ケニアでライドシェア向け融資!日の丸ベンチャー、15億円を新規調達

HAKKI AFRICA、SBIホールディングスなどから



出典:HAKKI AFRICAプレスリリース

アフリカ・ケニアで事業を展開する株式会社HAKKI AFRICA(本社:東京都港区/代表取締役:小林嶺司)は2023年10月13日までに、SBIホールディングスをリード投資家とした資金調達ラウンドシリーズBのファーストクローズにおいて、15.8億円の資金調達を行ったことを発表した。

HAKKI AFRICAは、ケニアにおけるライドシェア向け中古車ファイナンスを主な事業としている注目のスタートアップだ。同社によると、日本の商業銀行からアフリカでの第三者への貸付を目的とする融資は、日系スタートアップとしては初めてのことだという。


■ケニアでライドシェア向けファイナンス事業

2019年設立のHAKKI AFRICAは、「可能性をふやす人を、ふやす。」をミッションに、途上国のマイクロファイナンスをはじめとする、小〜中規模の金融機関向けのCredit as a ServiceのAPI(越境信用パスポート)開発を主な事業としている。

なおマイクロファイナンスとは、貧困層や低所得者を対象にした小規模金融サービスの総称だ。小口融資と呼ばれることもある。同社ではファイナンス額の過多に限らず、今までに使われていなかったデータなどを与信判断に利用し、伝統的な銀行が貸せない層に融資する機関のことを総称してマイクロファイナンスと定義し呼称しているという。

ケニアなどアフリカ諸国では、現在も多くの個人タクシードライバーが銀行融資の与信基準を満たす書類を準備できず、レンタカーを利用して働くことが一般的になっているのだという。

その問題を解決するため、HAKKI AFRICAは個人タクシードライバーの実態に合わせた独自のアルゴリズムを用いたクレジットスコアリングシステムを構築し、機械的に与信審査を行い、リスクを限りなく抑えてファイナンスを行っている。個人タクシードライバーは、レンタカーの時と同じキャッシュフローで返済することで、3年半後に車両を所有できるという仕組みのようだ。


また同社は、ケニアの通信会社であるSafaricomのAPIを活用し、モバイルマネー経由の自動返済記帳システムを開発した。それにより人的ミスや内部不正の防止を可能にし、大規模採用の必要もないため、地域最安金利でのファイナンス提供を実現させたという。

■メガバンクも融資するHAKKI AFRICA
出典:HAKKI AFRICAプレスリリース

今回の資金調達ラウンドにおける参加投資家は、SBIインベストメント、QRインベストメント、DEEPCORE、HAKOBUNEの4社だ。また融資での参加銀行・ノンバンク・その他金融機関・匿名組合組成事業者は、北國銀行、社名非公表のメガバンク、SBIグループ、ファルス、大和ブルーフィナンシャル、ミュージックセキュリティーズとなっている。

ケニアの競合他社が多額の資金調達ができないという状況において、HAKKI AFRICAは複数の日本の金融事業者・メガバンク・地方銀行との提携を深め、低金利かつ多額の調達資金調達が可能になり、より低金利、より大規模な貸付が可能となった。

同社は、新興国における「信用」の全く新たな歴史を作り出し、人々の機会アクセスの最大化を実現していく。資金調達に参加した投資家も、アフリカのさらなる発展のために貢献するHAKKI AFRICAの事業に賛同している。


■ワンタイムの途上国支援ではなく…

HAKKI AFRICAは2022年の「ジャパンSGDsアワード」で外務大臣賞を受賞している。同社が手掛けているのは、ワンタイムの途上国支援ではなく、テック企業の技術力を武器にした持続可能な開発だ。その事業を応援し、資金提供を行う企業は今後も増えていきそうだ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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