転化・コネクテッド化が金融業界にもたらす変化とは? 新サービス続々登場で決済機会が増加

新たなビジネスチャンスを掴むのは誰?


自動運転車の実用化に向け、開発競争が繰り広げられている自動車業界。開発の軸はいかに安全性を高めるかに置かれているが、一方で多種多様な業界が熱い視線を送っているのが、自動運転車の実用化に付随する新規ビジネスやサービスだ。







自動運転車が完成すれば、ドライバーは運転から解放され、目的地にたどり着くまでの間自由な時間を過ごすことができる。自動車は従来の「クルマ」という概念から解き放たれ、移動するための個室的空間に変わる。

自由な時間と自由な空間が新たなビジネスを呼び込み、大小さまざまなサービスが産声を上げることが予想されるが、その裏側で大きな需要を見込まれるのが新たな決済サービスだ。キャッシュレス化が進み、携帯キャリア決済やオンライン決済などと同様、自動運転車向けの決済サービスが求められる可能性は思いのほか高い。

自動運転車の実用化に伴い、どのようなビジネスやサービスが誕生するのか考察してみよう。

■コネクテッド化に伴うビジネスチャンス

自動運転は現在レベル2(部分運転自動化)の普及段階であり、あくまで運転を支援するレベルだが、コネクテッドカーの実用化はすでに始まっており、トヨタ自動車は2018年6月から新車種などを対象に車載通信機(DCM)の標準搭載を開始し、コネクテッド化を進めている。

現在は安全面を支援する機能が大半を占めているが、ICT端末としての機能を有するコネクテッドカーは、安全性をはじめ快適性、娯楽性の向上に資するポテンシャルを秘めており、今後さまざまなサービスやビジネスの展開が予想される。

【参考】トヨタのコネクテッドカーについては「LINEから操作可能に!? トヨタカローラがコネクテッドカーに変貌|自動運転ラボ」も参照。

安全性・セキュリティに関して

自動運転車は、自ら搭載するセンサーが検知した情報だけでなく、周囲の交通状況などさまざまなデータをネットワークを介して外部とやりとりし、集積・分析することでより安全性を高める。

基本的なデータに関しては無料サービスが望ましいが、インフラ整備や維持のため増税措置や自動運転車の所有者に一律課金されることも考えられ、特に付加価値の高い情報に関してはオプションのような形で別途課金されるといったことも想定される。

ビジネスとしては、セキュリティ関連も間違いなく伸びる分野だ。パソコンのウイルス対策ソフトのように、自動車向けのサイバーセキュリティサービスが登場するほか、無人運転だからこそ追跡サービスや自動通報など盗難対策機能も強化されるだろう。

このほか、自動運転車専用の自動車保険が登場し、保険会社と提携した付加サービス提供事業者によるオプション課金なども考えられる。

効率性や快適性に関して

リアルタイムで情報の送受信が可能な高精度3次元地図・ダイナミックマップが実用化されることで、目的地までのより効率的なルート提案が可能となる。既存の時間優先ルートなどをはじめ、乗り心地優先ルートなどきめ細かなサービスを生み出すことができ、付加価値の高い有料メニューが登場するかもしれない。

また、ドライバーの健康状態や疲労などをカメラ映像や生体センサーで探知し、最適なサービスを提案するシステムや、スマートフォンを用いて自動運転車を呼び出すなど遠隔操作する機能も充実してくるものと思われる。そういった分野でも新規サービスやビジネスのアイデアが膨らみそうだ。

娯楽性・エンタメ領域に関して

コネクテッドカーの中でビジネスとして最も成長するのが娯楽・エンターテインメントの分野だと思われる。携帯電話がスマートフォンに進化し、普及とともにアプリをはじめとした関連ビジネスが急成長を遂げたのと同様のことが自動運転コネクテッドカーでも起こる。

完全自動運転車が実用化されれば、従来の運転席は必要なくなり、ハンドルの代わりにエンターテインメントシステムを搭載するクルマも出てくるだろう。

スマートフォンと異なり、クルマであれば機器をコンパクト化する必要もなく、映画や音楽、ゲームなどハイスペックなクオリティで楽しむことが可能だ。さらに、時間やロケーションなどその時のドライブ環境に合わせた音楽を流すサービスや、位置情報を活用しクルマを走らせることで進行するゲームなど、クルマならではのコンテンツとして面白そうだ。

このほか、やや遠隔地の飲食店や観光地などを結び付けたラリーイベントなど移動を伴うサービスや、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)といった技術を融合させたコンテンツも誕生するものと思われる。

運転という労務から解き放たれたドライバーは、自宅にいるかのように睡眠や勉強、食事など自由な時間を過ごすことができるため、そこに新たな提案・ビジネスチャンスが生まれるのだ。

■自動運転化に伴うビジネスチャンス

ライドシェアに代表される自動車を活用したサービスが、自動運転の実用化によっていっそう進化・普及する。

シェアリングサービス

ライドシェアはドライバーが無人化されることで、同一の目的地に相乗りするサービス以外は、実質的にマイカーをシェアする形態と統合される。また、自家用車を保有する家庭も減少し、カーシェアやパークシェアなどの利用者も増加することが予想される。

こういった貸し出しを目的に自動運転車を保有するといった、いわゆる投資対象としての意味合いも創出されるかもしれない。

個室空間としての利活用

運転という労務がなくなれば、自動運転車は移動するための個室空間となる。これを利用して、移動するカラオケルームやパーティールーム、ホテル、会議室、倉庫といったレンタルサービスも可能となる。

社用車を動く支店のような形で運用することもできるだろう。もちろん、無人の移動販売車なども増加することが予想される。

地域に密着した活用

高齢者の買い物代行を自動運転車が行ったり、不審者を検知する無人パトロールカーや街路樹の落ち葉を拾い集める自動運転車が町内を巡回していても決しておかしくはない。自動運転車がさまざまなサービスや労務を代替する可能性は思いのほか広がっている。

■自動運転化・コネクテッド化で増加する決済機会

自動運転車の実用化とともにさまざまな新規ビジネスやサービスが誕生する。サービスの一部は自動運転車に標準装備されるだろうが、新規ビジネスの大半は有料コンテンツとなり、無人であるが故に給油や駐車料金、移動販売などの類も含め現金決済ではなくクレジット決済や電子マネー決済などの機会が間違いなく増加することになる。

その際、MaaS(Mobility as a Service=移動のサービス化)の概念が具現化され、さまざまな決済サービスが垣根なくワンストップで行われるのが望ましく、携帯キャリア決済のように自動運転車専用決済が幅を利かせる可能性もある。

こうした流れは金融業界にとって大きなビジネスチャンスである。自動運転車が、身の回りのあらゆるものがインターネットにつながることを意味するIoTやフィンテックといった潮流を象徴する好例になるのかもしれない。







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