中国の調査会社「ResearchInChina」の市場調査レポート「世界および中国の低速自動運転車産業 2019年~2020年」によれば、全世界における2019年時点の自動走行型ミニバスの台数は約700~900台で、自動走行型配送車は約2000~3000台存在しているという。
同レポートでは、こうした低速自動運転車が2020年には1万台を超えると予想している。新型コロナウイルスの影響で実証実験などは実施しにくくなっているものの、一方で自動運転の有用性の認知が広がったこともあり、今後も順調な市場の拡大が見込めそうだ。
■EasyMileは全世界で230以上のプロジェクトを企画
2019年は低速自動運転の実用化が進んだ1年だった。例えば、フランスの自動運転バス開発ベンチャーEasyMile(イージーマイル)社は全世界で230以上のプロジェクトを企画し、カナダの一部の公道で既に通常運行に至っている。
中国のIT大手・百度(Baidu)が開発・販売している自動走行型ミニバス「Apolong」にも注目だ。同レポートによれば、既に100台以上のApolongが各地で稼働しているという。
ただし、今後の低速自動運転市場のさらなる拡大には課題もある。一層の普及に向けては国による規制緩和や法整備も不可欠で、日本を含め官民一体の取り組みが今後より求められる。
■2020年は世界各地で一層実用化が進む
新型コロナウイルスは自動運転技術の実用化の機運を高めた。日本を含めアメリカなどでも自動運転車を使った除菌や配送などが実験的に始まっているが、中国における活用具合は目を見張るものがある。
2020年2月には中国のスタートアップNeolix Technologiesが、武漢での疫病対策活動に18台の自動走行型車両を使用した。そのほか、JD LogisticsやIdriverplus、Uisee Technology、Meituanなどの企業が開発する自動配送車も、新型コロナウイルス下で活躍したという。
「低速」の自動運転車は事故が起きたときのリスクも小さめであることもあり、実用化のハードルも低めだ。そのため2020年は世界各地で一層実用化が進むとみられている。
【参考】関連記事としては「2020年の自動運転実証、コロナ患者減で実施続々と 首相は「配送実証」へ号令」も参照。