決め手は「愛嬌」!?ソフトバンク出資の配膳ロボにグッドデザイン賞

中国発のサービスロボ開発企業「KEENON Robotics」



出典:グッドデザイン賞

中国のKEENON Roboticsの日本法人であるKEENON Robotics株式会社(本社:東京都中央区)が販売する自律走行配送ロボット「DINERBOT T8」が、2023年度グッドデザイン賞を受賞した。

KEENON Roboticsは2010年に上海で設立された商用サービスロボット開発企業で、2021年にはソフトバンク・ビジョン・ファンド2が主導する資金調達ラウンドにて2億ドル(現在のレートで約300億円)を調達したことでも知られている。


■高性能SLAM技術により自律走行

DINERBOT T8は、高性能SLAM技術により自律走行する配膳ロボットで、飲食店や医療機関、商業施設などで活躍している。最小通過幅55センチの狭い通路を通過することができるコンパクトなボディに、どの角度からでも簡単な操作をすることが可能な使いやすいタッチスクリーンが搭載されている。

DINERBOT T8の特徴の1つ目は「衝撃吸収シャーシ」で、速度コントロールにより安全な配送が可能になっている。2つ目は「音声と画面によるインタラクション」だ。これはロボットが目的地に到着するとライトが点滅し音声とタッチ画面の情報により適切な場所からピックアップするように案内するものだ。

3つ目は「立体ビジョン」で、5センチの低い障害物や階段を検出し、ロボットが人や物に衝突したり、階段から落ちたりするのを防ぐ役割がある。そのほか、「自動充電」やディスプレイに表示される10種類の「ユニークな表情」といった機能もある。

今回のグッドデザイン賞受賞にあたり、「無表情な配膳機器ではなく、人型に近い高度なロボットでもない、程よく親しみがあり、確実に仕事をこなす、愛嬌のある表情と音声を持つ、近づいて来るとちょっと嬉しくなる存在」という点が評価されたようだ。


出典:グッドデザイン賞
■60カ国以上にサービスを提供

KEENON Roboticsは2010年の設立後、2013年にサービスロボット市場に参入した。現在は米国やドイツ、日本、韓国、アラブ首長国連邦、香港に拠点を持ち、60カ国以上、600以上の都市と地域にサービスを提供している。

同社は日本市場の拡大のため、配送配膳ロボットの導入や、導入コンサルティングを提供するDFA Roboticsと販売代理店契約を締結したことを2023年5月に発表している。今後両社は協力し市場開拓を行い、DFA Roboticsは導入後のアプターサポートも担うという。

日本でKEENON Roboticsのサービスロボットを目にする機会は、ますます増えていきそうだ。

▼KEENON Robotics公式サイト
https://www.keenon.com/jp/


【参考】関連記事としては「続々日本上陸!中国の自動運転ロボットは「脅威」なのか」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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