自民総裁選、自動運転「実用化が進みそう」ランキング!2位は河野氏、1位は?

次期首相候補を自動運転ラボが独自分析



(左から)河野太郎氏、小泉進次郎氏、小林鷹之氏=出典:(左から)デジタル庁/自民党公式サイト/首相官邸

岸田文雄総理が自民党総裁選挙に立候補しない意向を表明し、退陣することとなった。派閥解消の影響もあり、9月末に予定される総裁選には過去最多の候補者が乱立する可能性が高いようだ。

国の行く末を左右する党内選挙で、当然自動運転をはじめとした施策に与える影響も大きい。誰が新総裁となれば、自動運転施策は加速するのか。


現時点で立候補を表明済み、あるいは有力視されている候補者の中からピックアップし、ランキング形式で紹介していこう。

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■1位:小泉進次郎氏(前環境大臣)

推進派の一人、自動運転のイメージが変わる?

出典:首相官邸

神奈川県第11区選出の衆議院議員で、当選5回。環境大臣、内閣府大臣政務官などを歴任しており、現在は衆議院安全保障委員会の委員長を務めている。

役職面・実績では他の議員に後れを取っている事実は否めないが、内閣府大臣政務官時代に「近未来技術実証特区」実現に取り組んでおり、2015年に日産本社を訪れ、自動運転の視察・体験を行っている。

「自動走行の研究を進める国内外の企業や研究者が、日本なら他国ではできないレベルで実証可能と思ってもらえるような環境整備を引き続き検討したい」と意気込んでおり、同年、内閣府や神奈川県などが開催した自動運転タクシー実証発表会では、会場に自動運転車で入場するパフォーマンスも実施した。


「日本再興戦略」改訂2015のもと、国家戦略特区におけるレベル4実現に向けた具体的プロジェクトとして、神奈川県藤沢市など湘南エリア、宮城県仙台市荒浜地区、愛知県名古屋市の3つが採択されている。国による自動運転開発・研究の初期に関わっているのだ。

その後、役職上自動運転に全面的に関わる場面はほぼないものと思われるが、環境面も踏まえ次世代交通に対する思いは深いものと推察される。

具体的な施策は未知数でイメージが先行するタイプだが、イノベーション領域ではイメージが社会受容性を左右することも多い。自らが旗振り役となることで、自動運転社会の受容性を高めることができる貴重な人材と言える。

■2位:河野太郎氏(現デジタル相)

自動運転実用化を推し進める急先鋒

河野太郎デジタル大臣=出典:デジタル庁

神奈川県第15区選出の衆議院議員で、当選9回。外務大臣、防衛大臣、国家公安委員長、行政改革担当大臣、内閣府特命担当大臣などを歴任し、現在はデジタル大臣や内閣府特命担当大臣(規制改革)などを務める。


担当役職が表すように自動運転をはじめとした規制改革への熱は非常に高く、2020年開催の規制改革推進会議のWGでは「自動運転の開発で世界の先頭を走らなければ、日本の自動車産業に未来はない。そういう重要性が理解されず、つまらぬ規制が沢山あるというのが現実」と規制の在り方に言及した。

さらには、出席した国土交通省や警察庁のメンバーに対し、「明日にでもやる場合にこういう条件ならできる、というのを持って来てほしい」「当事者意識を持って、今やるためにどうしたらいいのか、という答えを持ってきてもらいたい」と注文を付けるなど、スピード感を重視する姿勢が際立っている。

自身のSNSでも度々自動運転に言及することがある。2023年には北欧諸国を訪問し、エストニアではAuve Tech製自動運転車の試乗や、Clevonの自律走行配送ポッドの見学などを行ったようだ。2024年には、神奈川中央交通が実施する自動運転実証も体験している。

恐らく、総裁選候補の中では規制緩和に対する思いが図抜けている。河野氏が総裁・内閣総理大臣に就任すれば、交通イノベーションに向けた大型改革など、一般的な推進派が引くほどの勢いで突っ走る可能性がある。

自動運転実用化に関しては、先頭を突っ走る急先鋒と言える存在だ。

【参考】河野氏の動向については「河野大臣、自動運転化の遅れに「忸怩たる思い」 海外視察後に発言」も参照。

■3位:小林鷹之氏(前経済安全保障担当大臣)

自動運転の実用化を前提とした発言多数

出典:自民党公式サイト

千葉県第2区選出の衆議院議員で、当選4回。現在は閣僚に名を連ねていないが、これまで経済安全保障担当大臣や内閣府特命担当大臣(科学技術・宇宙)などを歴任してきた。

内閣府特命担当大臣(科学技術政策)として登壇した国際ワークショップ「SIP-adus Workshop 2021」では、技術開発に加え制度整備や社会的受容性の醸成などに関する課題解決に向け、国際的に連携して取り組むことの重要性を呼びかけたという。

2024年4月には、所属する衆議院国土交通委員会において、コネクテッドカーや自動運転車に対するサイバー攻撃による交通インフラシステムの混乱やデータの摂取・流出など、交通サイバーセキュリティの観点から質問している。

2019年には、情報通信インフラに関する国家戦略の必要性を説き、この中で自動運転に触れている。5Gやエッジコンピューティングに関する質疑なども過去に行っている。

自動運転の実用化を前提とした社会づくりに関する発言が多く、基本的には推進派と思われる。

総裁選ではいち早く出馬を表明し、台風の目となりつつある。党の新しい顔役となるか注目が集まるところだ。

■4位:高市早苗氏(現経済安全保障担当大臣)

