
高市政権下で、自動運転事業がまた一歩動きそうだ。国の研究開発計画に基づく「次世代エッジAI半導体研究開発事業」にティアフォーが参画し、自動運転レベル4向けのソフトウェア定義型システム・オン・チップ(SoC)の開発を推進するという。
高市政権はAI・半導体分野への投資を推進しており、さまざまな領域に戦略的に税金を投入していく計画だ。自動運転領域も例外ではなく、むしろ主戦場の一つと言える。
ティアフォーの取り組みとともに、国の成長戦略に触れていこう。
記事の目次
| 編集部おすすめサービス<PR> | |
| 自動車保険 スクエアbang!(一括見積もり) 「最も安い」自動車保険を選べる!見直すなら今! | ![]() |
| 新車定額!リースナブル(車のカーリース) お好きな車が月1万円台!頭金・初期費用なし! | ![]() |
| 車業界への転職はパソナで!(転職エージェント) 転職後の平均年収837〜1,015万円!今すぐ無料登録を | ![]() |
| タクシーアプリは「DiDi」(配車アプリ) クーポン超充実!「無料」のチャンスも! | ![]() |
| 編集部おすすめサービス<PR> | |
| スクエアbang! | ![]() |
| 「最も安い」自動車保険を提案! | |
| リースナブル | ![]() |
| 新車が月々2万円から! | |
| パソナキャリア | ![]() |
| 転職後の平均年収837〜1,015万円 | |
| タクシーアプリDiDi | ![]() |
| クーポンが充実!「乗車無料」チャンス | |

■ティアフォーの取り組み概要
JSTの次世代エッジAI半導体研究開発事業に参画
ティアフォーによると、同社は国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の「次世代エッジAI半導体研究開発事業」に参画し、レベル4向けのソフトウェア定義型SoCの研究開発を進めていく。

文部科学省、及び経済産業省による「次世代エッジAI半導体研究開発事業研究開発計画」によると、近年、データ処理量の急増に伴い、クラウド側での消費電力の増大が大きな課題となっており、エッジ側で高度な情報処理を可能とするAI半導体の飛躍的な性能向上が必要になっているという。
そこで、アカデミアのシーズを活用することで、従来では達成困難な超低消費電力などの革新的な次世代エッジAI半導体の実現及びそれを通じたGXの実現に貢献する。
具体的には、次世代エッジAI半導体に必要となる設計や製造、材料などの技術に関して、既存の産業あるいは2030年代中盤以降に求められる新たな産業からバックキャストした技術のうち、アカデミアが行うべき技術について産業界への速やかな橋渡しを意識した研究開発を行うとしている。
研究開発項目には、高効率自動設計による次世代AI回路・システム、3D集積技術、次世代トランジスタ技術が挙げられている。期間は、研究開発開始時点から原則5年(60カ月)以内とされている。
▼ティアフォー、JST「次世代エッジAI半導体研究開発事業」に参画
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000132.000040119.html
E2E自動運転AIの推論処理を効率化するAIチップ開発へ
JSTは同計画に基づいて研究開発の提案を受け付けており、ティアフォーは、東京大学大学院工学系研究科の川原圭博教授を研究開発代表者とする「ユースケース駆動による機能分化型フィジカルAIチップ設計」の研究開発課題の中で、エンドツーエンド(E2E)自動運転AIの推論処理を効率化するAIチップの論理設計に取り組み、その設計資産と関連ツールチェーンのオープンソース化を目指すとしている。
レベル4では、実世界および実時間の制約下でAIモデルを継続的に運用する必要があり、既存の高性能計算技術を補完しながら、電力効率だけでなく適応性や透明性、検証可能性をさらに高める新たなアプローチが求められるという。
このため、自動運転用オープンソースソフトウェア「Autoware」に対応した自動運転AIチップを独自に設計し、SoCに組み込んでその有効性を評価する。また、AIチップの論理設計に加え、コンパイラをはじめとするツールチェーンをオープンソース化し、さまざまな半導体メーカーがティアフォーのプラットフォーム技術を活用し、レベル4向けSoCの製品化を加速できるオープンエコシステムの構築を目指す。
