
「自動運転車」の検索ボリュームが、この一年で4倍に膨れ上がっていることが判明した。その一方、面白いことに「自動運転」というキーワードは一年前に比べ微増にとどまっている、なぜこのような差が生じたのか。
その要因は定かではないが、自動運転サービスが具現化し、その存在が無関心層にも浸透し始めた兆候と捉えることができそうだ。
キーワード検索から、自動運転の機運の高まりについて考察してみる。
記事の目次
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■「自動運転車」と「自動運転」の検索ボリューム
「自動運転車」は一年間で4倍
Google検索の人気度やトレンドを分析できる「Google トレンド」で「自動運転車」の検索ボリュームを調べてみたところ、現在(2026年6月7~13日)の指数100に対し、一年前は23だった。この一年間で検索ボリュームが4倍に跳ね上がったのだ。
厳密に言うと、2026年6月7~13日の期間に急上昇しており、何らかの引き金があるものと思われる。

一方、キーワード「自動運転」は、この一年間で50~100の間で波があるものの大きく伸びておらず、現在の指数100に対し、一年前は84となっている。この差の要因は何なのか。

一般的に、「自動運転」というワードは広く用いられる。自動運転技術や各種自動運転サービスなどを検索する際のベースであり、「自動運転 タクシー」といった検索も行われる。概念的意味合いが大きいのだ。
さらに言えば、モビリティに限らず、ファクトリーオートメーションなどにも用いられることが少なくない。検品・選別を行うロボットアームの自動化を「自動運転化」と言うこともある。それゆえ、もともとの検索ボリュームが多く、大きな変動は起こりにくいものと思われる。
では、「自動運転車」というワードは何を指すのか。自動運転車は、一般的に自動運転バスやタクシーなど、自動運転技術を搭載したモビリティ全般を指すものだ。自動運転が概念的なものであるのに対し、自動運転車は具現化されたものとなる。
自動運転バスも自動運転タクシーも自動運転車であるため、検索頻度は高い……と思われがちだが、意外と検索されることは少ないものと推測される。
例えば、「自動運転タクシー」関連の事項を調べる場合、「自動運転タクシー」「自動運転 タクシー」などで検索する人は多いが、「自動運転車 タクシー」と検索する人はおそらく少ないのではないだろうか。
自家用車の自動運転化などを調べる場合は、漠然と「自動運転車」と検索するかもしれないが、「自動運転タクシー」などの固有名詞の方が明確なため、検索ワードとしての「自動運転車」は意外と使用されないのではないだろうか。
無関心層が関心を持ち始めた兆候?
しかし、ここにきて検索ボリュームが急増したということは、この漠然とした「自動運転車」に対する認識・受容性に変化が生じた可能性が考えられる。
自動運転技術が実際にクルマに搭載され始め、「自動運転車」というモビリティが広く普及を開始した。自動運転車を活用したサービスの普及が現実のものとなりつつあることから、漠然と「自動運転車」を検索する層が増加したのかもしれない。
もともと自動運転に関心のある人は、「自動運転バス」など、より細分化されたワードを用いることが多いものと思われるが、何らかのきっかけでたまたま興味を持った人は、「自動運転車」というワードを検索することも多いだろう。
つまり、自動運転に対する関心層が広がりを見せ始めた――という可能性が考えられるのだ。自動運転そのものの存在は知れ渡っているものの、多くは「自分には関係がない」「興味がない」「まだまだ先の話」といった感じで、わざわざ検索して調べることはない。
しかし、こうした無関心層に変化が起き始めているのではないか。自動運転関連ワード全体が微増する中、今まであまり検索されてこなかっただろう「自動運転車」のボリュームが増加したということは、今までと異なる層が検索し始めた――と見ることができる。
実態はつかみにくいが、自動運転に関する関心が高まりを見せていることは間違いなさそうだ。
島根県や宮崎県で多く検索されている謎