SIP推進役の一人、サイバーセキュリティに強み

奈良県第2区選出の衆議院議員で当選9回。総務大臣(5回)や内閣府特命担当大臣(4回)を歴任したほか、党 のサイバーセキュリティ対策本部長や情報調査局長を務めるなど情報分野に長けているようだ。現在は内閣府特命担当大臣や経済安全保障担当大臣などを務めている。

総務大臣、内閣府特命担当大臣として戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)に関わる場面も多く、国による自動運転開発・研究プロジェクトを推進してきた一人だ。

デジタル庁新設時の大臣記者会見では、サイバーセキュリティの重要性に触れ、その中で、生活における課題として高齢者の移動手段を例に挙げ「レベル4以上の自動運転車が普及すると様子は変わる。これも情報通信の世界で、サイバーセキュリティの確保が非常に重要」と自動運転に言及している。

党サイバーセキュリティ対策本部の会合でも、2018年に「自動運転システムのサイバーセキュリティ対策」を議題に据えている。

また、自身の政策の中でもDXによる地域課題の解決に向けた成長投資分野の一つとして「過疎地域への日用品や医薬品の自動配送」を掲げている。

自動運転そのものに深く言及する場面は少ないようだが、推進派であることは間違いない。セキュリティ対策などの課題をより重視しながら実用化に向けた取り組みを進めるものと思われる。

総務相、自動運転レベル4以上の普及で「サイバーセキュリティの確保が非常に重要」

■5位:石破茂氏(元防衛大臣)

独自施策に期待?

鳥取県第1区選出の衆議院議員で、当選12回。農林水産大臣、防衛庁長官、防衛大臣、国務大臣、地方創生担当大臣、党幹事長などを歴任してきた重鎮だ。

自動運転に言及した場面はお思いのほか少ないようで、特に見当たらない。ただ、「こんな日本にしてみたい。石破茂の夢」という資料の中で、「自動運転エリア設定の地方先行で、無人コミュニティバスを導入します。地方発の技術革新で、技術の恩恵をまず地方へ!」という記述がみられることから、肯定派・推進派であることは間違いないようだ。

党内で独特の存在感・立ち位置を維持する石破氏。自動運転施策は読み切れない部分が多いが、独自施策で推進してくれることに期待したいところだ。

■6位:齋藤健氏(現経済産業大臣)

道路交通分野の知見高い

千葉県第7区選出の衆議院議員で当選5回。大学卒業後に通商産業省に入省し、日米自動車交渉などに関わってきた経歴を持つ。政治家としては、法務大臣や農林水産大臣などを歴任し、現在は経済産業大臣やGX実行推進担当などを担っている。総裁選に意欲を示し、推薦人集めに着手したようだ。

経済産業大臣の2024年年頭所感において、「ドローンや自動運転などのデジタルの恩恵を全国に行き渡らせるべく、共通規格に準拠したハード・ソフト・ルールのデジタル時代のインフラであるデジタルライフラインの全国的な整備や、サイバーセキュリティの確保に向けた環境整備を進めていく」としている。

これまでは自動運転に言及する場面は特になかったようだが、道路交通分野に関する知見は高いものと思われる。交通イノベーション推進に動けば、自動運転施策を大幅加速する可能性もありそうだ。

■7位:茂木敏充氏(現幹事長)

過去には海外の自動運転視察も

栃木県第5区選出の衆議院議員で、当選10回を数える。現幹事長で、過去には経済産業大臣、経済再生担当大臣、外務大臣などを歴任してきた。総裁選立候補の意向を示しており、幹事長の権限を党幹部に委嘱し、近く正式表明する見込みだ。

経済再生担当大臣を務めていた2017年、米テスラの自動運転EV(恐らくADAS)の試乗や、Uber Technologiesからライドシェアシステムについて説明を受けたと報告している。2018年には、スウェーデン・ストックホルムのエリクソン本社を訪ね、AIを使った都市交通システムや自動走行バスの公道実証実験を体験したという。

2017年に公表した「3つの重点施策」では、「(日本が)得意とする分野、車の自動走行や健康医療革命で世界最先端を目指し、経済の再生を実現していく考え」を示している。

経済畑が長いこともあり、自動運転に関しては造詣が深い推進派の一人と思われる。

■【まとめ】自動運転事業加速は小泉氏・河野氏あたり?

このほか、林芳正氏(山口県第3区/現官房長官)や上川陽子氏(静岡県第1区/現外務大臣)なども総裁選に名前が挙がっているが、自動運転に言及する場面が見当たらなかった。

自民党は基本的に自動運転社会の構築を推進する立場であり、故・安倍晋三総理時代から自動運転施策は脈々と引き継がれてきた。その意味では、誰が新総裁に就任しても路線が変更されることはない。ただ、河野氏や小泉氏であれば、施策のさらなる加速を期待できるかもしれない。

あくまで党内選挙のため民意が反映されるか否かは別問題となるが、果たして与党の新リーダーは誰となるのか。新たな人事や施策、解散総選挙の有無など含め、要注目だ。

【参考】関連記事としては「自動運転推進派の政治家・議員・知事一覧(2024年最新版)」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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