電力効率関連では、Transformerの推論処理に着目し、汎用的な計算処理のために必要とされる複雑な制御機構を簡素化した専用アーキテクチャを開発する。
自動運転AIでは、カメラ画像や点群などのセンサー情報をもとに、認識から行動計画までを一気通貫で処理する大規模な「Transformerモデル」の活用が進んでいるという。深層学習モデルの一手法だ。
このTransformerモデルにおいて、AIモデルの実行に必要なデータをあらかじめ効率的に配置し、チップ内で繰り返し利用することで、外部メモリとのデータ転送や演算制御に伴う電力消費を抑制する。また、行列演算やAttentionなど、Transformerで多用される処理を効率的に実行できる演算回路を組み込むことで、チップ単体のピーク性能だけでなく、「Autoware」を含む自動運転システム全体での電力対性能の向上を目指す。
数ワット級の組み込み機器から数十ワット級の車載ECUまで、用途に応じて柔軟に構成できる設計を追求していく。
適応性や透明性、検証可能性の向上図る
適応性に関しては、AIモデルとAIチップの間に、標準化された中間表現であるTensor Operator Set Architecture(TOSA)を導入し、汎用性を高めていく。
自動運転AIの技術体系は急速に進化しており、特定のモデルやハードウェアだけを前提とした設計では、その変化に継続的に対応することが困難となる。
PyTorchなどで開発されたAIモデルの演算処理をTOSAによる共通形式に変換し、TOSAを介して最適化やコード生成を行い、AIチップ上で実行することで、AIフレームワークとハードウェアを疎結合化する。
これにより、AIモデルの構成や演算方法が変化した場合でも、チップ全体を一から設計し直すことなく、コンパイラやランタイムなどのソフトウェアを更新することで対応できる仕組みを構築する。ソフトウェアを起点として性能や電力効率を継続的に最適化できるソフトウェア定義型SoCの実現を目指す。
また、レベル4のように安全性が重視される用途では、AIモデルだけでなくそれを実行する計算機システムについても内部の構造や処理過程を理解できることが重要となる。そこで、自動運転AIチップの論理設計に加え、コンパイラをはじめとするツールチェーンもオープンソース化する。
設計情報を公開することで、半導体メーカーや開発者がチップの内部構造やソフトウェアの動作を確認し、それぞれの車両やAIモデル、性能要件、電力要件に応じて改良、拡張、再利用できる環境を整備する。
Autoware同様、オープンソースの考え方をAIチップ設計やツールチェーンの領域へと広げ、特定の半導体製品や閉じた開発環境に依存することなく、自動運転AI技術を継続的に改良・発展させられるエコシステムを築く。
検証可能性に関しては、明確に定義された演算仕様を持つTOSAを基点としてコンパイル変換の過程を整理し、形式検証の技術を導入する。検証対象とする変換や演算について、変換前後の数値的な整合性や定められた誤差範囲を数学的な手法で確認できる仕組みを構築する。
AIモデルをチップ上で実行する過程では、モデル形式の変換、演算の最適化、量子化や丸め処理などが行われるが、変換の過程で生じる数値的な差異が最終的な演算結果にどのような影響を与えるかを確認できる仕組みが必要という。
このため、単に高い処理性能を追求するだけでなく、AIモデルがどのような変換を経てチップ上で実行されるかを追跡し、その処理の正当性を検証できる信頼性の高い自動運転AIの実行環境を確立する。
■高市政権による成長戦略
官民投資ロードマップ策定
次世代エッジAI半導体研究開発事業は高市政権発足前に始まったものだが、高市政権下で2026年7月に発表された官民投資ロードマップでは、2040年度までにAI・半導体分野へ総額100兆円超の投資が想定されている。
▼戦略17分野における「主要な製品・技術等」の官民投資ロードマップ
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/nipponseichosenryaku/pdf/rm2026.pdf
日本の成長に向け、勝ち筋を見出すべき戦略17分野で2040年度までに370兆円規模の官民投資が行われることを想定しているが、その1分野である「AI・半導体」への官民投資は101.6兆円が想定されているのだ。
内訳は以下となっている。
- ①フィジカルAI(特にAIロボット)10.5兆円
