「空飛ぶクルマ」の開発を手掛ける株式会社SkyDrive(本社:東京都新宿区/代表取締役社長:福澤知浩)は2020年1月7日までに、日本で初めてとなる「空飛ぶクルマ」の有人飛行試験を2019年12月より開始したと発表した。
この飛行試験は、SkyDrive社と同社の中心メンバーである有志団体「CARTIVATOR」と共同で行われている。今回開始された飛行試験では、飛行高度や飛行形態、フェール状態や緊急着陸など飛行に関するさまざまなケースを想定しているという。徐々に複雑な飛行や動作を加え、安全性の検証や操作確認、飛行実績を重ね、屋内から屋外飛行試験許可を取得する計画だ。
この取り組みは2019年5月に豊田市とSkyDrive社、CARTIVATORの3社で締結された「新産業創出へ向けた『空飛ぶクルマ』開発に関する連携協定」により実現したものだ。この協定により豊田市にある日本最大級の屋内飛行試験場を活用し、開発スピードを高めることが可能になったという。この有人飛行試験に続き、2020年の夏にはデモフライトを、2023年には空飛ぶクルマの販売開始を予定しているという。
■「空の移動革命」を目指す日本のロードマップ
空飛ぶクルマに関しては、日本では2018年に「空の移動革命に向けた官民協議会」が始まり、空の移動の実現に向けたロードマップを取りまとめている。
ロードマップによれば、2019年以降から2020年代半ばにかけて事業者が飛行試験や実証実験などを行い、そのフィードバックをもとに制度や安全性基準を整備する。飛行試験のための離着陸場所や空域、電波調整の整備などの必要性も記されている。
空飛ぶクルマの事業スタート目標は2023年となっており、2030年代には物流をはじめ、都市部や地方など人の移動でも実用化拡大を目指すという。
【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマの事業化は2020年代 官民評議会でロードマップ素案」も参照。
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■世界各国の企業が「空飛ぶクルマ」の開発に注力
日本や世界でいま多くの企業が「空飛ぶクルマ」開発で切磋琢磨している。例えば東京大学発のスタートアップとして2018年に設立されたテトラ・アビエーションは、一人乗りの空飛ぶクルマである「teTra」の開発を手掛けている。
同社は米ボーイング社がメインスポンサーである個人飛行装置の国際コンテスト「GoFly」の第1ステージで、世界から参加した全3000チームの中でトップ10入りを果たし、第2ステージも突破。2020年3月開催予定の最終ステージ飛行審査に向け、試作機の製作を進めている。
ヘリコプター大手の米Bell Helicopter(ベル・ヘリコプター)は、2019年に開催されたCES 2019で空飛ぶタクシーである「Bell Nexus」を発表した。ベルは日本の宅配最大手ヤマトホールディングスが取り組む「空の輸送」構想で、機体の開発・製造も手がけている。
配車サービス大手の米ウーバーは2023年のサービス実用化を目指し、空飛ぶタクシー「Uber AIR」の開発を進めている。アメリカ国内やオーストラリアでの試験飛行計画も発表されている。
ドイツ勢も有力だ。スタートアップである独Volocopter(ボロコプター)は世界でも先行組で、2017年にはドバイで空飛ぶタクシーの飛行試験を実施している。また2015年に設立された独Lilium(リリウム)の5人乗りの機体「Lilium Jet」は、2019年5月に有人飛行試験に成功している。
航空メーカーの仏エアバスも空飛ぶクルマ開発に向けてさまざまなプロジェクトを立ち上げ、独アウディや米シリコンバレーの企業などと協力している。
【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマの開発企業まとめ 日本と世界、開発進捗は?」も参照。
空飛ぶクルマの開発企業まとめ 日本と世界、開発進捗は? https://t.co/ravlqYnZjn @jidountenlab #空飛ぶクルマ #まとめ #企業
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) September 5, 2019
■【まとめ】市場の有望性見越し、さらに開発活発化へ
空飛ぶクルマは市場としても有望だ。モルガン・スタンレー社によると、空飛ぶクルマは2040年までに全世界における市場規模は1兆5000億ドル(約170兆円)に成長し、世界全体のGDPの1.2%を占めるまでになると予測されている。こうした有望性から今後も各社による開発が活発化していきそうだ。
【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマとは? 仕組みや技術、必要なインフラなど|自動運転ラボ」も参照。