日産のコネクテッド機能「NissanConnect」を徹底解説 自動運転も視野に

クラウドやI2V技術、Googleとの提携も





運転支援システム「プロパイロット2.0」や電気自動車(EV)「リーフ」など、先進的な研究開発と実用化を進める日産自動車。カーシェアリング事業にも本格的に参入し、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)のうち3つは順調に事業が進んでいるようだ。







では、残るコネクテッド分野の開発状況はどのレベルに達しているのか。同社のコネクテッドサービス「NissanConnect」に焦点を当て、実用化済みのサービスや今後の開発動向などを探ってみた。

■NissanConnectサービスの利用方法

NissanConnectサービスは、日産オリジナルナビに搭載された通信機能など専用の通信ユニットや対応携帯電話などで情報センターに接続することで、ドライブをより快適にするための情報提供や、オペレーターがナビの操作をサポートするサービスなどを受けることができる、日産のコネクテッドサービスだ。

携帯電話やスマートフォンなどにおけるデータ通信や音声通話の際は、別途通信料などが必要となるが、NissanConnectサービス専用の通信ユニットを利用する場合、10年間パケット通信料を気にせず使用することができる。

サービス利用は、日産車オーナーの限定無料会員WEBサービス「N-Link OWNERS」に登録すればOKだ。

2019年3月時点における、通信アダプタCAN接続(車両データ通信)、NissanConnectのアプリサービス対象ナビに対応した車種は、シルフィ、エルグランド、セレナ、ジューク、エクストレイル、ノート、マーチ、NV150AD、NV350キャラバン、ティアナ、キューブ、デイズ(AA1)など。詳細は車種ごとに確認してほしい。

NissanConnectサービスの機能
機能①:アプリサービス

カーナビゲーション向けに専用スマートフォンアプリを提供しており、大規模駐車場や出先などでクルマを駐車した場所がわからなくなった際にスマートフォンでおおよその位置を把握できる「マイカーファインダー」や、鍵の閉め忘れが気になった際などに離れた場所からドアロックすることができる「リモートドア」などの機能がある。

そのほか、車両で点灯した警告灯の通知をスマートフォンで受信し、警告内容を表示するとともに販売会社へのスムーズな連絡などもできる「警告灯通知案内」、エンジンスタートからストップまでのワントリップごとのドライブデータを確認できる「マイカーデータ(トリップデータ)」などの機能がある。

また、ナビに配信されたNissanConnectメッセージをスマートフォンで確認することなどもできる。

機能②:パーソナルサービス

スマートフォンで使用しているTwitterやGmailをナビで受信し読み上げるなど、「クルマのなかでも便利」な機能を提供するサービスだ。

パソコンなどで専用サイト「ドライブナビプレミアム」で検索した目的地情報をナビに送信することで、乗車にスムーズな目的地設定が可能となる「行き先車メール」、Googleカレンダーをナビに表示し、クルマの中でスケジュール確認できる「Googleカレンダー連携機能」、同様にGmailに届いたメールを確認できる「Gmail連携機能」、Twitterのタイムラインをナビで表示し、読み上げることもできる「SNS連携機能(Twitter)」がある。

機能③:ナビ向けサービス

カーナビ向けのサービスには、ドライバー1人1人に向けたメッセージをナビ画面に表示し、さらに音声で読み上げる機能や、クルマの状況に合わせた車検・点検などの案内メッセージを自動配信する「NissanConnectメッセージ(マイカーお知らせメール)」、リアルタイムの交通情報を情報センターに集約し、渋滞予測を組み合わせることで、目的地への最速ルートを探索する「最速ルート探索」などがある。

そのほか、自車位置(地図情報)とメッセージを特定のアドレスに送信することができる「ここです車メール(スマートフォン対応)」、目的地の天気情報や周辺のレジャー情報など、便利で役に立つ最新情報をいつでも簡単に入手できる「情報チャンネル」がある。

機能④:オペレーターサービス

スイッチひとつでつながるオペレーターに口頭で要望を伝えることができるサービス。ナビの目的地設定をはじめ、レストランなどの飲食店の情報の検索など、ドライバーに代わってオペレーターが面倒なナビ操作を行ってくれる。

■日産のコネクテッド戦略・技術に関するトピックス
2022年度までに全新型車をコネクテッドカーに

同社は2018年3月に発表した中期計画「日産M.O.V.E to 2022」の一環として、電気自動車の拡充や自動運転技術の拡充と進化、およびコネクティビティの加速に向けた計画を発表しており、計画最終年度の2022年度までに、主要市場で発売するニッサン、インフィニティ、ダットサンブランドの全新型車を100%コネクテッドカーにすることとしている。

この目標達成に向け、すべてのコネクテッドカーのデータを一元管理することを可能にする「アライアンスコネクテッドクラウド」の導入に言及している。このクラウドシステムは、インフォテインメントサービスもサポートしており、全車両で無線通信によるアップデートが可能となる。このシステムによって、日産、ルノー、三菱自動車3社がすでに販売している車両から新型車まで、すべてのコネクテッドカーのデータを一元管理することが可能になるという。

将来技術「Invisible-to-Visible(I2V)」で究極のコネクテッドカー体験を創出

日産は米ラスベガスで開催された「CES 2019」で、見えないものを可視化する将来技術「Invisible-to-Visible(I2V)」を発表した。リアル(現実)とバーチャル(仮想)の世界を融合した3Dインターフェースを通じてドライバーに見えないものを可視化し、究極のコネクテッドカー体験を生み出す技術だ。

