公道実用化前に保険も続々!トラックの自動運転隊列走行

後続車無人の実証進む、有人隊列は2021年にも市場化



官民共同で進められているトラックの隊列走行技術が、着々と確立しつつあるようだ。2021年には後続車有人隊列走行システムが市場化される見込みで、高速道路における新たな物流サービスがまもなく本格化する。







こうした実用化を見据え、隊列走行に関連する周辺ソリューションの実用化も進み始めている。この記事では、隊列走行における実証の進捗状況とともに、隊列走行を取り巻く周辺市場の動向について解説していく。

■進展する隊列走行の実証

経済産業省・国土交通省の事業のもと取り組んでいる最新の実証によると、後続車無人隊列走行技術が確立しつつあるようだ。

国は高速道路におけるトラックの後続車無人隊列走行技術の確立に向け、車両技術の開発とともに、新東名高速道路の「長泉沼津IC~浜松いなさIC間」(約140キロ)で実証実験を進めてきた。

2021年2月には、遠州森町PA~浜松SA(約15キロ)の区間において、後続車の運転席を実際に無人とした後続車無人隊列走行技術の実証を実施した。安全確保のため助手席に保安要員を乗せているものの、3台の大型トラックが時速80キロで車間距離約9メートルの車群を組んで走行することに成功した。

民間企業も隊列走行技術の確立に向け、開発に熱

技術開発面では、東京大学発ベンチャーの先進モビリティやトラックメーカー各社らが隊列走行技術の確立に向け開発に熱を入れている。隊列走行は、先頭車の走行軌跡を自動追従するトラッキング制御、短い車間距離を維持する車間距離制御、後続車両の状況や後方・側方などの道路状況などを的確に先頭車両のドライバーに伝える運転支援の3つを要素技術として開発が進められているようだ。

実証結果が物語る通り、こうした技術の水準は一定レベルに達している。先進モビリティは、今後解決すべき課題として、天候など自然環境の変化への対応、装置故障への対応、割り込みの対応を挙げている。高速道路上を短時間で長距離移動するトラックは、悪天候に見舞われる可能性も高い。システムの高度化を図っていかに冗長性を確保するか、引き続き研究開発に期待したい。

一方、いすゞ、日野、三菱ふそうトラック・バス、UDトラックスの大型車メーカー4社は、日本自動車工業会に設置されている大型車特別委員会を通じ、官民一体となって隊列走行技術の実用化に取り組んでいる。

国が目標に掲げる「2021年までに後続車有人隊列走行システムの市場化」に関しては、定速走行・車間距離制御装置(ACC)と車線維持支援装置(LKA)を組み合わせた技術の商品化で対応していく方針としている。

将来的には、トラックメーカーのみでは対応できない協調領域として隊列走行運行管理システムの構築を目指す計画も打ち出されている。隊列要求の受付や許可、ルート情報、マッチングを図る隊列需給マッチングシステムなど、各社のシステムが高速道路上で協調し、フレキシブルに隊列を形成したり離脱したりできるシステム構築に向け、技術の標準化・規格化に向けた取り組みも進みそうだ。

■隊列走行に関わる保険商品も続々

実証内容の高度化に伴い、関連するソリューションの実用化も始まっている。損害保険ジャパンは2021年4月、先進モビリティとの協力のもと隊列走行特有のリスクを補償する新たな自動車保険プランの開発を発表した。

新たな保険プランでは以下の6点が盛り込まれている。

  • ①電子けん引途絶時の車両運搬・運転者派遣費用
  • ②電子けん引途絶時の積み荷運搬・移動費用
  • ③割込み車等との接触事故に対する補償
  • ④高速道路上での立往生など通行不能損害
  • ⑤車両開発事業者等の被保険者追加
  • ⑥インフラ設備の欠陥等による事故の賠償責任

このうち②③が業界初の補償だという。②は、電子けん引が途絶した場合、車両を速やかに持ち帰り、原因分析などを行う必要があるため、「積み荷を収容している場合にその積み荷を当初目的地まで運搬する費用」や「バスなど乗客を搭乗させている場合にその乗客が当初目的地まで移動する費用」を補償する。

③は、隊列内に二輪車などが入り込むことで発生する事故に対応するため、相手方が自動車であっても相手方過失分も含めて修理費を補償する。

三井住友海上やあいおいも隊列走行に対応した保険を開発

なお、保険分野では三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険も、後続車無人の隊列走行に対応した自動車保険の開発を2019年1月に発表している。他の車両との衝突事故など従来の自動車保険でカバーできる補償に加え、自動走行不能な場合の運転車派遣費用や物損を伴わない道路通行不能損害も補償される内容となっている。

各社とも、引き続き保険商品のさらなる拡充を進めていくものと思われる。隊列走行の実用化においては、公道走行における安全確保とともに、事業者が抱えることになるリスクもしっかりと汲み取っていかなければならず、こうした保険で経済的なリスクをヘッジする仕組みも重要性を増していくのだ。

■【まとめ】各社による保険の開発は今後より熱を帯びていく

物流の効率化に向けた隊列走行の実現が迫る中、各社による保険の開発は今後より熱を帯びるものと考えられる。引き続き、各社の動向に注目していきたい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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