河野大臣、自動運転化の遅れに「忸怩たる思い」 海外視察後に発言

日本における規制の現状に歯がゆさ



河野太郎大臣=出典:flickr / G20 Argentina (CC BY 2.0)

河野太郎デジタル大臣がこのほど、日本の自動運転技術について、規制の問題をクリアにできないため開発が遅れていることについて、「忸怩たる思い」と語った。ニッポン放送のラジオ番組においての発言だ。

北欧のエストニアでケンタッキーフライドチキン(KFC)の自動運転デリバリーを視察した河野大臣。発言は、この視察を終えてのコメントという形で発せられた。


■デジタル推進国で自動運転デリバリーを視察

河野大臣は2023年7月にデジタル先進国のエストニアやパレスチナなどを訪問し、7月15日にはTwitter(現X)に、「エストニアで見た自動運転の配達車。」として、ファーストフードチェーンのケンタッキーフライドチキン(KFC)が、自動運転でデリバリーを行っている動画を投稿している。

ニッポン放送のラジオ番組に出演した河野大臣は、この取り組みについて「動く宅配ボックス」と形容している。

また、パレスチナでは若い人たちが自動運転のスタートアップを立ち上げており、そこで開発した技術はすでにヨーロッパで実験している段階であることに触れた上で、「日本はどのように持続可能な物流を実現するかという問題が出ていますから、本当は日本でこそ自動運転の技術を先に進めなければいけなかったのだと思います。しかし、なかなか規制の問題をクリアできずに進められていないのは、忸怩たる思いがあります」と語った。

さらに「アメリカのサンフランシスコでは、あれだけの街なかをタクシーが自動運転で走っています。日本でこそ、そういう技術が確立できるような努力を、官民挙げて行わなければいけないと思います」と続けた。


▼河野デジタル担当大臣 エストニアでファストフードの自動運転での配達を体験「日本は官民挙げて自動運転の技術を確立するべき」|ニッポン放送 NEWS ONLINE
https://news.1242.com/article/452200

■過去にも「つまらぬ規制が沢山」と発言

河野大臣が紹介したKFCの自動運転配送車は、エストニア企業Clevonの自律走行配送ポッドで、ミドルサイズのモビリティとなっている。

KFCとClevon、フードデリバリープラットフォームの開発を手掛けるFudyの3社は2023年6月から、自動運転車でのデリバリーサービスを開始している。

河野大臣は過去にも、自動運転の実用化が進まない現状について「つまらぬ規制が沢山あるというのが現実ではないか」と発言しており、大臣自身がこれまでも自動運転先進国との差を如実に感じているのは明らかだ。

自動運転の実用化の推進に向け、河野大臣が今後どう動いていくのか、政治の面からも自動運転関連の動向のウオッチを。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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