ファストフード世界大手のケンタッキーフライドチキン(KFC)がこのほど、北欧のエストニアで自動運転デリバリーサービスを実現させた。
エストニアのKFCと、同国で自動運転モビリティ開発を手掛けるClevon(クレボン)、フードデリバリープラットフォームを展開するFudyの3社が首都タリンでスタートさせ、KFCの注文を自動運転車でさばいている。
■KFCのデリバリーサービスを自動化
これまでKFCの注文は、Fudyの人間の宅配業者によってのみデリバリーされてきた。しかし、3社は自動化がフードデリバリーの未来だと信じており、さらに将来のデリバリーで必要な全ての機能がエストニアですでに利用可能であることを発見したという。その結果、自動運転車によるKFCのデリバリーを行うに至った。
自動運転車によるデリバリーの流れはこうだ。顧客はFudyのアプリを通じ注文をし、KFCの従業員は、人間の配達員に注文の品を渡す代わりに、自動運転車に装備されているロッカーのような棚に品物を入れる。顧客は注文した際にPINコードを受け取っており、ロボットが到着した際にそれを入力して自動運転車の棚のドアを開け、品物を受け取るという仕組みになっている。
顧客らはこのユニークな体験に驚き、また楽しんでもいたという。
■自律走行配送ポッドを開発するClevon
今回開始した自動運転デリバリーに用いられているのは、Clevonの自律走行配送ポッド「CLEVON 1」だ。
同社はエストニアのテック企業Cleveronから独立し、2022年に設立された。同国のヴィリャンディを本拠とし、自律走行配送ポッドを開発している。
CLEVON 1は高さ1,550mm×幅1,150mm×長さ2,500mmのコンパクトサイズのモビリティだ。最高時速は時速32マイル(時速約52キロ)で、1回の充電で走行できる航続距離は62マイル(約100キロ)となっている。最大積載量は200ポンド(約90キロ)。
収納ボックスを載せる部分を用途に応じて交換することができ、食料品から大型家電まで、さまざまな商品の配送に対応している。
CLEVON 1はドライバーレスカーとなっており、オペレーター1人で10社の配送会社を同時に監視できるため、配送コストを大幅に削減し、ドライバー不足の課題も解決できるとしている。
■DHLなどとも連携、今後に大注目
Clevonは、フランス郵政公社のほかタリンの物流大手DHL Express Estoniaやベルギー小売企業Colruyt Group、リトアニアのスーパーマーケットIKIなどと提携し、ヨーロッパの公道で配送サービスを提供している。
同社は米ダラスに研究拠点と米国本社を開設しており、オンデマンド配達のニーズが高い米国で自動配送ビジネスに本格的に参入していくという。今後も大注目だ。
【参考】関連記事としては「自動配送ロボで80〜90%コスト削減!エストニア企業Clevonに注目」も参照。