米Google系の自動運転開発企業であるWaymo(ウェイモ)は2024年5月17日までに、同社のドライバーレスの自動運転タクシーが、サンフランシスコなどの3つの都市において毎週5万件以上の有償走行を行っていることを発表した。1分間に5回の運行を受け付けている計算になるという。
世界で初めて自動運転タクシーの商用サービスを開始したWaymoは、自動運転業界におけるパイオニア的存在だ。その後も着実に実績を重ね、常にトップランナーとして世界の自動運転技術開発を率いている。
■Googleの一部門が分社化して誕生
Waymoは、Googleの自動運転開発部門をスピンアウトする形で2016年12月に設立された。2018年12月に世界初となる商用自動運転タクシーサービス「WaymoOne」を、アリゾナ州フェニックス郊外で一部ユーザーを対象に開始した。
2021年8月からはカリフォルニア州サンフランシスコ、2024年3月からはロサンゼルスでも本格的にサービスを開始し、今後はテキサス州オースティンにも拡大させていく予定だ。
この自動運転タクシーサービスは、完全ドライバーレスで自動走行する。エリアが限定されていることから、自動運転レベルは「4」となっている。同社が開発する自動運転システム「Waymo Driver」は、自動運転タクシーのほかトラック輸送やデリバリー、ライドシェアなどさまざまな用途に活用可能となっている。
ただしこれまで行ってきた自動運転トラック開発については、予想より実用化が進まないことから一時中止することを2023年7月に発表した。これにより、ビジネスの成長が著しい自動運転タクシーサービス事業にさらに注力していくという。
■Waymo、週5万回以上の走行を達成
このたびWaymoが発表したのは、フェニックス・サンフランシスコ・ロサンゼルスの3都市で週5万回以上の自動運転タクシーの走行を達成しているという内容だ。平均すると、1分間に5回の運行を受け付けているという計算になるようだ。
Our safe and deliberate approach to scaling the Waymo Driver is gaining traction, as we’re now serving more than 50,000 paid trips every week across three major cities. Thank you to our riders for trusting us to get you to your destinations safely and reliably. pic.twitter.com/g0ws4QnV7v
— Waymo (@Waymo) May 9, 2024
また、これまでに100万回を超える乗客を乗せたドライバーレスの自動運転タクシー走行に成功しているという。なおWaymoによると、同社の自動運転タクシーを利用したいという人は増加している。
自動運転開発におけるライバルであった米GM傘下のCruiseは、2023年10月に歩行者が重傷を負った事故などが引き金となり、全米で自動運転タクシーのサービス提供を一時停止した。その後、一部都市でサービスを再開するとしているが、Waymoとの差は開くばかりだ。
■Uberとタッグでフードデリバリーも
Waymoは、2024年4月から自動運転タクシーによるUber Eatsのデリバリーをフェニックスで始動させた。Uberはすでに他の都市で自動運転ロボットなどによるフードデリバリーサービスの取り組みを行っているが、旅客輸送を行うWaymoの自動運転タクシーでデリバリーも行うのは、フェニックスが初めての試みとなる。
サービス展開エリア内でUber Eatsを注文する場合、ユーザーはアプリで「自動運転車が注文を配達する可能性があります」といったメッセージを受け取る。人間による配達を希望する場合は、承諾しないことも可能だという。
承諾した際は、注文後にWaymoの自動運転車両とマッチングした場合にユーザーに通知が来る。自動運転車が到着すると、ユーザーは自身のスマートフォンで車両のトランクを開け、商品を受け取るといった流れになっているようだ。
自動運転タクシーで人を運ぶほか、料理も運ぶというこの取り組みは、他のさまざまなサービスにも転用できそうだ。Waymoの躍進はとどまるところを知らない。
【参考】関連記事としては「Waymoの自動運転戦略」も参照。