Amazonの「車輪のついた自動運転ラウンジ」、ラスベガスデビューへ

傘下のZooxがテスト走行開始へ



出典:Zooxプレスリリース

米Amazon傘下の自動運転開発企業Zoox(ズークス)は、ネバダ州で「セーフティドライバー無し」での自動運転タクシーの公道テストの許可をこのほど取得した。ラスベガスでテストを開始する。

同社の担当者が米メディアに語ったところによると、許可を受けた車両は自動運転タクシーというよりは、「車輪のついた自動運転ラウンジ」のように感じることができるという。


■カリフォルニア州に続きネバダ州でも

Zooxはすでにカリフォルニア州でセーフティドライバー無しでの自動走行車両の公道テスト許可を得ており、2023年2月から本社のあるカリフォルニア州フォスターシティの同社オフィスビル間での試験走行を開始し、従業員の送迎を行っている。

現在、市販車をベースにした自動運転車で乗客を乗せて公道を走行する事例は多いが、同社の車両はロボタクシー専用に設計・製造されており、こうした車両が乗客を乗せて公道を走行したのは「世界初」だと過去に発表している。

今回ネバダ州での許可も取得したことで、ラスベガスでの公道走行が可能になった。ラスベガスでも同社の従業員を乗せ、時速約56キロで各施設間を走行するようだ。

■走るラウンジのようなロボタクシー
出典:Zooxプレスリリース

冒頭でも触れたが、Zooxの政策・規制担当ディレクターであるRon Thaniel氏は同社の自動運転タクシーについて、「従来の乗用車というよりは、車輪のついた自動運転ラウンジのようになっている」と語っている。「車内にはハンドルやペダルがない代わりに、電車の座席のように乗客が向かい合って座ることができるスタイルになっている」とも説明している。


さらに「このロボタクシーは運転手のためでなく、乗客のために作られた」とコメントしており、車内では音楽を聴いたり、温度調節ができたり、携帯電話の充電ができたりと、乗客ファーストで設計されているという。

■2020年にAmazonの傘下に

Zooxは2014年に米スタンフォード大学出身の技術者らにより、シリコンバレーで設立された企業だ。2020年6月にAmazonに12億ドルで買収された。

Google系WaymoやGM傘下のCruiseなど、ロボタクシーの実用化で先行する企業が取り入れているのは乗用車型の自動運転車であるが、Zooxが開発するロボタクシーはいわゆる「Pod」(ポッド型)と呼ばれる対面式の自動運転モビリティとなっている。

他社と差別化して車両開発を行うZooxに今後も注目だ。


▼Zoox公式サイト
https://zoox.com/

【参考】関連記事としては「Amazon子会社Zoox、「自動運転専用」ポッドで乗客送迎に成功」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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