
ロボタクシーに実際に乗った人の83%が、自動運転への見方が良くなったと答えた。半数を大きく超える水準だ。米自動車サービス大手Cox Automotive(コックス・オートモーティブ)が2026年9月28日に公表した調査で明らかになった。
調査は初回から10年の節目にあたり、自動運転車になじみがある人は2016年の40%から58%に増えた。ただしロボタクシーに乗ったことがある人は全米で18%にとどまる。未利用者の61%は運転手がいないことへの不安を挙げており、最初の一歩が普及の壁になっている。
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■ロボタクシーは体験すれば良さが分かる?乗った人の83%が「見方が改善」
調査で最も目を引くのは、利用者の評価の高さだ。ロボタクシーに乗ったことがある人のうち、83%が乗車によって自動運転車への見方が良くなったと答えた。
満足度も高い。利用者の67%が乗車体験に「非常に満足」または「とても満足」と回答した。今後も利用すると答えた人は83%。利用を続ける意向のある人に頻度を尋ねると、増やすと答えた人が47%だったのに対し、減らすと答えた人は6%にとどまった。

同社はこの結果を「体験が懐疑を上回る」と総括している。乗る前の不安と、乗った後の評価は別物だということだろう。
乗った人の83%が見方を改めたという数字は、広告や説明より1回の乗車が効くことを示す。事業者にとっては運行エリアの拡大こそが最大の広報だ。ロボタクシー普及の速度は、体験できる機会の量で決まると言える。
【参考】関連記事としては「【レビュー】テスラ・Waymo・日産の自動運転車に乗った人の感想 快適、怖い、それとも?」も参照。
■自動運転への親しみは10年で40%から58%へ
今回の調査は、同社が消費者の意識を初めて調べてから10年の節目にあたる。比較の対象は、傘下の車両価格情報サービスKelley Blue Book(ケリー・ブルー・ブック)が2016年に実施した調査と、2021年の調査だ。毎年の追跡ではなく、3つの時点を比べたものである。
調査は2026年5月にオンラインで実施された。対象は米国の12歳から64歳の消費者2,135人。これに、ロボタクシーが運行する都市の住民300人を上乗せしている。
自動運転車について「よく知っている」「ある程度知っている」と答えた人は、2016年の40%から2026年は58%に増えた。生きているうちに車が完全自動運転になると考える人も、2021年の37%から46%に伸びている。

身近な車の変化も大きい。同調査が定義する自動運転レベル2と3の車を持つ人は、12%から34%へとほぼ3倍になった。次に買う車としてレベル3以上を選ぶと答えた人は57%に達する。
同社の市場・顧客調査担当シニアマネージャー、ヴァネッサ・トン氏は、安全面の懸念や注目を集めた事故が自動運転車の進展を遅らせてきたと指摘する。そのうえで、今回の調査で見えたロボタクシーの受け入れ拡大は、消費者の意識が変わりつつあることを示していると説明した。
【参考】関連記事としては「ロボタクシー 実は乗り心地が悪いという事実」も参照。
■未利用者の61%が「運転手不在」に不安、最初の一歩が壁に
一方、乗ったことがない人の壁は厚い。未利用者の61%が、利用しない理由として人間の運転手がいないことへの不安を挙げた。次いで想定より高い料金が37%、利用できるエリアの狭さが34%、慎重すぎる走り方が27%と続く。

求める安全水準も高い。回答者の64%は、自動運転車が人間の運転より大幅に安全になるか、事故がゼロになるまでは利用に踏み切らないと答えている。
ハンドルもペダルもない車への抵抗感は強まった
同調査はレベル5を、ハンドルもペダルもなく人が運転できない車と定義している。この車に乗って安全だと感じる人は、2016年の47%から2026年は38%に下がった。認知が広がった10年間で、抵抗感はむしろ強まったことになる。
所有したい車としての魅力も同じ傾向だ。最も魅力的な水準として、車がすべて運転でき人も運転できるレベル4を選んだ人が28%で最多だった。レベル5を選んだ人は17%から10%に減っている。2016年の調査でも、回答者の80%が自分で運転する選択肢は常に必要だと答えていた。操作を完全に手放すことへのためらいは根強い。
折しも米EV大手テスラ(Tesla)は2026年9月、ハンドルもペダルもないロボタクシー専用車サイバーキャブ(Cybercab)の一般向け乗車をテキサス州オースティンで始めた。調査の実施は5月で、この開始より前にあたる。実車が走り出したことで数字がどう動くか。次の調査が注目される。
【参考】関連記事としては「テスラの「自動運転専用車」Cybercabのスペック公開 ハンドルなし219馬力」も参照。
■足りないのは関心より「乗れる機会」
ロボタクシーを知っている人は全米で70%、運行都市では89%にのぼる。ところが実際に乗ったことがある人は全米で18%、運行都市でも33%だ。

同社によると、米国人の55%はロボタクシーの利用に前向きだという。関心はあるのに乗れていない。同社は、普及を抑えているのは関心の低さではなく、利用できる機会の少なさだと分析している。
調査が運行都市として挙げたのは、アトランタ、オースティン、ダラス、ヒューストン、ラスベガス、ロサンゼルス、マイアミ、オーランド、フェニックス、サンアントニオ、サンフランシスコの11都市。米Google系の自動運転開発企業ウェイモ(Waymo)と、Amazon傘下のZoox(ズークス)が走る地域だ。ウェイモは現在、米国で月におよそ200万回の乗車を提供していると説明している。
運行都市と非運行都市での受け止めの差
身近な走っていることの効果は、ニュースの受け止め方にも表れた。自動運転車のニュースを見聞きした人のうち、印象が良くなったと答えたのは全体で32%だったが、運行都市の住民では45%だった。また、今後ロボタクシーを使いたい理由としては、静かでストレスのない移動が49%、車内でくつろいだり作業したりできることが45%で上位に並ぶ。
日本でも、自動運転タクシーに乗れる機会はまだ限られる。米国の結果は、運行エリアの広がりそのものが社会の受け入れを進めることを示している。
■ロボタクシーは体験すれば良さが分かる、83%が示す普及の条件
乗った人の83%が見方を改め、乗っていない人の61%が運転手不在に不安を抱く。今回の調査が示したのは、この2つの数字の落差だ。ロボタクシーは体験すれば良さが分かる。ただ、その最初の1回にたどり着くまでが遠い。
同社は、消費者は自動運転に前向きになりつつあるものの、全面的に受け入れるには証拠と実体験、そして利用できる場所の広がりが必要だとまとめている。
自動運転タクシー市場の競争は、技術の優劣だけでは決まらなくなってきた。どれだけ多くの人を最初の1回に乗せられるか。運行エリアと台数を広げる力が、ロボタクシー普及の速度を左右する局面に入ったと言える。













