「自動運転はいつ実現?」ChatGPTの回答は…?

時期にばらつき、AIでも予測困難?



出典:ChatGPT公式サイト

米OpenAIが開発を進めるチャットボット「ChatGPT(チャットジーピーティー)」が大きな反響を呼んでいる。AI(人工知能)とチャット(会話)することが可能なプログラムだが、その精度の高さに各方面から賛辞が寄せられているのだ。

米国の医療系企業が医師国家試験を出題したところ、ChatGPTは合格ラインを突破したという報道もある。


そんな優秀なChatGPTは、自動運転に関する質問にどのように答えるだろうか。早速自動運転に関する質問を投げかけてみた。(※ChatGPTの回答は改行などを直さず、そのまま引用しています)

■ChatGPTとは?

ChatGPTは、AI研究機関のOpenAIが開発した自動会話プログラムで、GPTという言語モデルにより対話を行う。ユーザーの質問に答えたり間違いを認めたり、また間違った前提に異議を唱えたり不適切な要求を拒否したりする。

2022年11月にプロトタイプが一般公開され、その応用範囲の広さや精度の高さから2カ月で登録者は1億人を超えたという。

登録にはメールアドレスや電話番号などが必要だ。フリープランは応答速度がやや遅いものの無料で利用できる。月20ドルのサブスク版「Plus」は応答速度が高速化され、新機能の優先アクセスも得られる。


回答は正当を保証するものではなく、時に間違った内容を提示することもあるが、多くのユーザーとの会話をフィードバックし、さらなる精度向上を目指しているようだ。

【参考】OpenAIの公式サイト・ChatGPTは「こちら」からアクセスできる。

■自動運転に関する質問と回答
──自動運転はいつ実現する?

ChatGPT「自動運転技術は現在進歩が進んでおり、多くの自動カーがテストドライブや限定的な実用化に利用されています。でも複雑な問題を解決する必要があり、実現するまでには時間がかかることが予想されます。 2030年代半ば以降のことが多いと言われています」

同様の質問を別のタイミングでしてみたところ、「自動運転技術は、現在進行形で進化していますが、完全な自動運転の走行を実現するのは、将来のことです。実際の導入時期は国や地域によって異なり、法律や技術の問題なども影響します。現在、一部の自動運転技術が導入されていますが、完全な自動運転にはまだ数年かかると考えられています」と返ってきた。


自動運転、あるいは完全な自動運転の定義がやや曖昧なのかもしれず、「2030年代半ば以降」「まだ数年かかる」とばらつきが生じる結果となった。

──完全自動運転はいつ実現する?

ChatGPT「完全な自動運転技術は完全に実現されていません。多くの課題がまだ解決していないため、完全な自動運転のサービスが一般消費者に普及するにはまだ時間がかかる可能性があります。例えば、複雑な道路や状況に対応するためのセンサーや登録の開発、安全性の向上、方法の整備などが挙げられます。普及に向けて、技術的な課題だけでなく、社会的・文化的な課題も解決する必要があります。一部の地域や用途においてはすでに自動運転の技術が使われており、今後も拡大する可能性があります。 詳細なタイムラインは正確に予想することは困難ですが、将来的には完全な自動運転が一般的に実現されると考えられています」

非常に模範的な回答だ。

出典:Waymo公式ブログ
──自動運転は安全ですか?

ChatGPT「自動運転技術は、人手での運転よりも安全性が高い可能性があります。一方、自動運転システムは24時間365日運行し、疲れや力注意の低下など人為的な要因から独立して運行するため、これらの課題を回避することができます。ただし、自動運転技術はまだまだ発展途上であり、技術的な課題や安全性の保証に関しては今後も発展が期待されています。また、自動運転システムは情報セキュリティ上のリスクも伴いますので、これらに対する対策も重要です。多くの企業や研究者がこれらの課題に引き続き課題であり、自動運転技術が安全であるように努力しています」

これも模範的な回答だ。

──自動開発運転が進んでいる国は?

ChatGPT「運転技術の開発が進んでいる国としては、世界各国に自動化された取り組みが行われていますが、特に以下の国が挙げられます。特にサンノゼやシリコンバレーなどのハイテク地域では多くの自動運転関連の企業が集積しており、開発が進んでいます。
ドイツ:高度な技術力と自動車産業の豊富な歴史がある国として、自動運転技術の開発に力を入れています。特に自動車メーカーや技術関連の企業が多く、研究開発も進んでいます。
中国:最近急速に発展している国として知られています。
日本:高度な技術力と豊富な自動車産業の歴史があり、自動運転技術の開発にも力を入れています。 特に自動車メーカーや技術関連の企業が多く、研究開発も進んでいます」

米カリフォルニア州をはじめ、ドイツ、中国、そして日本にも言及してくれた。

──自動運転技術の課題は?

