清水建設株式会社(本社:東京都中央区/代表取締役社長:井上和幸)は2023年7月27日までに、自動運転サービスロボットのエレベータ同乗技術を確立し、自社運営のオフィスビル「メブクス豊洲」に実装したことを発表した。
これは、施設内で稼働する複数のサービスロボットがエレベーターを相乗り利用しながらそれぞれの目的階まで円滑に移動するための技術で、これによりエレベーターの待ち時間を短縮し、ロボット運用を合理化することができるという。
■エレベーターの相乗り利用を実現
サービスロボットの実用化が進み、1つの施設内で配送や案内、警備、清掃などの用途やメーカーが異なる複数のロボットを導入する状況が増えてきている。複数のロボットがフロア間を移動してサービスを行う場合、エレベーターとロボットを個別に連携させるこれまでの制御手法では、1台のロボットがエレベーターを使用すると、他のロボットは長時間待つ必要があったという。
清水建設は、自社開発した複数ロボット・モビリティの統合制御システム「Mobility-Core」により、ホールでの待機位置や、エレベーター内の乗車位置、乗降の順番など、エレベーター内外におけるロボットの空間利用を統合的に管理することで、ロボット同士の干渉による走行不全や膠着を回避し、タイムロスの少ない効率的なサービスロボットの運用を実現した。
今回エレベーター同乗技術を実装したメブクス豊洲では、共通のAPIを介して複数のロボットを統合制御する「Mobility-Core」と、建物設備と各種アプリケーションの相互連携の基盤となる建物OS「DX-Core」を連携させた。
Mobility-Coreが稼働中のロボットの走行状況やエレベーターの混雑状況を踏まえ、各ロボットにホールでの待機位置やエレベーター内の乗車位置、乗降の順番、移動のタイミングなどを指示、DX-Coreを介してエレベーターへの運行リクエストを行うという流れになっている。
■「DX-Core」と「Mobility-Core」
清水建設は、建物運用のデジタル変革を支援する建物OSであるDX-Coreを商品化することを2020年10月に発表した。これは、建物内の建築設備やIoTデバイス、各種アプリケーションの相互連携を容易にする建物運用デジタル化プラットフォーム機能を備えた基本ソフトウェアとなる。
また2021年8月には、Mobility-Coreを同社の技術研究所に構築したことを発表した。施設・街区と自動運転車両・ロボット間の連携基盤として研究開発を進めてきた自動運転プラットフォームを利用し、建物設備と各種サービスロボット・自動運転車を統合制御するシステムになる。
■デジタルゼネコンを目指す清水建設
清水建設は、リアルなものづくりの知恵と先端デジタル技術を活用し、ものづくりをデジタルで行い、リアルな空間とデジタルな空間、デジタルなサービスを提供する「デジタルゼネコン」を目指しており、自動運転技術の活用にも積極的な企業だ。
デジタルゼネコンとしての同社の今後の取り組みにも注目していきたい。
【参考】関連記事としては「「デジタルゼネコン」たる清水建設、自動運転とどう向き合う?」も参照。