自動運転業界へ転職する具体的な方法は?【この機を逃すな!「自動運転×転職」特集 第2回】

転職サイトやエージェント…あなたに合った方法は?



終身雇用という慣行が崩れ、人材の流動化が日本でも進んでいる。一つの企業に生涯を捧げる時代は幕を閉じ、より自分を生かせる場や高待遇などを求めて新境地を目指す人も多くなった。

今後大きく市場規模を伸ばすと予測されている自動運転業界に関心を持つ人も多く、業界の将来性に希望を抱く人や、新技術の開発によって新しい社会づくりに貢献したい人など、さまざまな求職者が自動運転業界への道を探っているようだ。

そこで今回は、自動運転業界へ転職する方法について解説していこう。

■企業サイトから直接エントリー

すでに転職希望先を特定の数社に絞っている人や、自動運転業界において著名な企業を考えている人などは、直接各企業の公式サイトを閲覧し、採用情報を調べるのが効率的だ。

各社の採用情報ページでは、職種や待遇、勤務先などの基本情報をはじめ、力を入れている開発分野や社員の生の声などが特集されている場合が多い。開発環境は千差万別のため、実際の現場の空気を感じられるような特集ページは非常に参考になるだろう。

例えばトヨタ自動車のキャリア採用情報ページでは、要素技術や部門などから募集中の職種を検索できるプラットフォームや、トヨタを知るための公式ニュースルームやトヨタイムズ、社内情報配信サイトのインサイドトヨタなどの案内、CASE特集、社員インタビュー、福利厚生と職場環境、応募要項・選考プロセスなどがまとめられている。

また、トヨタグループの国内研究開発拠点であるTRI-AD(トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント)の採用情報ページは英語表記をベースとしており、グローバルな視点で全世界を対象に優れたエンジニアを募集するとともに、そうした環境下で活躍できる人材を求めていることを示唆している。

言うまでもないことだが、各社の企業風土・企業色を知るためにも各社公式サイトへのアクセスは必然の時代だ。採用に向けた企業説明会などのイベント情報が随時更新されていることもあり、しっかりとチェックしたい。

【参考】主要各社の採用情報ページについては「自動運転業界の技術者・エンジニア採用ページ12社分を総まとめ」も参照。TRI-ADについては「応募の嵐を生む、トヨタ自動運転子会社TRI-ADのオフィス哲学」も参照。

■転職サイトを利用して探す

自動運転関連業において、不特定多数の企業の中から自分に合った企業を選ぶには、転職サイトの利活用が有効だ。業界の裾野は広がり続けているため、今まで知らなかった企業と巡り合うこともできる。

自動運転ラボが定期的に調査を行っている主要転職サイト6社における2019年12月末時点における求人数は、求人数が最多のIndeedが前年同期比約70%増の1万5751件、dodaが同約40%増の1555件、リクナビNEXTが同約626%増の652件、マイナビ転職が同約11%増の93件、ランスタッドが同約289%増の202件、エン転職が同約2%減の42件となっている。

【参考】自動運転関連求人の最新調査結果については「自動運転関連求人が超急増!2019年は71.6%増の18,295件に」も参照。

求人情報専門の検索エンジンとして、求人サイトやメディア、企業の採用情報ページを巡回して情報を集めているIndeedがやはり求人数では群を抜いている。

一方、dodaをはじめとした転職情報サイトは、転職を支援する情報やサービスが充実している。dodaはエージェントサービスやスカウトサービスなどを提供するほか、過去に「実はあなたも活躍できる!?自動運転技術の世界」や「自動運転に関わる業界・企業の最新動向は?」などの特集ページを設け、自動運転の概要をはじめ自動運転技術に関連する企業や仕事、業界の最新動向などを掲載している。自動運転に関心を持ち始めた転職層にとって非常に参考となる内容だ。

リクルートグループのリクナビNEXTも、ビジネスパーソンのためのキャリアとビジネスのニュースを提供するメディア「リクナビNEXTジャーナル」などで自動運転に関する記事を配信しているようだ。

