既にこんなに!?バスの自動運転、日本国内で実証続々

民間企業や私大も開発に熱



出典:相鉄バスプレスリリース

日本では国の方針として、2020年には限定地域における自動運転レベル4(高度運転自動化)の移動サービス、2025年には一般乗用車の高速道路におけるレベル4での走行や一般道でのレベル2(部分運転自動化)の走行などの実現を目指し、官民一体で取り組んでいる。

交通インフラの整備やルールづくりなど飛び越えなければならないハードルは高いが、自動運転の技術開発は各社が進めており、日本各地でさまざまな実証実験が行われている。その中でも特に自動運転バスはいまの公共交通機関の代替になるものとして期待されている。







決められたルートを定刻通りに定期運行するバスは、自動運転との相性がいい。地方の路線バスは赤字運営で便数が減り、さらに利用客が減るという負のスパイラルに陥っているが、自動運転バスが導入されればバス会社のコストが下がり、走行本数の増加や運賃の値下げも期待できる。

この記事では全国で実施されている自動運転バスの実証実験の中から、最近話題になった取り組みを中心に紹介する。

■相鉄バス:大型路線バスを使用した実証実験
出典:相鉄バスプレスリリース

神奈川県横浜市の相鉄バスと群馬大学は2019年9月14日、大型路線バスを使用した自動運転の実証実験として、よこはま動物園正門と里山ガーデン正面入り口の間での運行を開始した。秋の行楽シーズンで賑わう「よこはま動物園ズーラシア」と「里山ガーデン」を行き来する来場者の足となる。1日16往復の運行で、運賃は無料だ。

大型路線バスでの自動運転においての課題解決や郊外での交通ネットワークの維持、人口減少に伴う労働力不足への対応などが実証実験の目的とされている。相鉄バスは群馬大学の技術提供により日本で初めて大型バスの自動運転車両を自社所有し、今後もさまざまな実証実験を通して自動運転レベル4での運営実現を目指す。

■埼玉工業大学:私大として自動運転バスを開発

2019年4月に自動運転の研究組織「自動運転技術開発センター」を設立した埼玉工業大学は、私立大学では初の一般公道を走行可能な自動運転バスの開発に着手している。

この開発プロジェクトは「埼玉県スマートモビリティ実証補助金」に採択されている。バス専用レーンや走行規制された特定コースだけでなく、市街地の一般公道での走行を目指している。

2019年8月には自動運転バスの開発状況を公開し、試乗会を開催した。同月に埼玉県坂戸駅などで地域振興のために開催されている「2019坂戸・夏よさこい」にも出展し、自動運転バスの一般市民への初公開と公道実証実験を行った。

車両はマイクロバス「リエッセⅡ」に自動運転向けAI(AIPilot / Autoware)を実装し、自動運転の目と呼ばれる「LiDAR」やカメラから得た情報を解析・認識して、障害物を回避しながら走行できることが特徴だ。

■小田急グループ:SBドライブと連携、レベル3で実証

2019年8月21日から30日にかけ、ソフトバンク子会社のSBドライブ株式会社と自動運転バスの実用化を目指す小田急電鉄株式会社が、神奈川県の公道で一般人を乗せた自動運転バスの実証実験を行った。

実証実験は条件付き運転自動化の「自動運転レベル3」で車掌も同乗して行われ、運行ルートは片道2キロの往復4キロで、2018年に行われた実験での距離を2倍に伸ばした。車両が信号情報を取得し、交差点に設置したセンサーで対向車の有無を確認して右折するなど、より高度な技術検証に臨んだ。実証実験には日野の小型バス「ポンチョ」をベースとした自動運転車両を使用した。

■【まとめ】厳しい地方交通の維持、自動運転に活路

全国の市町村では多くの公共交通機関が厳しい経営状況となっている。そんな現状を断ち切る希望となるのが、走行ルートが決まっており自動運転技術を導入しやすい自動運転バスだ。安全性の確保は必須だが、早期実現が期待されている。







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