ChatGPT「自動運転技術にはいくつかの課題があります。以下に一部を紹介します。
技術的課題:自動運転技術はまだ発展途上であり、複雑な状況に対応することや高い精度など技術的な課題が残っています。
方法課題:自動運転車が起こす事故に対する責任問題や、データのプライバシーなどの法的課題が残っています。
社会的課題:自動運転車が普及することで、ドライバーの求人の減少などの社会的な影響が注目されています。
実装の課題:自動運転車を実際に道路で使用するためには、インフラの整備や道路の整備が必要です。
これらの課題を克服することができれば、自動運転車の普及が促進されることが期待されています」

これも模範的回答だ。

──自動運転にLiDARは必要ですか?

ChatGPT「自動運転技術にLiDAR(Light Detection and Ranging)は必要なのかどうかは議論の補足があります。 一部の自動運転開発者やメーカーはLiDARを必要としていますが、他の人はLiDARを必要としないと主張しています。LiDARは自動運転車の認識能力を高めるために使用されます。LiDARは周囲の環境をレーザー光を使ってスキャンして、精密な3Dマップを作成することができます。自動運転車は周囲の環境を正確に調整することができます。また、他の感覚技術(例えば、カメラやレーダー)を使って代用することもできます。結論として、LiDARは自動運転に必要かどうかは、開発者やメーカーの戦略や技術の選択によって異なります」

LiDARの機能や役割なども大まかに把握しているようだ。

出典:Velodyne Lidarプレスリリース
──自動運転の要素技術は何ですか?

ChatGPT「自動運転は、様々な要素技術の統合によって実現されます。
センサー技術:自動運転車は、周囲の環境を整えるためにカメラ、レーダー、LiDARなどのセンサーを使用します。
地図技術:自動運転車は、周囲の道路や構造物を調整するために精密な地図を使用します。
ナビゲーション技術:自動運転車は、目的地までの最適な経路を決定するためにナビゲーション技術を使用します。
車両コントロール技術:自動運転車は、加速、ブレーキ、ハンドルなどの車両操作を自動で行うために車両コントロール技術を使用します。
車間通信技術:自動運転車は、他の車や交通信号などとの遮断を行うために車間通信技術を使用します。
これらの要素技術を統合することによって、自動運転車は独立して道路を走行することができます」

AIに対する言及がないものの、ポイントをしっかりと網羅している。

──イーロン・マスクは完全自動運転を実現しますか?

ChatGPT「イーロン・マスクは、完全自動運転技術の開発に関心があり、関連する企業を推したり、自社開発のプロジェクトを進めています。しかし、完全自動運転技術はまだ完全な形では確立されておらず、技術的な課題も多いため、いつでも完全に運転が実現されるかは現時点では予測できません。イーロン・マスクは、技術を克服して完全自動運転を実現することを目指していますが、技術的にも方法にも困難な課題があるため、そのタイムフレームは不確定です」

OpenAI設立者に名を連ねるテスラCEOのイーロン・マスク氏に関する質問をしてみたが、無難な回答が返ってきた。

テスラのイーロン・マスクCEO=出典:Flickr / Public Domain
──自動開発運転で有名なエンジニアは誰ですか?

ChatGPT「自動運転技術の開発に続いている多くのエンジニアがいますが、特に有名なエンジニアとしては次のような人々が挙げられます。
Chris Urmson – Alphabet Inc.(Google)の自動運転プロジェクト、Waymoのボス
Anthony Levandowski – Waymo、Otto、Neuralinkなどの起業家、技術者
Rodney Brooks – iRobot、Rethink Robotics、Anki などのテクノロジー企業の共同財政者
Jamie Barrett – Tesla Autopilot チームのリーダー
Jianxiong Xiao – AutoX、Robot with AI を共同金融
これらのエンジニアたちは、自動運転技術の開発に関連する企業をめぐり、業界を牽引する役割を担っています。新しい技術の開発につながっています」

Chris Urmson氏は、グーグルの自動運転開発プロジェクトでプロジェクトリーダーを担っていた。その後独立し、Aurora Innovationを立ち上げている。

Anthony Levandowski氏はグーグルの自動運転開発プロジェクト立ち上げメンバーの一人で、グーグルストリートビューの開発にも関わっている。後に独立したが、機密情報を持ち出したとしてグーグルに訴えられた人物だ。なお、Neuralinkの立ち上げに関わったという情報は見当たらない。

Rodney Brooks氏はコンピュータビジョンやロボティクスの権威で、掃除ロボット「ルンバ」で知られるiRobot設立メンバーの1人でもある。トヨタのTRIにも一時所属していた。

恐らく、質問するたびに人選が少しずつ変わっていくのではないだろうか。

──自動運転の主力プレイヤーは?

