NISAでも購入可能な上場投資信託「GX 自動運転&EV」(証券コード:2867)が絶好調だ。基準価額はこの1年で110%超と2倍の伸び率を見せている。
期待と裏腹に伸び悩み続けていた自動運転関連銘柄が、ついに目を覚ましたのかもしれない。このペースで行けば、10年後には2倍の10乗で1,024倍に達するかもしれない。
……そんな単純計算がまかり通らないのは承知しているが、エンドツーエンドの自動運転が実現するなどすれば、それ相応のインパクトが市場に走ることは間違いない。そのフェーズが、まもなく訪れようとしているのだ。
ソフトバンクグループの孫正義氏がかねてよりその潜在可能性に触れていた自動運転。GX自動運転&EVの動きとともに、自動運転市場の展望に触れていこう。
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■GX 自動運転&EVの動向
この1年で指数が2倍に
「グローバルX 自動運転&EV ETF」は、自動運転技術や電気自動車(EV)、EV関連の開発に携わる企業への投資を目指すファンドで、2022年11月に設定された。NISA「成長投資枠」の対象にもなっている。
設定当初の基準価額10万円に対し、8万円~12万円台を行き来するような形で推移しており、ちょうど1年前の205年6月2日には9万9,140円と伸び悩んでいたが、同年9月に初めて13万円台に到達するとそのまま伸び続け、2026年1月には15万円台を突破した。
2026年5月に20万円台に到達し、6月2日の値は20万8,582円となっている。つまり、この1年間で2倍となったのだ。
同期間における日経平均株価は約82%増、アメリカの代表的な株価指数S&P 500は同約28%増であることを踏まえると、自動運転・EV関連銘柄の伸びが顕著に表れていると言える。
幅広い企業を網羅、ビッグネームに依存することなく株価は上昇
構成銘柄は、トヨタ、日産、ホンダ、ルノー、ステランティス、フォルクスワーゲン、フォード、GM、Geelyといった自動車メーカーをはじめ、テスラやBYD、Xpeng、Lucid Group、NIO、Li Autoといった新興勢、NVIDIAやアルファベット、マイクロソフト、Baidu、Mobileyeなどのテック企業、LiDAR開発を手掛けるRoboSenseなどの関連企業など、幅広い銘柄を抑えている。バッテリー関連企業も多い。
日本関連では、デンソーやGSユアサ、東海カーボン、ソシオネクスト、ルネサスエレクトロニクスなども名を連ねている。
参考までに、NVIDIAはこの1年で+58%、テスラは+23%、トヨタは7.7%、アルファベットは+113%、マイクロソフトは+4.7%……といった感じだ。近年躍進するビッグネームに依存する形で指数を伸ばしたわけではなく、各銘柄の積み重ねで伸びていることがよくわかる。まさに、関連市場全体が盛り上がりを見せ始めているのだ。
この「1年で2倍」のペースが10年続けば、1024倍まで株価は膨れ上がることになる。「そんなうまくいくわけがない」という声があちこちから聞こえてきそうだが、個別に見れば、100倍~1000倍の伸びを見せる銘柄が出てきても不思議ではないだろう。自動運転市場には、それだけのポテンシャルがあるのだ。
■自動運転市場の展望
自動車産業は今後10年間で約2倍の市場規模に
グローバル・マーケット・インサイツのレポートによると、世界の自動車市場は2025年に2.5兆ドル(約400兆円)で、2035年には5.5兆ドル(約880兆円)に達するという。この期間、年平均成長率(CAGR)8.2%で成長する計算だ。
先進国では自動車販売台数は頭打ちになると予測されているが、新興国では需要が伸びる。また、先進国ではBEVや自動運転といった進化が大きく進展し、新たな市場を形成していくものと思われる。
グローバル・マーケット・インサイツの自動運転関連のレポートでは、世界の自動運転車の市場規模は2025年に2.3兆ドル(約360兆円)に達しており、2035年には8.4兆ドル(約1,340兆円)に成長するという。
また、同社の乗用電気自動車市場関連のレポートでは、乗用電気自動車市場は2025年に7,777億ドル(約124兆3,000億円)で、2035年には1.75兆ドル(約280兆円)に成長すると予測されている。
なぜか自動運転市場が自動車市場を上回っているが、自動車の枠を超えた移動サービスや各種サービス、テクノロジーなども含まれているためと思われる。
