米半導体大手の米NVIDIAは2020年5月21日までに、同社の自動運転プラットフォーム「NVIDIA DRIVE AGXコンピューティングプラットフォーム」を使い、Pony.ai、Canoo、Faraday Futureの3社が車両開発に取り組んでいることを明らかにした。
この記事ではNVIDIAの発表をもとに、各企業がどのようにNVIDIAのプラットフォームを活用して車両を開発しているのか説明していこう。
記事の目次
■「NVIDIA DRIVE AGX コンピューティング プラットフォーム」とは
NVIDIAが提供する「NVIDIA DRIVE AGXコンピューティングプラットフォーム」では同社独自のAI(人工知能)技術が活用されており、自動運転において「頭脳」として機能させることが可能だ。
自動運転で安全走行が可能なように設計されており、エネルギー効率に優れていることも特徴とされる。活用には車両のハンドルやペダル類は不要で、多様なデバイスやOSにも対応しているようだ。
■Pony.ai:大規模なデータ解析を効率よく実行
NVIDIAのこのプラットフォームを活用している企業の一社がPony.aiだ。同社は2016年に創業したスタートアップ企業で、アメリカと中国の両方に拠点を有している。自動運転タクシーの開発をメインに、自動運転トラックなどの開発も行っている。
トヨタが4億ドル(約440億円)出資していることでも知られ、自動運転タクシーの商用サービスを世界で初めて開始したGoogle系ウェイモのライバルに将来的になると目されている。
NVIDIAによれば、同社のプラットフォームを活用することで、自動運転タクシーの実現に向けた大規模なデータ解析を効率よく実行できるという。
【参考】関連記事としては「トヨタが自動運転で手を組む中国ユニコーン「Pony.ai」の正体」も参照。
■Canoo:歩行者の検出や接近車両の通知機能
CanooはBMW出身の3人が立ち上げたEVスタートアップ企業で、米ロサンゼルスを拠点として事業を行っている。最初の車両は2021年に公開予定で、同年までに5万ドル以下のEV車両3種をリリースする予定だという。車を販売するのではなく、月額制サービスとして提供するようだ。
NVIDIAによれば、同社のプラットフォームを活用することで歩行者の検出や前後左右から接近している車両の通知機能などを実装・強化できるという。
Canooは2020年2月には韓国の自動車メーカー最大手である現代自動車とタッグを組み、EVプラットフォームを開発することを発表している。
■Faraday Future:最新モデル「FF91」に組み込み
Faraday Futureは、米カリフォルニア州に本拠を構える2014年創業の中国発EVスタートアップだ。2020年末に発売予定の最新モデル「FF91」にNVIDIAのプラットフォームを組み込んでいるようだ。
2016年のCESでEVコンセプトカーを発表し、「テスラ・キラー」と呼ばれるほど注目を集めた。
■【まとめ】将来のデファクトスタンダードは?
NVIDIAの手掛ける自動運転プラットフォームの存在感が高まっている印象だが、業界では開発に役立つソリューションを提供している企業は少なくなく、将来的にはどの企業のソリューションが業界のデファクトスタンダード的な存在になるのか気になるところだ。
【参考】関連記事としては「自動運転技術@CES 2020、ことごとくNVIDIAの技術が関わっていた」も参照。