自動運転OS開発のティアフォー、世界的ユニコーンの一員に

世界経済フォーラムのUnicorn Communityに参画



加藤真平氏=撮影:自動運転ラボ

自動運転OS(基本ソフト)の開発などを手掛ける株式会社ティアフォー(本社:東京都品川区/代表取締役社長:加藤真平)は、世界経済フォーラムの「Unicorn Community(ユニコーン・コミュニティ)」の活動に2023年8月から参画する。

このユニコーン・コミュニティは、評価額が10億ドル(約1,400億円)以上と見込まれる未上場スタートアップからなる招待制のグループで、世界で選ばれた約70社で構成される。ティアフォーは日本のスタートアップを代表して参画するという。


▼Unicorn Community(ユニコーン・コミュニティ)
https://www.weforum.org/communities/unicorns

■厳選されたユニコーンによるコミュニティ

世界経済フォーラムは、経済や環境など世界情勢の改善に向け、経済界の取り組みを促すためのグローバルな官民協力プラットフォームとなる国際機関で、経済界や政界、学者や知識人など、さまざまな分野のリーダーが参加している。

ユニコーン・コミュニティの「ユニコーン」とは、冒頭でも触れたように「企業価値が10億ドル以上の非上場企業」のことだ。

ティアフォーは、世界初の自動運転用オープンソースソフトウェア「Autoware」の開発を主導し、国際業界団体「The Autoware Foundation(AWF)」の設立メンバーとして世界中の組織と個人がAutowareを活用して自動運転技術の発展に貢献できるオープンエコシステムの構築を推進している。


同社のビジョン「自動運転の民主化」と、これまでのグローバル規模での活動が世界経済フォーラムに評価され、今回のユニコーン・コミュニティ参画に至ったという。

出典:ティアフォー・プレスリリース
■自動運転OSを手掛け、MIHにも採用

ティアフォーは名古屋大学発のベンチャーとして、Autowareの開発・普及を目的に2015年12月に設立された。台湾のFoxconnグループが展開するEV(電気自動車)プラットフォーム「MIH」でも、Autowareが採用されている。

MIHでは、参画企業による数々のワーキンググループが立ち上がっており、中でも自動運転開発をリードしているのがティアフォーだ。Autowareについて、ティアフォーとFoxconnはEVプラットフォームへの採用を前提とした企画・開発を進めることで合意しており、自動運転のワーキンググループにおいてもティアフォーの社員が委員長を務めている。

【参考】関連記事としては「自動運転OS「Autoware」、FoxconnのMIHで採用か ティアフォーが開発」も参照。


国内では2020年3月、ヤマハ発動機と合弁会社「eve autonomy(イヴ・オートノミー)」を設立することを発表している。Autowareの技術とヤマハ発動機の車体開発技術を組み合わせ、工場敷地内などにおけるモノの自動搬送ソリューション事業を展開することが目的だ。

また2023年6月には、レベル4水準の自動運転機能に対応した商用車両の生産を加速させることを目的に、車体架装メーカーであるトノックスとの協業を開始したことを発表した。トノックスの平塚工場で、レベル4自動運転EVの量産を行う予定だという。

また同じタイミングで、レベル4自動運転化ガイドラインを公開しており、AWFへ提案し業界標準化を進めていくとしている。

■グローバルな社会課題の解決を目指す

ティアフォーは今回のユニコーン・コミュニティへの参画により、事業領域である自動運転の可能性をさらに広げ、交通事故の削減や人口動態に応変可能な移動手段の創出や、省電力化および移動効率改善によるカーボンニュートラル実現への貢献など、グローバルな社会課題解決と産業発展に資する活動を継続していくという。

国内外で活躍する同社に引き続き注目していきたい。

【参考】関連記事としては「ティアフォー、「自動運転レベル4」EVの量産開始へ」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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