なお、「自動運転車」というキーワードがどの地域で人気だったのか――を調べてみると、都道府県別では島根県が100、宮崎県が98、静岡県が91となっている。自治体別では、福岡県苅田町が100でトップとなり、愛知県春日井市74、神奈川県厚木市59と続いている(検索総数ではなく検索に占める割合を示す。データは随時変動)。
島根県では、美郷町や松江市、飯南町などで自動運転実証が行われているが、特段タイムリーな話題ではない。宮崎県では、西都市で2026年2~3月に自動運転バスが行われているが、これもタイムリーではない。
苅田町では、2020年に国土交通省・経済産業省の共同事業として中型自動運転バス実証が行われるエリアに選定されたが、以後実証が継続されたような話は聞かない。
春日井市では2026年5月、「Digi田(デジでん)甲子園」に市が応募した「自動運転ラストマイル送迎サービス」の取り組みが地方公共団体部門で準優勝を受賞したことが発表されている。
厚木市に関しては、自動運転トラック開発を進めるT2が、自動運転と有人運転を切り替える拠点を同市内に設置している――といった話題しか出てこない。
これらを踏まえると、特定の自動運転実証や自動運転サービスに対して局所的に検索が増えた――というものではなさそうだ。
検索が急上昇した2026年6月7~13日の期間、自動車メーカー各社も特に自動運転関連のリリースを出していない。
期間内におけるトピックを強いて上げれば、国土交通省自動運転社会実現本部の会議において「自動運転レベル2++」を対象とした優良車認定制度創設や、直轄国道のパトロールに自動運転を活用していくことを大臣が正式に指示したくらいだ。
検索ボリュームが急増する特段の要因が見当たらないにもかかわらず、結果として増加している……ということは、やはり自動運転に対する機運が全体的に高まりを見せ始めた――ということなのだろうか。
【参考】関連記事「自動運転AIの実力、国が採点 レベル2++で「優良認定制度」」も参照。
■日本における自動運転の状況
2027年度に大きく前進する可能性あり
日本国内では、2026年6月現在レベル4運行が可能な特定自動運行許可を取得しているのは、福井県永平寺町、東京都大田区(羽田)、北海道上士幌町、三重県多気町VISON、長野県塩尻市、茨城県日立市、愛媛県松山市、大阪府大阪市(万博)、千葉県柏市の9カ所となっている。いずれも自動運転バス・シャトルサービスの類だ。
このほか、数十カ所で実用化に向けた実証が進められているが、財務省から厳しい指摘を受けた影響だろうか、2026年度の国の補助金交付要綱が変わり、レベル4達成期限が設けられたことから実証継続を断念する動きも出ているようだ。遅々として前に進まない取り組みがあるのも事実で、自治体と開発事業者に活が入った格好となった。
自動運転トラックと自動運転タクシーは実証段階で、早ければ2027年度にも一部エリアで実用化される可能性がある。自動運転トラックは高速道路、自動運転タクシーは東京都内が第一弾となる見込みだ。
自家用車においては、2021年にホンダがレベル3を実用化したものの後に続く動きが出ていない。国内レベル4の動きも今のところ具体化されていないが、日産がレベル2++を2027年度にも実装する見込みで、ADASの質が一変することに期待したいところだ。
【参考】関連記事「自動運転は日本では可能?」も参照。
【参考】関連記事「自動運転の補助金、異例の「未達成なら返還」義務」も参照。
■【まとめ】関心の高まりを示す検索ボリュームの推移に注目
要因はどうであれ、「自動運転車」というキーワードの検索ボリュームの高まりは、一過性のものではなく機運の高まりの兆候であると信じたい。
2027年度は、自動運転トラックと自動運転タクシー、自家用車におけるレベル2++が実用化される可能性があり、日本の道路交通が大きな節目を迎えることになるかもしれない。自動運転に対する関心はより高まることは間違いないだろう。
この関心の高まりを示す一つの指標が検索ボリュームだ。今後、どのように推移していくのか注目だ。
【参考】関連記事としては「自動運転が可能な車種一覧(タイプ別)」も参照。













