マーケティング事業を展開する株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区/代表取締役社長:田中一志)は2020年3月17日までに、電動化や自動運転化などのCASE技術を支える車載電装システムの世界市場調査を公表した。
調査結果は「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2020(上巻)システム/デバイス編」に集約されている。今回発表された市場調査の概要を説明していこう。
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■自動運転システム市場:2030年には2018年比で464倍に
この調査によれば、世界全体の自動運転システムの市場は2030年には2兆2781億円となることが予測され、2018年と比較すると464倍の規模になるという。なおこの調査での「自動運転システム」は、自動運転レベル3(条件付き運転自動化)からレベル5(完全運転自動化)のシステムと定義されている。
発表によれば、自動運転システムは現時点でドイツメーカーの一部車両のみに搭載されているが、2020年代前半以降には日本メーカー車両への搭載が予想されているという。前者はアウディの「A8」、後者はホンダが発売するとみられる車両のことを指していると考えられる。
また「自動運転の目」とも呼ばれる「LiDAR」は2021年ごろから安価な製品が増え、2030年ごろには自動運転レベル3システムの価格が低下し、搭載車両の急激な増加が見込まれるという。
■ADAS市場:2030年には1兆3037億円まで拡大
ADAS(先進運転支援システム)については、2020年時点でも世界的に搭載車が増えている。2020年以降は各国が自動ブレーキの搭載義務化を進めていくことでADASの搭載車がさらに増加し、2030年のADAS市場は1兆3037億円まで拡大するという。
ちなみに日本におけるADASの2019年の市場規模見込みは755億円で、2030年には1174億円となる見込みだという。
■車載電装システム市場:2030年には48兆9120億円に
車載電装システムの世界市場については、パワートレイン系、HV/PHV/EV/FCV系、走行安全系、ボディ系、情報通信系の計24品目で調査された。今後どの分野も堅調に伸び、車載電装システムの全体市場は2030年には48兆9120億円まで拡大するという。2019年見込みの約2倍だ。HV/PHV/EV/FCV系と走行安全系の伸びが特に市場拡大をけん引するという予測となっている。
■【まとめ】車両開発やパーツだけではなく
自動運転の領域に関して言えば、車両開発やパーツだけではなく、さまざまな関連業界でも市場の拡大が見込まれる。MaaS、5G、テレマティクス保険…。これらの市場規模予測についても合わせて知っておきたいところだ。
【参考】関連記事としては「AI自動運転やMaaS、ライドシェアなどの将来市場規模予測10選」も参照。