日本の自動運転市場、来年には「1兆円規模」

年24%成長で2035年に6兆円規模



マーケットリサーチセンターは2026年8月、最新レポート「自動運転車の日本市場(2026年-2035年)、英文タイトル:Japan Autonomous Car Market 2026-2035」を発表した。


日本の自動運転車市場は2025年時点ですでに47億8,000万ドル(約7,600億円)規模に達しており、2026年から2035年にかけて年平均成長率(CAGR)24.40%で拡大すると予測している。

つまり、自動運転市場は2027年には1兆円規模に達することになる。右肩上がりの成長を続け、日本市場全体の成長を支えていく一大産業に発展していくことが期待される。

同レポートとともに、自動運転市場の展望に触れていこう。

▼マーケットリサーチセンターのリリース
https://www.atpress.ne.jp/news/6904392


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■自動運転車の日本市場(2026年-2035年)の概要

2035年には6兆円市場に拡大

レポートによると、日本の自動運転車市場は2025年時点で約7,600億円規模に達している。今後、2026年から2035年にかけて年平均成長率(CAGR)24.40%で拡大を続け、2035年には424億3,000万ドル(6兆7,400億円)に達すると予測している。

日本では急速な高齢化と地方における公共交通サービスの縮小が進んでおり、移動手段の維持・確保に向けレベル4自動運転サービスに対する需要が高まっている。タイプ別では、半自動運転車が現在の市場で大きな割合を占めている一方、完全自動運転車は予測期間中に年平均25.7%という高い成長率を示すと見込んでいる。

「半自動運転車」は、おそらくレベル2相当のADASを指していると思われる。あくまで運転支援に位置付けられる技術だが、ACC(アダプティブクルーズコントロール)とLKAS(レーンキープアシスト)を組み合わせることで、自動車の縦方向と横方向の制御をアシストする。

精度が上がれば、走行中にハンドルから手を放すハンズオフ運転が可能となり、さらに精度を高めていけば自動運転の領域に入っていく技術だ。


法整備が日本市場の成長を支える

日本市場の成長を支える重要な要因の一つに、自動運転に対応した法制度の整備を挙げている。2023年4月施行の改正道路交通法などにより、自動車メーカーなどの開発事業者は従来の限定的な実証実験の枠組みだけではなく、商用展開を見据えた制度環境下で自動運転車を運用できるようになった。

国内におけるレベル4サービスは「特定自動運行」として制度化され、都道府県公安委員会の許可のもと、サービス提供が可能になった。

2026年6月時点で特定自動運行許可を取得しているのは、福井県永平寺町、東京都大田区(羽田)、北海道上士幌町、三重県多気町VISON、長野県塩尻市、茨城県日立市、愛媛県松山市、大阪府大阪市(万博)、千葉県柏市の9カ所となっている。いずれも自動運転バス・シャトルサービスの類だ。

レポートでは、こうした規制緩和・制度整備が、自動車メーカーやモビリティ事業者、自治体などによる商用サービスの導入を促す要因になっていると指摘している。

半導体やAIチップの内製化も進行

また、日本の自動車産業ではAI、各種センサー、電動パワートレイン、スマートモビリティシステムの統合が進んでおり、自動運転技術と電気自動車を組み合わせた自動運転EVの開発が活発化しているという。

自動運転車は単なる移動手段としてではなく、電動化、AI、コネクテッド技術、データサービスなどを組み合わせた次世代モビリティプラットフォームとして位置付けられるようになっている。

供給面では、国内における半導体やAIチップ開発も重要な動きとなっている。世界的な半導体不足を経験したことで、日本の自動車メーカーは海外製半導体やソフトウェアスタックへの依存を見直しており、ティア1サプライヤーは、自動運転向けAIチップやドメインコントローラーを車両プラットフォームへ統合し始めるなど、自動運転に関する知的財産や基盤技術を自社で保持できる体制づくりが進んでいるという。

経済安全保障政策の観点からも車載半導体の国内生産が重視されており、自動車メーカーと部品メーカーによる共同開発や長期供給契約の拡大につながっているとしている。

政府と自動車メーカーの連携も市場拡大の大きな特徴で、国土交通省は、自動運転物流車両やスマートシティ実証事業などへの支援を行っており、特に人口減少地域における交通手段の維持を重要な政策課題と位置付けている。

自動運転技術は乗用車だけではなく、高齢者の移動支援、貨物輸送、災害時輸送などにも活用が期待されているほか、ホンダ日産などは、高度運転支援システムをクラウド経由で更新可能なソフトウェア型システムへと発展させており、将来的な自動運転レベルの高度化に対応できる車両開発を進めている。

スマートシティと自動運転車の統合がトレンドに?

