日本初!別なバス会社が「一緒に」自動運転実証

京浜急行バスと東急バス、レベル2で走行



京浜急行バス、東急バス、東急の3社は、共同で自動運転の実証実験を2024年5月28日〜6月3日に神奈川県で行う。


バス事業者2社による実証実験はバス業界初だという。これまで、バス事業者などの交通事業者による自動運転の実証実験は各社個別に行われてきたが、会社間の垣根を越えて共同で小型モビリティによる自動運転の実証実験を行うことになった。

自動運転の社会実装を急ぐ場合、各社が連携し実証を実施することで、より大がかりな取り組みが可能になる。それにより、豊富な経験や知見を集結させることができる。同業他社が連携する今回の共同実証実験は、注目の試みだ。

出典:東急プレスリリース

■2つのエリアでセンターから遠隔監視

3社が行うのは、3つの実証実験だ。京急バスは、横浜市の能見台エリアの1周約3.2キロで自動運転バスを運行する。また東急バスは、川崎市・横浜市の虹ヶ丘・すすき野エリアの1周約1.9キロで自動運転バスを運行する。

どちらも運転席の運転者が常時周囲監視するという「自動運転レベル2で」の走行となる。信号機と自動運転技術との連携を運行区間内の1カ所で実施予定だという。LINEによる事前予約の上、一般市民の乗車を受け付ける。運賃は無料。


そして京急グループ本社ビル内に遠隔コントロールセンターを設置し、自動運転バスを遠隔監視する。1人の遠隔監視者が、異なるエリアで運行する2社2台の自動運転バスを運行管理するといった内容になる。自動運転の実証実験期間中の10時〜15時30分の間は誰でも自由に見学可能となっている。

自動運転バス車両から遠隔コントロールセンターへは、車両に搭載されたカメラからの映像や音声をリアルタイムで送信する。遠隔コントロールセンターは、リアルタイムに車両から連携される映像を確認し運行管理を実施する。

出典:東急プレスリリース
出典:東急プレスリリース

■東急バスと東急のこれまでの取り組み

東急バスと東急は、静岡県伊東市の伊豆高原駅付近に複数台の自動運転車両を監視・操縦可能な「遠隔コントロールセンター」を設置し、運行する車両の遠隔監視・操縦技術を検証する実証実験を2020年12月に行った。

また2021年度からは、静岡県が実施する自動走行実証事業「しずおか自動運転ShowCASEプロジェクト」を引き続き受託し、自動運転技術や遠隔コントロールセンターの高度化に加え、案内システムや予約システムの導入といった実用化に向けた取り組みを推進してきた。


さらに2022年9月と2023年3月には、川崎市麻生区・横浜市青葉区で遠隔監視により自動運転モビリティを運行管理するという実証実験を実施している。それにより多摩田園都市エリアをはじめとした郊外住宅地での自動運転車両を活用した移動サービスの展開に向け、検証を進めている。

■実証の成果に期待

今回の実証では「遠隔監視×自動運転」技術について、バス運転士の安全性向上や運転業務の負担軽減につなげるために検証する。自動運転については、自動運転技術を活用した新たな移動サービスを検証する。また信号機との連携や、一般車両との協調による安全な運行をするための検証を行う。

京浜急行バスと東急バス・東急がタッグを組み、自動運転実装に本気で取り組むこのプロジェクトの、今後に期待だ。

【参考】関連記事としては「混雑道路&狭い道路で自動運転バス!遠隔監視下で運行検証」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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