- ②フィジカル・インテリジェント・システムの中核を担う半導体68.0兆円
- ③バーティカルAI(領域特化型AI)23.1兆円
①のフィジカルAIは、画像などのセンサー情報を統合し、現実世界を理解して動作・行動を生成することで物理的タスクを遂行するAIを指す。自動運転車やヒューマノイドなどの根幹をなすAIとして大きな注目が集まっている領域だ。
官民投資は、AIロボットを中心に策定されている。AIロボット市場は2030年ごろを境に急拡大し、2040年に約60兆円規模へ成長すると見込んでいる。
②の半導体は、AIの実装拡大に伴って市場規模を拡大し、少なくとも2030年までに約140兆円を超え、2035年には約190兆円規模へと加速度的に成長する見込みという。今後、データセンターを中心とするAIインフラ市場全体で2040年までに累計で約3,000兆円の投資需要が生じると見込んでいる。
こうした半導体の需要側市場の規模拡大を取り込んで、自動車産業など日本産業に不可欠な半導体や、今後加速度的な成長が見込まれるデータセンター、AIロボティクスなど将来の産業競争力強化に不可欠な半導体などを中心に、2030年に国内で生産される半導体の売上高15兆円、2040年に40兆円を目指すとしている。
③のバーティカルAIは、データと AIモデル、アプリを垂直統合した領域特化型システムで、高い正確性と専門性から現場で使えるAIとして注目が高まっている。近年、エージェント型AIの発展もあり、産業や行政でのAI利活用の機運が高まり、日本でも市場の急成長が期待されているという。
これらAI・半導体分野とは別に、デジタル・サイバーセキュリティ分野の中に「自動運転技術」への官民投資も盛り込まれている。
E2EのAI開発や、開発を効率化するためのデータエコシステムの構築などへの投資を強力に支援し、レベル4やレベル2++市場で勝ち筋を見出す内容となっている。当然、こうした領域からもSoC開発を推進する投資・事業などが出てくるだろう。
【参考】関連記事「自動運転と「フィジカルAI」の関係性は?実世界で物理的動作」も参照。
【参考】関連記事「自動運転、経済波及効果は「187兆円」!政府試算」も参照。
■ティアフォーのこれまでの取り組み
早くからAIチップ開発に注力

ティアフォーサイドに話を戻そう。同社がAIチップの開発を手掛けるのはこれが初めてではない。早くからAIチップ開発に携わっており、2019年には、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発」事業に採択されたアクセルの研究開発に東京大学、埼玉大学とともに参画している。
研究開発テーマは「完全自動運転に向けたSoCとソフトウェアプラットフォームの研究開発」だ。2023年、その成果物となるSoCの試作品が発表されている。
センサー系の高負荷な処理に、既存装置の10分の1の消費電力を実現する独自開発のハードウェアアクセラレータが搭載されており、制御系の処理には、実行時間の変動を低減するリアルタイム処理のためのメニーコアプロセッサが組み込まれている。今後の研究開発成果を先端プロセスで製造することで、消費電力150W以下のSoCで自動運転タクシーを実現できる見込みとしている。
2026年3月には、ベルギーに本部を置く研究開発機関imecが運営する「Automotive Chiplet Program(ACP)」に加盟したと発表した。
多様なソフトウェアを異なる半導体上で効率的に動作させるチップレットアーキテクチャを推進する。半導体のモジュール化により、自動車メーカーは特定企業に依存することなく、用途に応じて最適なプロセッサーを選択し、活用することができるようになるという。
自動運転開発をより高度化・本格化させるためには、こうした開発環境や動作環境の改善にも取り組む必要があるようだ。
【参考】関連記事「上場のティアフォー、「テスラ式自動運転」も開発」も参照。
■【まとめ】自動運転開発領域に対しても潤沢な公的支援
積極財政を標榜する高市政権下においては、自動運転開発領域に対しても潤沢な公的支援が行われそうだ。補助事業などを活用する各社がどのような成果を上げ、それがどのように国としての勝ち筋につながっていくのか。
短期的、そして長期的視点でそれぞれの取り組みに注目していきたい。
【参考】関連記事としては「日本ではいつから完全自動運転になる?レベル5の実現時期は?」も参照。













