ロボタクシー 実は乗り心地が悪いという事実

相次ぐ事故や急ブレーキで快適さを失う



Google系Waymoが展開している自動運転タクシー=出典:Waymo公式ブログ

ロボタクシーは快適な乗り物ではない(乗り心地が悪い)と評価する記事を米テックメディアEngadgetが掲載した。急ブレーキや事故、ヒヤリハットによって、乗客が怖い思いをする場面があるという。ただ、こうした出来事は人間の運転でも日常的に起きている。ただロボタクシーの乗り心地が悪いかどうかは、一概には言えない。

実際に乗った人の多くは安全だと感じているという調査もある。乗ったことのない人ほど怖く、乗った人ほど安心する。事故が起きそうで快適ではない、という感覚は、乗車経験と情報によって変わりうると言える。


編集部おすすめサービス<PR>
自動車保険 スクエアbang!(一括見積もり)
「最も安い」自動車保険を選べる!見直すなら今!
新車定額!リースナブル(車のカーリース)
お好きな車が月1万円台!頭金・初期費用なし!
車業界への転職はパソナで!(転職エージェント)
転職後の平均年収837〜1,015万円!今すぐ無料登録を
タクシーアプリは「DiDi」(配車アプリ)
クーポン超充実!「無料」のチャンスも!
編集部おすすめサービス<PR>
スクエアbang!
「最も安い」自動車保険を提案!
リースナブル
新車が月々2万円から!
パソナキャリア
転職後の平均年収837〜1,015万円
タクシーアプリDiDi
クーポンが充実!「乗車無料」チャンス
DodaX

■ロボタクシーは快適ではない乗り物という指摘

Engadgetは「ロボタクシーはいつもスムーズな乗り物とは限らない」という趣旨の内容を掲載した。スムーズでない乗り物とは、車内が揺れて不快ということではない。急ブレーキや事故、想定外の走行によって乗客が怖い思いをすることを指している。記事は、各社で実際に起きた事故やトラブルを振り返りながら、乗客が乗車中に気をつけるべき兆候を挙げている。

具体的には、予測できない急な進路変更、状況に合わない速度、交通違反、急ブレーキだ。必要以上に複雑なルートを選ぶ、目的地で止まらずに通り過ぎるといった挙動も挙げている。こうした兆候に気づいたら、緊急停止の手段を使うよう勧めている。

ウェイモとテスラは、アプリや車内の画面から「Pull Over(路肩に停車)」を選べる。Zooxは車内上部の緊急通話ボタンでサポート窓口につながる。万一事故に遭った場合は、通常の交通事故と同じように対応し、重いけがであれば911に通報するよう呼びかけている。

つまり、ロボタクシーは事故やヒヤリハットが起きるために快適な乗り物ではない、ということだ。一方で記事では、ウェイモが人間より安全だとするデータも併記している。まずは、乗客を怖がらせる事故やヒヤリハットが実際にどれほど起きているのかを見ていこう。


【自動運転ラボの視点】
ロボタクシーが「快適ではない」と言われる背景には、急ブレーキや事故への怖さがある。ただ、ヒヤリハットは人間の運転でも日常的に起きている。事故率の推移と乗客の信頼がどう育つかを見ることが、自動運転タクシー市場の成熟を測る物差しになるだろう。

■急ブレーキ、火災現場、冠水路への進入

ロボタクシーでは、急ブレーキによる負傷や、火災現場・冠水路への進入など様々な問題が発生している。それぞれ解説していこう。

テストドライバーの負傷、主な原因は急ブレーキ

ウェイモとZooxのテストドライバーが試験走行中に負傷しているという報道もある。米労働安全衛生局OSHAへの報告によると、ウェイモから運行を委託されているTransdev(トランスデブ)のドライバーの負傷は、2024年に5件、2025年に11件あった。Zooxでも2024〜2025年に最大8件の負傷が確認されている。

主な原因は急ブレーキだ。実際には存在しない障害物を検知して急停止したり、システムの停止に伴って緊急停止したりするケースがあった。けがの多くは捻挫やむち打ちだが、157日間仕事を休んだドライバーもいる。Zooxは、急ブレーキは避けられない場合もあるとしたうえで、負傷はテスト車両が走った数百万マイルのごく一部だと説明している。


火災現場や冠水路への進入、大規模なシステム停止も

急ブレーキだけではない。走行環境の変化にうまく対応できず、危険な場所に入り込む事例も起きている。Zooxの車両は2026年6月20日、ラスベガスで濃い煙を検知できず、消防が活動中の火災現場に進入した。同社は7月17日、全車両にあたる105台のソフトウェアをリコールしている。

ウェイモは2026年4月20日、テキサス州サンアントニオで冠水した道路を減速しながら走行し、5月12日に3,791台をリコールした。

中国でも同様の問題が起きた。2026年4月1日、武漢で中国IT大手バイドゥ(Baidu)の自動運転タクシーサービスApollo Go(アポロゴー)の車両少なくとも100台が、システム障害で一斉に停止した。追い越し車線で止まった車両もあり、乗客が最長で2時間ほど車内に閉じ込められたケースもあったという。

