死亡事故続く「中国版テスラ」 NIOの車は「自動運転」できない

呼称に潜む危うさを再認識



出典:NIO公式サイト

いま世界的に注目されている中国の新興EV(電気自動車)メーカーと言えば、NIO(上海蔚来汽車)だ。米国市場に上場後に株価が高騰し、「億り人」ならぬ「ニオくり人」(2億り人)という言葉も投資家界隈の間で流行した。

そんなNIOの車両が立て続けに事故を起こしたことが、中国メディアで報じられている。2021年7月30日と8月12日の事故だ。


■ナビ補助機能「NOP」が稼働中の事故

2件の事故のうち、8月12日の事故ではNIOのナビ補助機能「NOP(Navigation on Pilot)」が稼働中の事故だったようだ。

NOPが稼働中の事故だったこともあり、NIOはNOPが自動運転機能でないことを、改めて強調している。

8月12日の死亡事故の原因が、運転手がNOPを自動運転機能と過信したことなのかは分からない。しかし、自動車メーカーが運転支援機能を誇張してアピールしているケースは少なくなく、今回のNIOの事故は改めてそのような危うさを自動車メーカーに再認識させた。

■呼称に潜む危うさ

日本国内においては、消費者が運転支援機能を自動運転と勘違いしないよう、自動運転レベルごとの呼称について発表を行っている。以下がその表で、自動運転レベル1と自動運転レベル2の車両は「運転支援車」としている。


出典:国土交通省

ちなみに運転支援機能に関しては、米EV大手テスラの「AutoPilot」や「FSD」(Full Self-Driving)といった呼称が、アメリカで問題視されつつある。

いずれにしても日米に限らず、今後自動運転車メーカーには運転支援機能について、さらなる丁寧な言葉の選び方が求められる流れとなっている。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)





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