空飛ぶクルマの試験飛行ガイドライン、国交相「今年度の早期に策定」

2023年の事業化に向け、各種基準や実証ルールの策定も



赤羽一嘉国土交通大臣=出典:首相官邸公式サイト

空飛ぶクルマの実用化に向けた取り組みが大きく前進しそうだ。赤羽一嘉国土交通大臣は2021年2月12日、閣議後の記者会見で空飛ぶクルマの試験飛行ガイドラインの策定などに言及した。早期実用化に向け、実証や開発環境を2021年度中に整備していく方針だ。

この記事では、赤羽大臣の発言とともに、空飛ぶクルマ実用化に向けた取り組みやロードマップを解説していく。







■2021年度早期に試験飛行ガイドライン策定へ

国土交通省は民間企業とともに、空飛ぶクルマの実現に向けた取り組みを進めている。2020年8月には「空の移動革命に向けた官民協議会」の下に「実務者会合」を設置するとともに、10月には「機体の安全基準」「操縦者の技能証明」「運航安全基準」の3つのワーキンググループ(WG)を立ち上げ、制度の方向性について議論を深めている。

こうした中、今後本格的に実施される試験飛行に関する許可基準を明確にし、事業者や地域へ共有してほしいといった声や、運航を開始するために必要な基準や手続きを明らかにしてほしいといった要望があった。

これらを踏まえ、赤羽大臣は新たに講じる措置として以下の3点について述べ、「国土交通省としては、空飛ぶクルマの実現に向け、必要な環境整備について引き続き官民で連携を図りながら取り組んでまいります」と記者会見で語った。

  • 2020年度中に試験飛行の関連条文の一覧や試験飛行の許可事例を公表する
  • 具体的な実証実験の計画を踏まえ、2021年度のできる限り早い時期に試験飛行のガイドラインを新たに策定・公表する
  • 2023年の事業スタートに必要な基準や手続きについても、事業者や地域において運航体制の整備や機体開発などが円滑に進むよう、官民協議会の議論を踏まえ順次公表していく
■空飛ぶクルマのロードマップ:2023年を目標にモノの移動から事業化

国の空飛ぶクルマに関する方針は、2018年12月に発表された「空の移動革命に向けたロードマップ」から読み解くことができる。

ロードマップでは、2019年に空飛ぶクルマの試験飛行や実証実験を開始し、2023年を目標にモノの移動から事業化を進めていくことが記載されている。その後、2030年代にかけて地方における人の移動や都市における人の移動へとサービス拡大を図っていく計画だ。

空の移動革命に向けたロードマップ=出典:経済産業省
■国内勢ではSkyDriveなどのほか、大手航空会社も

日本国内では国がこうしたロードマップで掲げているほか、民間企業による空飛ぶクルマの開発も進んでいる。

有志団体CARTIVATORから立ち上がったSkyDriveは、2019年12月に国内初となる有人飛行試験を開始した。2020年8月には、豊田テストフィールドで有人試験機SD-03モデルの飛行試験を公開・成功させている。事業化に向けては、2023年に大阪でサービス開始する計画のもと、関連事業者と提携を進めている。

東京大学発スタートアップのテトラ・アビエーションは米国で試験飛行許可を取得し、研究開発を進めている。JAXA(宇宙航空研究開発機構)との共同研究も進めているようだ。実用化当初はハイエンド製品によってコミュニティを形成し、量産機に繋げていく方針を掲げている。

航空各社も参入しており、ANAホールディングスは2025年の大阪万博でeVTOLによる旅客輸送サービスの提供を目指す方針を掲げている。

日本航空は2020年に米Bell TextronとeVTOLを用いた移動サービスに向け業務提携を交わしたほか、スタートアップの独Volocopterとも日本における市場調査や事業参画に向け提携を交わしている。

■自治体も空飛ぶクルマ実現に向け開発をフォロー

空飛ぶクルマの実現に向け、地方自治体も動き始めている。震災からの復興を目指す福島県は、国家プロジェクトのもと新たな産業基盤構築に向け「福島イノベーション・コースト構想」を掲げ、ロボットテストフィールドなどを整備している。

愛知県豊田市は2019年5月、SkyDriveと新産業創出へ向けた「空飛ぶクルマ」開発に関する連携協定を結び、実証フィールドなどを提供している。東京都も「未来を拓くイノベーションTOKYOプロジェクト」にSkyDriveを採択し、助成金を出している。

大阪府は、空飛ぶクルマ実現に向けた協議・活動の核となる「空の移動革命社会実装大阪ラウンドテーブル」(大阪府が事務局)を設立し、大阪・関西万博を1つのマイルストーンに据えて活動を進めている。

三重県も空飛ぶクルマが県内でいち早く実現されるよう事業化を見据えた実証実験の誘致に取り組んでおり、2020年10月にエアモビリティ、東京海上日動火災保険と県内での実証実験や実用化に向け、包括協定を締結した。

■【まとめ】未来技術は数年後に現実のものに

国は自動運転車の公道実証と同様、実証に必要な要件・条件をガイドライン化することで、各社の開発を促進していく狙いだ。同時に、実用化を前提とした本格的な開発に早期着手できるよう、機体や操縦者らに求められる基準も整備していく構えだ。

地上では自動運転車やロボットが走行し、空にはパーソナルなエアモビリティが飛行する。そんな心躍るような社会が数年後に訪れるかもしれない。未来の技術は着実に現実の技術へと姿を変え始めているのだ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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