テスラ、オースティンで事故が続く

テスラのロボタクシーについては、テキサス州オースティンでのサービス展開時に、人間のドライバーより多くの事故を記録した事実もある。

米EVメディアElectrek(エレクトレック)によると、テスラが米運輸省道路交通安全局NHTSAに報告したロボタクシーの事故は、2025年7月から2026年3月までに17件あった。うち13件は物損のみで、けが人が出たのは2件、いずれも軽傷だった。遠隔操作の担当者が運転中に縁石に乗り上げたり、工事用のバリケードに接触したりした事故も含まれている。

■事故やヒヤリハットは人間の運転でも起きる 見るべきはトータルの事故率

こうした事故やヒヤリハットが並ぶと、ロボタクシーは怖い乗り物に見える。ただ、急ブレーキやヒヤリハットは人間の運転でも日常的に起きている。人間の場合、その多くは記録に残らず、報道されることもない。ロボタクシーの出来事が目立つのは、事故の報告が求められ、社会の注目も集めやすいという事情があるだろう。

また、急ブレーキは「ぶつかるくらいなら止まる」という安全側の判断結果でもある。Zooxも、急ブレーキは避けられない場合があると説明している。テスラの事故の約3分の1は、停車中に後続車から追突されたものだった。ロボタクシーの慎重な挙動が、人間のドライバーとのずれを生んでいる面もある。

では、トータルの事故率はどうか。IIHSは2026年7月23日、ウェイモの無人運転車の事故が、走行距離あたりで人間より68%少ないとする調査結果を公表した。対象は2021〜2024年のフェニックス、サンフランシスコ、ロサンゼルス、オースティンでの走行だ。人身事故は81%、単独事故は85%少なかった。ウェイモ自社の集計でも、2026年6月までの約2億7,000万マイルの無人走行で、重傷以上の事故が人間より95%少ないとしている。

ただし、課題もある。IIHSの調査で比較の対象になったウェイモの事故は64件と少なく、都市別ではオースティンで4%多いという結果も出た。IIHSの研究者は、現在のデータ収集の仕組みでは、大規模な展開を継続的に監視するには不十分だと指摘している。加えて、テスラの例が示すように、事業者によって実績には差がある。「ロボタクシーだから安全」と一括りにはできない。

ウェイモ72日ぶりに北米で高速復帰 洪水・工事ゾーンに突っ込む事故は改善したのか

■乗車経験と信頼で安心感が増す

米自動車協会AAAが2025年2月に公表した調査では、自動運転車に乗るのが怖いと答えた米国のドライバーは60%にのぼった。信頼できると答えたのは13%にとどまる。ただ、この数字は前年の9%から上がっている。

注目したいのは、実際に乗った人の評価だ。米カリフォルニア大学バークレー校の交通安全研究センターSafeTREC(セーフトレック)が2025年5〜6月、サンフランシスコの住民811人を調べた。その結果、ロボタクシーの乗客の91.5%が直近の乗車を安全と感じていた。72.1%は人間の運転より安全だと評価している。乗車を重ねるうちに安心感が増したと答えた人も37.9%いた。乗ったことのない人ほど怖く、乗った人ほど安心する。事故が起きそうで快適ではない、という感覚は、乗車経験と情報によって変わりうると言える。

一方で、同じ調査では、ロボタクシーと道路を共有するドライバーのうち、信頼していると答えた人は47.1%にとどまった。24.8%はヒヤリとした経験があるという。改善を求める声で最も多かったのは、安全データや実地試験の透明性で、31.2%だった。

信頼は、乗客だけでなく周囲の交通参加者との間でも育てていく必要がある。そのためには、急ブレーキの頻度や事故の詳細を含めた情報公開が欠かせない。

■ロボタクシーの乗り心地の悪さは事故率と信頼で変わる

ロボタクシーは必ずしも快適な乗り物ではない。急ブレーキも、想定外の場所への進入も、実際に起きている。ただ、ヒヤリハットをゼロにすることは人間の運転でもできない。個々の出来事だけを取り上げて快適ではないと断じても、実態は見えてこない。

見るべき点は2つある。1つは、トータルの事故率が人間の運転より下がっているかどうか。もう1つは、乗車経験や情報公開を通じて、乗客や周囲の信頼が育っているかどうかだ。

ウェイモのデータは、事故率の面で前向きな結果を示している。一方でIIHSが指摘するように、それを継続的に検証する仕組みはまだ十分ではない。事業者には、都合のよい数字だけでなく、急ブレーキや不具合も含めた透明性の高い情報開示が求められる。

事故率が下がり、信頼が積み重なれば、乗客が怖い思いをして乗り心地が悪いと感じる場面は、自然と減っていくはずだ。ロボタクシー市場の成長を占ううえでは、目立つ事例の奥にあるこうした実態にこそ目を向けるべきだろう。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




関連記事