車内外のセンサーが収集した情報とクラウド上のデータを統合することで、クルマの周囲の状況を把握するだけでなく、クルマの前方の状況を予測したり、通常では見ることができない建物の裏側やカーブの先の状況をドライバーの視野に投影したりすることを可能にする。

また、仮想世界「メタバース」とドライバーや乗員がつながることで、離れた場所にいる家族や友人などが3DのAR(拡張現実)アバターとして車室内に現れ、一緒にドライブしたり運転をサポートしたりすることも可能になるという。

これらの技術により、例えば見通しの悪い交差点の様子や建物の陰に隠れた歩行者などの検知や、渋滞時の先頭で何が起きているのか、どの車線を走行するのが最適か、満車の駐車場でどのくらい後にどの駐車スペースが空くかなどを把握できるようになる。

このほか、雨天時における自動運転の際に、窓から見える雨模様の景色に快晴の景色を重ねて映し出すことや、

プロドライバーのアバターからドライビングレッスンやガイドを受けること、観光地におけるローカルガイドのアバターから車内で観光案内をしてもらうこと、語学講師のアバターから車内レッスンを受けることなども可能になるという。

【参考】Invisible-to-Visible(I2V)については「見えないものを可視化…日産新技術「I2V」の功労者の金言 CES 2019でアピール」も参照。

「アライアンス・インテリジェント・クラウド」発表、コネクテッドサービス基盤を強化

アライアンス3社は2019年3月、自動車コネクテッドサービスの新しいプラットフォーム「アライアンス・インテリジェント・クラウド」の立ち上げを発表した。3社が車両を販売している200もの市場のほぼすべてで、コネクテッドサービスの提供が可能になる。

新プラットフォームは、米マイクロソフトと共同で開発。「Microsoft Azure」のクラウドサービスやAI(人工知能)、IoT技術を活用し、コネクテッドカーから得られる膨大なデータに基づいた高度なサービスの実現に必要となる、安全に車両データを保持、管理、分析するためのプラットフォームとなる。

車両への搭載は、ルノーの新型「クリオ」と、日本および欧州で販売される「日産リーフ」の一部モデルを予定している。

【参考】アライアンス・インテリジェント・クラウドについては「日産ルノー三菱、コネクテッドカー向けの新プラットフォームを立ち上げ」も参照。

6社共同で国内初のセルラーV2X実証実験開始

コンチネンタル・オートモーティブ・ジャパン、エリクソン、日産自動車、NTTドコモ、沖電気工業、Qualcomm Technologiesの6社は2018年1月、日本初となるセルラーV2X(Vehicle to Everything)の実証実験を開始すると発表した。

セルラーV2Xは、国際標準化団体である3GPPで規定された車両とあらゆるものをつなぐ通信技術。ミリ波レーダーやLiDAR、カメラシステムなどの車両に搭載されたセンサー技術の補完として、見通し外となる環境においても、より広い通信範囲やクラウド通信を活用することで、車両の通信能力を向上することができる。

実証実験により、5GHz帯を用いたセルラーV2Xの直接通信技術の通信距離、信頼性、低遅延特性を評価するとともに、LTE-Advanced(LTE-A)ネットワークと通信を相互補完する効果を確認することとしている。

高度インフォテインメントシステムやAndroid活用でGoogleと提携

ルノー・日産自動車・三菱自動車は2018年9月、米Google社と複数年契約に合意したことを発表した。高度なインフォテインメントシステムの搭載やオペレーティングシステムAndroidを使用したサービスの提供の向け、技術提携を結び開発力を高めていく。

この提携により、Androidをアライアンス各社が販売する車両で使用するとともに、Googleマップによるターンバイターン表示のナビゲーションや、Google Playストア上の豊富な自動車用アプリケーションのエコシステムの利用、Googleアシスタントを活用した音声による電話・メールへの応対、メディアの操作、情報検索や車両機能の管理が可能になる。高度な次世代インフォテイメントシステムの車両への搭載は2021年からを予定している。

アライアンスとGoogleをめぐっては、自動運転開発においても両社が提携を進めていることなども一部メディアが報じており、今後の動向に注目が集まっている。

【参考】Googleとの提携については「ルノー・日産・三菱、Android搭載へ…Googleと提携、マップ機能を車両から利用可能に」も参照。自動運転開発におけるGoogleとの提携については「日産・ルノー・三菱自、自動運転開発でグーグル陣営に合流か」も参照。

■【まとめ】Googleとの提携でコネクテッド分野の覇権争いに

日産が実用化しているコネクテッドサービスについては、現状他社と横並びの状況だ。ただ、アライアンスとして力を入れているクラウドシステムは、将来自動運転が実現した際に大きな基盤となるもので、サービスにおけるコネクテッド分野はもとより、自動運転分野におけるコネクテッド技術として進化に期待したい。I2V技術も同様、エンターテインメント性と自動運転への寄与を両立した先進的な技術と言えるだろう。

また、Googleとの提携も要注目だ。スマートフォン市場のOSで覇権を握る同社は、コネクテッドカーの分野においても普及・拡張が容易な質の高いサービスで主導権を握る可能性は十分考えられる。自動運転開発を進めるWaymoともども自動車メーカーとの協業を加速する可能性は高く、コネクテッドサービスの分野においてもGoogleを中心に業界の地図が書き換えられることも想定しておく必要がありそうだ。

【参考】日産の自動運転戦略については「日産の自動運転戦略や技術まとめ EV、コネクテッド化も柱」も参照。







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