建設コンタルタント大手の日本工営。日本においてもさまざまな自動運転実証に関わっているが、「海外×自動運転」の切り口でもビジネス開拓に力を入れ始めている。
最近では、ベトナム・ホーチミン市中心部から北約30キロに位置するビンズン新都市において、自動運転車の実証実験を2022年10月1〜9日に行っている。
実証実験は日本工営のほか、東急、不動産開発を手掛けるBecamex Tokyu、AI(人工知能)、次世代モビリティの研究開発を手掛けるPhenikaa Xの4社により行われている。
今回の実証を契機に、4社はビンズン新都市のスマートシティ化への貢献と他地域展開を視野に入れた連携も進めていくという。
■ビンズン新都市の公共交通不足に挑戦
東急とBecamex Tokyuが進めるビンズン新都市開発では、ラストワンマイル向けの公共交通の不足が課題となっている。日本の路線バスシステムが採用されている「KAZESHUTTLE」のほか、タクシーやライドヘリングは利用できるものの、いまだバイク利用者が多いのが現状だ。
今回の実証は、Phenikaa Xが開発した自動運転車両を用い、ビンズン省庁舎とBecamex Tokyuが開発を進める商業施設間の1周750メートルのエリアで実施されている。ベトナムにおいて、公道での自動運転の実証は初の取り組みだという。
またMaaS(Mobility as a Service)の実証として、路線バスアプリ「BusMap」で自動運転車の運行状況や位置情報を提供することで、路線バスから自動運転車へ乗り換えを促進するという。
日本工営の主な役割は、自動運転技術やMaaSに関するコンサルティングと、スマートシティ化へ向けた計画やデータ分析などだ。
■東南アジアでモビリティ関連事業
日本工営は近年、東南アジアでのモビリティ関連事業に注力している。
2021年8月にはシンガポールの道路維持管理・交通安全対策に関し、ビッグデータを活用した支援を発表した。インドネシアにおいては、移動ビッグデータを活用した実証実験などに参加している。
自動運転技術やMaaSなどモビリティ分野の革新は、日本だけではなく海外においてもビジネスチャンスがある。中国政府・企業がこうした分野における海外展開を加速している中、日本工営をはじめ日本企業の動きにも着目していきたい。
【参考】関連記事としては「日本工営、インドネシアでMaaS支援 ビッグデータ解析などで協力」も参照。