いずれにしろ、自動車産業はCASEの波を受け、新たな進化を遂げながらその市場価値を向上させていくことに期待が寄せられているのだ。今後の10年間で、自家用車は従来の価値を維持しつつ、所有を前提としない新たな利用方法でその価値を向上させていく。
そして、自動運転技術の発達により、移動・輸送サービス領域でイノベーションが起き、市場を膨大に膨らませていく可能性が高い。
【参考】関連記事「自動運転車の市場調査のレポート一覧 ロボタクシー・バス・トラックはどうなる?」も参照。
▼グローバル・マーケット・インサイツのレポート
https://www.gminsights.com/ja/industry-analysis/cars-market
https://www.gminsights.com/ja/industry-analysis/autonomous-vehicle-market
E2E自動運転がゲームチェンジを引き起こす
自動運転技術は今後10年間でどこまで進化するか……を明確に言い当てることは難しいが、近年、自動運転開発の軸足はルールベースからエンドツーエンドにシフトしており、状況が変わり始めている。
自動運転開発が熱気を帯び始めた2010年代、開発勢の9割以上はルールベースに基づいた自動運転開発を行っており、レベル5に通じる技術は実現が見通せない将来技術として扱われていた。
Waymoを筆頭する先行勢は、自動運転を行うエリアを事前にマッピングし、高精度3次元地図を完備しLiDARを標準装備化するなどして認識能力や自車位置推定能力を補完・向上させて無人走行を実現している。当時はこれが当たり前だったのだ。
カメラなどのセンサーからの入力情報に依存し、視覚情報から直接安全制御を判断するE2Eモデルは、実現が難しい将来技術とされていた。
しかし、2020年代に入り、大規模言語モデルや生成AIといった技術が急速に進展したことで状況が変わり始めた。E2Eは夢の技術ではなく現実の技術となり、注目度が一気に高まった。自動運転におけるゲームチェンジが早々に訪れたのだ。
E2Eによる「どこでも自動運転」はまだ実現してはいないが、「どこでもハンズオフ」を可能にするレベル2++相当のADASは実現域に達しており、テスラや中国新興勢の一部がサービスを提供している。
このレベル2++が順調に進化すれば、どこでも自動運転が実現する。ルールベースのように条件となるODD(運行設計領域)が基本的に付されないため、規制上どこまで安全性を高めれば実用化されるのか判断が難しいところだが、あえて条件を設定し、規制に沿う形で実用化を進めることもできる。
このE2E自動運転が実用化されれば、これまでのルールベースと異なり実装・拡大速度が急激に伸び始め、市場が急伸していく可能性が高い。そのフェーズは、恐らく今後10年以内に到来する。
その影響を正確に測り知ることは難しいが、かつてのパソコンや携帯電話、インターネットの普及などと同様、社会生活・経済を一変させるほどのインパクトを発揮することが考えられる。そう考えれば、株価100倍、1000倍というのも現実味を帯びてくるのではないだろうか。
【参考】関連記事「自動運転開発における「ルールベース」「E2Eモデル」を解説!開発事業者の動向やトレンドも」も参照。
【参考】関連記事「自動運転、米国株・日本株の関連銘柄一覧」も参照。
■【まとめ】自動運転の花は必ず咲き誇る
LiDAR開発企業など、先行して上場した自動運転関連企業は軒並み株式市場で苦戦しており、期待されたLuminar Technologiesが経営破綻するなどこれまでの状況が思わしくないのは事実だ。自動運転開発を手掛けるAurora Innovationなどもいまだに伸び悩んでいる。
ただ、この苦境を生き残った企業は強く、WaymoやZoox、Nuroなど上場時期を見定めているだろう有力企業も多く存在する。テスラやXpengのように、自動車メーカーとして活路を切り開く動きも花を咲かせ始めている。
じらされ続けた自動運転株式市場が開花するのはもう時間の問題だ。将来的なイノベーションを踏まえれば、この花は絶対に枯れることなく咲き誇る。各社の取り組みとともに、株式市場の動向にも引き続き注目したい。
【参考】関連記事としては「自動運転とは?技術や開発企業、法律など徹底まとめ!」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)