各サイトとも、キーワード検索や職種、勤務地、雇用形態、年収など細かな条件で検索することができ、「この企業も自動運転に係っていたのか」「この技術も必要とされているのか」など新たな発見と巡り合える機会も多い。

自動運転業界に関心を持ち始めた人や、選択肢をより多く求める人などはまず転職情報サイトをチェックしてもらいたい。

■転職エージェントを利用してヘッドハンティングされる

転職市場には、人材と企業を結び付ける転職エージェントサービスも用意されている。転職情報サイトは自ら情報を探すことがベースとなるが、エージェントサービスは転職を支援するプロが専任の担当者として各転職希望者にマッチした企業を紹介してくれる。

doda、リクナビNEXT、マイナビ転職、エン転職などの転職情報サイトもエージェントサービスやスカウトサービスを用意しており、キャリアアドバイザーによるカウンセリングや非公開求人の紹介、職務経歴書の添削、面接日程調整の代行、雇用契約書の手続き代行、企業サイドからのアプローチなど、さまざまなサービスを受けることができる。

また、ビズリーチのように、優れた即戦力人材と企業をつなぐサイトとして人材プラットフォームを形成し、ヘッドハンターや企業に向けた人材市場作りに力を入れているサイトなどもある。

自身のキャリアを踏まえたうえで必要としてくれる企業に縁を感じるなど、受動的な人が利用する面もあるが、自身のキャリアに自信があるからこそエージェントやスカウトサービスを利用し、自らを高く売るといった側面もあるようだ。

■募集はしていないものの有望なベンチャーに直接連絡をとってみる

立ち上がったばかりのベンチャーなど、創業者メンバーら少数精鋭で企業活動を行っているケースや、不特定多数を対象とせず一本釣りを行っているケースも多い。真に志を同じくする「同志」を求めているケースなども公に募集を行わないことが多い。

自動運転業界をリサーチしていて、まだまだマイナーな存在ながら自分のビジョンと合致し、将来性を強く感じる有望な企業に出会ったとしても、採用活動を行っておらずため息をついて諦める――といったこともあるだろう。

ただし、こういった出会いはめったに訪れず、後々尾を引きずることにもつながりかねない。ダメ元でアプローチし、経営者らの話を直接聞く機会を求めてみるのも手だ。思いのほか意気投合する可能性もある。当面の待遇は期待できないかもしれないが、将来性を信じて新技術の礎となる道を目指すのも転職の妙味だろう。

■【まとめ】継続的なスキルアップと情報収集は必須 ビジョンも明確に

日本の企業風土を考慮するとあまり褒められたものではないが、特定の企業に入社して技術を磨き、それをステップに目的の企業への転職を目指す――といった方法もある。踏み台となる企業には申し訳のない次第だが、終身雇用が終わりを告げた今、自社からの人材流出を防ぐ手立てを各企業とも講じなければならないのだ。

いずれにしろ、転職希望者は自身の武器が何か、そしてどのような開発に携わり、どのような社会を構築していきたいのかを明確にしておく必要がある。自己分析は必須だ。自意識過剰で口先だけの技術や知識では、そのうち爪弾きにされてしまうだろう。その意味では、安易・軽率な転職は控えたほうが自分のためになる。

将来有望な業界には、非常に多くの人材が集まる。その中で自分のスキルをいっそう高め、勝ち残るためにも、今ある環境の中で自身の武器を磨き上げ、しっかりと情報収集したうえでアクションを起こそう。

>>特集目次

>>第1回:自動運転業界への転職、3つのパターン

>>第2回:自動運転業界へ転職する具体的な方法は?

>>第3回:自動運転業界、採用に積極的な企業は?

>>第4回:自動運転業界で求められているエンジニアは?

>>第5回:非エンジニア職でも自動運転業界に転職できる!求められる職種は?

>>「自動運転×デジタル人材」で採用支援サービスを本格展開【ストロボ・下山哲平】

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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