トヨタ製SUV、Amazonが自動運転タクシーに採用!実証エリアを拡大

傘下のZooxが2都市で試験スタート



出典:Zooxプレスリリース

米Amazon傘下の自動運転開発企業Zoox(ズークス)は2024年6月11日までに、自動運転タクシートヨタ製車両を採用し、テキサス州オースティンとフロリダ州マイアミでも走行テストを行うことを発表した。

同社は、ネバダ州ラスベガスとカリフォルニア州サンフランシスコで自動運転タクシーの最初の商用運行を開始する計画だ。しかしその後の展開エリアを模索している最中で、候補に挙がっているのがオースティンとマイアミのようだ。


■テストエリアは5カ所に

Zooxは、2018年に同社の拠点があるサンフランシスコから自動運転タクシーのテストをスタートさせた。2019年にラスベガス、2021年にはシアトルでもテストを開始した。

これまで西海岸を中心にテストを実施してきたZooxだが、多様な環境と条件下で数百万マイルを自律走行した経験をもとに、オースティンと東海岸初となるマイアミでテストを行うことになる。これまでにテストを行った都市は合計5つとなった。

オースティンとマイアミでは、まずは簡単なマッピングを行う。その後、トヨタのSUV「ハイランダー」に自動運転システムを後付けした車両を走行させるという。ビジネス街や歓楽街といったエリアの小さな区間で、セーフティドライバー同乗のもと走行する。

オースティンには水平の信号機やワイヤーに吊るされた信号機のほか、多くの踏切や有名な雷雨がある。そしてマイアミには交差点を横切るように配備された信号機がある。こういった特有の状況でテストを行うことにより、貴重な知見やフィードバックを収集することができるとしている、


出典:Zooxプレスリリース

■スタンフォード大学出身者が創業

Zooxは2014年に米スタンフォード大学出身の技術者らにより、シリコンバレーで設立された企業だ。2020年6月にAmazonに12億ドルで買収された。

Google系WaymoやGM傘下のCruiseなど、ロボタクシーの実用化で先行する企業が取り入れているのは乗用車型の自動運転車であるが、Zooxが開発するロボタクシーはいわゆる「Pod」(ポッド型)と呼ばれる対面式の自動運転モビリティとなっている。

2023年4月には、同社開発のドライバーレスのロボタクシー専用車両がカリフォルニア州の公道で乗客を乗せての走行に成功したことを発表している。同社によると、ロボタクシー専用として設計・製造された車両が乗客を乗せて公道を走行したのは世界初のことだという。

2023年夏ごろには、従業員を2023年始めの1,900人から約2,200人へと16%増やしたことが米メディアにより報道された。2022年ごろから自動運転開発企業でのレイオフ(一時解雇)が続く中で、攻めの姿勢を進めていると話題になった。


■Zooxのロボタクシーの商用化に期待

今回発表されたオースティンとマイアミでのテストで使用される車両は、独自開発の専用車ではなく、トヨタ車を用いることになる。使用されるハイランダーは、日本では「クルーガー」と呼ばれ2007年まで販売されていた。販売終了後も、海外でハイランダーの名称で人気を博している車種になる。

Zooxはどのような形で自動運転タクシーの商用化を行っていくのだろうか。WaymoとCruiseという2社独占状態にある米国市場に切り込むことができるのか、注目したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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