トヨタのWoven City=出典:トヨタプレスリリース

市場の重要なトレンドとして、スマートシティと自動運転車の統合を挙げている。日本では、自動運転車の導入が単独の車両技術としてではなく、都市インフラや通信ネットワーク、高精度地図、交通データプラットフォームなどと連携する形で進められている。

政府支援によるデジタル都市政策では、自動運転に必要なモビリティデータ基盤の整備が進められており、走行位置の把握精度や安全性検証の向上が期待される。この流れにより、V2X通信モジュール、高精度地図サービス、AI検証ソフトウェアなどを提供する企業にも継続的な事業機会が生まれている。

スマートシティそのものはブームが過ぎ去った感を受けるが、日本では、官民ITS構想・ロードマップのもと、高精度3次元地図の開発・整備やインフラ連携の在り方などの研究が進められてきた経緯がある。こうした下地が産業を支えている……ということだろう。

また、トヨタのWoven Cityのような取り組みもある。自動運転をはじめとする次世代モビリティがさまざまなものと結びついていくことで、市場を大きく拡大していく可能性は十分考えられるだろう。

物流の自動運転化も成長領域に

物流分野も自動運転車市場の成長領域となっており、日本ではトラックドライバー不足を背景に、高速道路における自動運転トラックや隊列走行の実証が進められている。

自動運転物流では、車両同士の同期制御、燃料消費の削減、連動したブレーキ制御、遠隔からの車両監視などが重要な機能となる。将来的には専用の自動運転物流レーンなどを活用することで、長距離輸送の省人化や物流ネットワーク全体の効率化につながる可能性があるとしている。

こちらも国策のもと隊列走行や自動運転支援道、自動物流道路の研究開発などが進められている。社会の根幹をなす物流産業と密接に結びつく重要分野と言えるだろう。

自動物流道路、「中央分離帯」を破壊して設置か

ADASを収益化しながら完全自動運転へ移行

タイプ別では、半自動運転車と完全自動運転車の2区分で市場が構成されており、半自動運転車が最大市場を形成している。高度運転支援機能や高速道路での自動化機能を既存車両へ段階的に導入しやすく、メーカーが比較的早期に収益化できる点が背景にある。

また、消費者側でも完全無人運転より段階的な自動化の方が受け入れやすいことが市場拡大を支えているとしている。一方、完全自動運転車は、地方部や管理された都市エリアなど限定区域におけるレベル4サービスを中心に成長している。

半自動運転市場では、ADASを収益化しながら完全自動運転へ移行する戦略が中心となっている。高精度地図やドライバーモニタリング、LiDAR、レーダーフュージョン、AIベースのブレーキ制御などの需要が拡大しており、ティア1サプライヤーやセンサーメーカーに大きな商機をもたらしている。

一方、完全自動運転分野では、自治体による高齢者向け移動サービスやシャトル、物流用途などが中心となっており、複数台の自動運転車を一括監視する遠隔オペレーションセンターや、ブレーキ・操舵システムの冗長化技術なども重要性を増しているとしている。

競争環境では、単純な車両性能だけではなく、ソフトウェアの信頼性や規制への適合能力、インフラ事業者との連携、自動運転用データの確保などが主要な競争要因となっている。

各社は、独自AI技術の開発や遠隔運行センターの構築、サイバーセキュリティ強化などを進めているほか、5G通信を活用した車両接続性を高めるため通信事業者との協力関係も重要になっている。

市場は、短期的には半自動運転車が中心となり続けるが、中長期的には限定区域におけるレベル4サービスを起点に完全自動運転車の普及が進み、乗用車、公共交通、物流、高齢者輸送など幅広い分野に拡大していくと予測している

■【まとめ】E2Eが自家用車市場も自動運転市場も大きく動かす

市場規模としては、自家用車市場をベースとするADASがしばらく中心的存在となることは間違いない。E2E技術の導入もまもなく本格化するものと見られ、自家用車のADASは飛躍的に向上していくことが予想される。

また、E2E系ADASやE2E自動運転サービスの普及に伴い技術は大幅向上し、自動運転技術も大きく進展していく可能性が高い。予測を超える速さで進化を遂げれば、自家用車市場もサービス市場にもイノベーションが発生し、現在の常識が覆る……といったことも想定される。

自家用車市場、自動運転サービス市場、いずれもE2Eが開発の目玉となっており、その動向次第で市場は大きく変動していくことになりそうだ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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