翼を畳めば公道も走行!米ASKAの空飛ぶクルマ、型式証明を申請

名古屋出身の日本人女性の夫妻が創業



出典:ASKAプレスリリース

空飛ぶクルマを開発する米ASKAは2023年7月27日までに、公道走行が可能な4人乗りeVTOL(電動垂直離着陸機)「ASKA A5」が、米連邦航空局(FAA)の「型式証明」の手続きを正式に開始したことを発表した。

型式証明手続きを正式に開始し、飛行試験と公道での走行試験を行っている空飛ぶクルマは、ASKAが世界初だという。


ちなみに同社の試作機はFAAの「特別耐空証明」を取得しており、飛行試験を開始後、DMV(車両管理局)からナンバープレートを取得し、公道での走行テストも開始した。

【参考】「型式証明」と「耐空証明」は異なるもので、一般的に、設計や製造過程が基準を満たしていることを証明する型式証明は「機種ごと」、安全に航行できることを証明する耐空証明は「1機ごと」に取得が必要となる。それぞれ検査では重複する部分があるが、型式証明を取得していると耐空証明の審査の一部が割愛される。

イスラエル人と日本人の夫妻が創業
出典:ASKAプレスリリース

ASKAは起業家のカプリンスキー夫妻が2018年に米国で創業し、シリコンバレーに拠点を置いている。妻のカプリンスキー真紀氏は名古屋出身の日本人で、エンジニアチームには日本人も多く在籍しているという。

同社は空陸両用モデル「ASKA A5」の開発を進め、技術見本市「CES 2023」で初めてプロトタイプが公開された。


また2020年にNASA(米航空宇宙局)と「Advanced Air Mobility National Campaign」の参加を推進するため、共同でSpace Act Agreementと呼ばれる5年間契約を締結している。

■空陸両用で公道走行も可能な「ASKA A5」
出典:ASKAプレスリリース

今回FAAへ型式証明申請を開始したASKA A5は、パイロット1人と乗客3人を乗せることができる4人乗りのeVTOLだ。翼を格納するとSUV(多目的スポーツ車)ほどのサイズになり、公道を走ることができ、かつ一般的な乗用車の駐車場に駐機可能だ。

電動で飛行と走行を行うが、バッテリーシステムに加えガソリンエンジンをレンジエクステンダー(※航続距離を延ばすためのシステム)として搭載しており、飛行中にバッテリーを充電することができるプラグインハイブリッド方式を採用している。

離陸後の飛行航続距離は250マイル(約400キロ)、最高飛行速度は時速150マイル(約240キロ)となっている。なお、機体価格は78万9,000ドル(約1億1,000万円)で、2026年の商業化を目指しているようだ。


すでに予約注文を受け付けており、個人や企業、医療関係団体などにより5,000万ドル(約70億5,000万円)以上の受注があるという。

■EVの充電ステーションを使用可能

ASKA A5は、垂直離着陸だけではなく、タイヤに搭載されたインホイールモーターとプロペラの推力を利用し、滑走路からの離着陸も可能となっている。これによりエネルギー消費を大幅に節約できるという。

また、既存の充電ステーションや駐機スペースを利用できることが、ASKA A5の大きな特徴となっている。実用化への期待は大きい。

▼ASKA公式サイト
https://www.askafly.com/

【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマの機体メーカー一覧(2023年最新版)」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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