ChatGPT「自動運転技術の主要プレイヤーは、次のような企業、開発グループ、政府などがあります。
Waymo – Alphabet(Google)傘下の自動運転技術開発企業
Tesla – 自動運転技術を備えた電気自動車の製造、販売
BMW Group – 自動運転技術を備えた自動車の製造、販売
Daimler AG (Mercedes-Benz) – 自動運転技術を備えた自動車の製造、販売
Audi AG – 自動運転技術を備えた自動車の製造、販売
General Motors (Cruise) – 自動運転技術開発、自動車の製造、販売
Baidu Inc. – 中国のテクノロジー企業、自動運転技術開発
Uber ATG – 自動運転技術開発、自動車のレンタルサービス
これらの主要なプレイヤーは、自動運転技術の開発、普及、市場シェアの獲得を目的としています」

Uber ATGはAurora Innovationに買収されているが、割と無難な回答に思える。

──自動運転技術を活用したサービスにはどのようなものが考えられますか?

ChatGPT「自動運転技術を活用したサービスには以下のようなものが考えられます。
自動タクシー運転:乗客がアプリなどでタクシーを呼び、自動システムを搭載した自動運転タクシーが乗客を運ぶサービス。
自動運転バス:自動運転システムを搭載したバスによる公共交通サービス。
自動運転デリバリー:自動運転システムを搭載した車両やロボットによる商品や料理などの配達サービス。
自動トラック運転:自動運転システムを搭載したトラックによる貨物運搬サービス。
自動運転ロボット:自動運転システムを搭載したロボットによる特殊なタスクや業務の自動化サービス。
これらのサービスにより、人間ドライバーの手間や関心事がなくなり、安全性やスムーズな運行が期待できます。ただし、自動運転技術はまだまだ進化途上であり、多くの課題が残されています」

しっかりとポイントを押さえている印象だ。

──自動運転レベル3のメインプレイヤーは?

ChatGPT「自動運転レベル3の主要プレイヤーは、以下のような自動車メーカーや開発技術企業などが挙げられます。アウディ BMW ダイムラー(メルセデス・ベンツ) テスラ Waymo (アルファベット傘下のGoogle) ゼネラルモーターズ(クルーズ) トヨタ ボルボ 日産

え、ホンダは……?

──自動運転レベル3ですが、開発プレイヤーにホンダがいないようですが。

ChatGPT「申し訳ございませんが、先ほどは誤りです。ホンダも自動運転レベル3の開発が進んでいるメーカーの一つです」

素直に訂正してくれた。

──自動運転をテーマにした小説を書いて。

ChatGPT「『未来へのドライブ』
2050年、自動運転技術が急速に進化し、人間のドライバーは不要となった。ジョンは今まで車を運転することが仕事であった彼は、不安にさいなまれる日々を送っていた。
彼らは、自動運転タクシーに乗っている人々に人間のドライバーを提供するサービスを始めたのだ。ジョンは興味津々でこの仕事に応じて、自動タクシー運転に乗って、乗客たちの旅を案内することにした。
ジョンは、乗客たちとの会話を通じて、自動運転技術の普及がもたらした社会の変化を知り、自分自身も変化していくことに気づいていく。人々のライフスタイルを大きく変えたことを感じ、また、自動運転が問題をもたらしたり拒否も目の当たりにする。
ジョンは、自動運転技術がもたらす未来を見つめながら、自分自身も変化していく旅を通じて、人間の愛と友情、そして感謝の意味を再調整します」

拙い文章だが、なかなか興味深い内容だ。自動運転時代が到来した後、あえて手動運転を提供するサービスを行い、これを通じて社会の変化を実感する……といった感じだろうか。

■【まとめ】自動運転の概説としては及第点?

一部間違った回答はあるものの、これが現時点におけるChatGPTの実力だ。エンジニアや開発企業などはバイアスがかかったような回答に感じられるが、自動運転の実現時期や機能、要素などの概説としては及第点ではないだろうか。

AIが学習を重ねることで、ChatGPTはまだまだ進化を遂げていく。自動運転同様、AIの進化は新たなビジネスやサービスを生み出していくのだろう。

【参考】関連記事としては「自動運転車、「チャットGPT」の音声版が大活躍する未来」も参照。


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