自動運転車の部品・技術開発も手がけるドイツのボッシュ社は2018年4月、自動運転やAI(人工知能)、センサーなどの開発を進める技術研究センターを、新たに米シリコンバレーの中心地域にあるサニーベルに開所したと発表した。報道発表によると、投資金額は3600万ユーロ(約47億円)。
【参考】ボッシュ社はドイツ企業だが、1906年に米国に進出している。米国での従業員数は約1万8000人で、研究開発に携わっているのはそのうち2000人以上に上る。同社は2013〜2017年に総額約13億ユーロ(約1700億円)を米国内で投資している。
ボッシュ社は現在、自動運転に関連した部品開発分野などで日本のデンソーなどと覇権争いを続けている。車周辺の環境を把握するための赤外線レーザースキャナー(LiDAR)の量産化のほか、画像認識技術やミリ波レーダーの開発も進め、自動運転に必要なさまざまなパーツの製造に包括的に取り組んでいる。
今回の開所は、これまでシリコンバレー北端側のパロアルトに置かれていた技術開発センターを、敷地面積や施設規模を拡大してサニーベルに移転した形。センターのスペースは従来より約40%広い約1万平方メートルに及び、最大300人が研究開発に従事できる規模になったという。シリコンバレーの中心地に開発拠点を移転するこにより、最新のトレンドもより把握しやすくする狙いもある。
ボッシュ社はこの施設でAI分野の開発を一層加速させたい考えだ。
同社は2017年4月にドイツのダイムラー社と提携し、共同で自動運転レベル4(高度運転自動化)クラスの自動運転車を2020年までに市販することを目指している。そんな中、特にAI技術の開発を急いできた。
【参考】自動運転レベルの各レベルの定義などの詳しい解説は「自動運転レベル0〜5まで、6段階の技術到達度をまとめて解説|自動運転ラボ 」を参照。
その理由は、システム側が完全に運転を担うレベル4とレベル5(完全運転自動化)においては、AIは重要なキーテクノロジーとなるからだ。ボッシュ社は現在、アメリカの半導体大手エヌビディアとも共同でAI搭載コンピュータの開発を進めており、今回の新たな研究開発センターの開所で、その開発ペースはさらに高まるとみられる。
同センターはボッシュ社のエンジニアリング事業9部門の本拠地にもなる。横断的な技術連携を一層加速させることで、これまでの自動運転技術やAI技術の研究成果を具体的な製品・ソリューションに昇華させていくことにもつなげる。
センター内には、ボッシュ・グループ傘下で世界中のスタートアップへの投資を手掛ける「Robert Bosch Venture Capital GmbH」のオフィスも置かれる。また今回の投資には、同社モビリティ・ソリューションズ事業部傘下の工場を拡充するための費用も含まれているという。
【参考】ボッシュ社はスタンフォード大学やカリフォルニア大学バークレー校などの有名大学と提携し、米国内での研究活動を推進している。今回の新たな技術研究センター開所の詳しい内容は「プレスリリース」を参照。