ソニー株式会社(本社:東京都港区/代表取締役社長:吉田憲一郎)は2021年2月23日までに、「積層型直接Time of Flight方式」の測距センサーを車載LiDAR向けに開発したと発表した。「SPAD」画素を用いていることが特徴のようだ。同社は「業界初」としている。
具体的には、最大300メートルの距離を15センチ間隔で高精度かつ高速に計測することが可能で、マイナス40度から125度の激しい温度変化や厳しい悪天候においても、高い信頼性を維持できるという。
SPAD(Single Photon Avalanche Diode)画素とは、弱い光でも検出可能な画素構造だ。入射した1つの光子から雪崩のように電子を増幅させる「アバランシェ増倍」を利用している。
一方で「積層型直接Time of Flight方式」とは対象物までの距離を測定する方式の1つで、光源から発して対象物で反射した光がセンサーに届くまでの時間差を利用する。
■2030年に200倍の有望市場、各社が開発に注力
矢野経済研究所の2018年の市場予測レポートによれば、LiDARを含むレーザーの市場規模は2017年から2030年にかけて200倍に拡大することが見込まれている。そんな中、LiDARそのものやLiDARに関連する技術の開発に力を入れる日本企業も多い。
例えばパイオニアは、2019年4月にキヤノンと3D-LiDARセンサーの共同開発に向けて提携し、すでに小型で高性能な量産モデルの3D-LiDARを発売している。2021年1月にはCES 2020で、500メートルの遠距離計測が可能な次世代3D-LiDARの試作機をお披露目した。
東芝は2019年4月にLiDARの測距解像度を改善した計測アルゴリズム技術を、2020年7月に自動運転レベル4以上に対応するソリッドステート式LiDAR向け受光技術を、次々と発表している。
自動車部品大手のデンソーも早くからLiDAR開発に取り組んできた。1996年には1次元LiDARを、1997年には2次元LiDARを商品化した。最近では自動運転車向けのLiDAR開発にも力を入れ、海外の有力LiDARスタートアップとの共同開発にも取り組んでいる。
【参考】関連記事としては「デンソー、米Aevaと次世代LiDARの実用化へ共同開発 自動運転向けに」も参照。
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— 自動運転ラボ (@jidountenlab) February 2, 2021
■LiDARを使うアプローチが業界ではマジョリティ
自動運転の実現に向けては、LiDARを使うアプローチと、LiDARを使わないアプローチがあるが、現在は前者のアプローチがマジョリティであり、今後もLiDAR開発に注力する企業は増えていきそうだ。
ちなみに最近ではAppleが自動運転EVの開発に向けて複数のLiDAR企業と接触しているというトピックスも話題になった。自動運転業界を俯瞰するとき、LiDAR企業の動向ははずせない要素であると言える。
【参考】関連記事としては「LiDARとは?自動運転の目となるセンサー、レベル3実用化で市場急拡大」も参照。