自動運転業界への転職、3つのパターン【この機を逃すな!「自動運転×転職」特集 第1回】

エンジニア中心に求人多角化、サービス開発を担う人材も





世界各国で実用化のフェーズに入り始めた自動運転。自動運転システムのさらなる高精度化や大量生産に向けた効率的かつ効果的なシステムの開発、自動運転技術を活用したモビリティサービスの開発など、業界における開発競争は白熱する一方だ。







豊かな将来性から高い関心を集め、転職を考えている人も多い自動運転業界。その反面、AIエンジニアを筆頭に人材がまだまだ不足している業界でもある。

今回は、業界の有望性とともに、どのような人が業界に求められているのかを3つのパターンに分けて解説していこう。




■いま自動運転業界が熱い理由

世界各地で開発が進められている自動運転システムは、公道実証が進み、一定の技術水準に達している。現在は、走行可能なエリアや環境条件などODD(運行設計領域)を広げるため、走行経験を重ねながらシステムの精度を上げていく段階に入っている。

グーグル系ウェイモのように一部の自動運転システムはすでに実用化域に達しており、ODDの拡大とともに量産体制の構築を進める動きも出ている。高額になる自動運転システムの量産化においては、いかに性能を保ったまま低価格で生産できるかがカギとなるため、LiDAR(ライダー)などのセンサー類をはじめ高品質・低価格の新たな製品開発も進められている。

また、既存のシステムとは全く異なるアプローチによる自動運転システムの開発や、他分野への技術の転用なども今後進んでいくことになるだろう。開発の熱はまだまだ高まっていくのだ。

自動運転関連の求人数は高い伸び

検索型求人サイトの米インディード(Indeed)によると、2015年から2019年の4年間で自動運転関連の求人は833%の伸びを見せた。

自動運転ラボの独自調査による自動運転関連の求人調査では、主要6転職サイトにおける2019年12月末時点の求人数が前年同期比71.6%増の1万8295件と大幅な伸びを示し、新型コロナウイルスの影響を受けた2020年3月末時点でも、前年同月比30.6%増を記録している。

待遇面も魅力的な自動運転領域

待遇面も魅力だ。エンジニアの争奪合戦が著しい米シリコンバレーはその傾向が顕著に表れており、若干古いデータとなるがForbesが2017年3月に報じた記事によると、シリコンバレーを含むカリフォルニア州西海岸のベイエリアにおける自動運転技術者の報酬の幅は23万2000ドル(約2500万円)〜40万5000ドル(約4000万円)で、平均29万5000ドル(約3300万円)に上るという。

日本国内では、さすがにシリコンバレーほどの待遇はなかなかお目にかかれないが、それでも年収1000万円超がごろごろしている。

また、業界の将来性が何よりも魅力的だ。現在は先行投資の段階だが、近い将来研究が実を結び、事業の収益化が始まれば待遇は一段も二段も上がる可能性が高い。今のうちに自動運転業界に腰を据え、研究開発に貢献しておけば将来大きなリターンを望めそうだ。

【参考】自動運転エンジニアの年収については「自動運転エンジニアの年収・給与はいくら? 技術者の転職事例も紹介」も参照。

■パターン1:別な業界からの転職

自動運転業界に求められる技術は幅広く、他業種で培った技術を生かせる場面も多い。例えば、センサーで用いられる画像認識技術は、医療分野をはじめ製造業や警備業など多岐にわたる分野と共通している。コネクテッドカーで用いられる通信技術は、携帯電話や通信機器メーカーの技術が大いに役立つ。

近年注目が高まる音声認識技術も、オーディオ機器メーカーらの躍進が際立っている。EV化の波も著しく、バッテリー関連の研究を進めている人も花形になれそうだ。

従来の自動車メーカーが保有していない技術が自動運転には多く必要とされており、そのため各自動車メーカーは異業種や有力スタートアップとの提携・買収などを通じて積極的に新たな技術を取り入れているのだ。異業種からの自動運転業界参入が多発しているのもこれが理由だ。

ただ、他社に依存していては最新の技術を自社のものにできず、ライバル社への技術流出や将来の開発競争への不安が常に付きまとう。他社と提携しつつも自社開発を推し進め、独自の最新技術を構築するのが一つの理想となるため、自動運転そのものの知識が薄くとも要素技術を持つエンジニアは重宝される。

【参考】自動運転業界における異業種エンジニアについては「自動運転業界に求められる異業種エンジニア、転職・求人サイトで需要急増」も参照。

■パターン2:自動車業界内での転職

すでに自動車業界に身を置く人も、業界内における転職で活路が広がるケースもある。自動車メーカーにおける開発は自動運転のみならず、従来の自動車開発を中心に多岐に渡る部署が用意されている。特定の自動車メーカーなどで長く開発に携わっている人でも、希望する部署やポストに巡り合えないケースは決して少なくない。

自動運転に高い関心があるにもかかわらず内燃機関の研究開発に回されていては、モチベーションを維持できない。自動運転部署への異動もいつ回ってくるのかわからない。このような環境で他部署の研究開発に従事している人は、直接自動運転関連のポストを目指すべく、一念発起して他社の自動運転関連の求人を探すのも一つの手だ。

業界内における転職に後ろめたい気持ちを持つ人も多そうだが、欧米では普通のこと。特に最新技術の開発分野においては、各企業が有力なエンジニアをどのように確保するかが問われるため、手放すことになった企業の待遇に改善すべき点があるという事実が残るのみだ。

引く手あまたの自動運転エンジニア。売り手市場が続く今だからこそ、自身の価値を見つめなおしても良いのかもしれない。

■パターン3:キャリアチェンジでの挑戦

全くの異業種出身で、自動運転に関連する技術を持たない人にもチャンスはある。自動運転の開発とともに、自動運転技術を活用した新たなモビリティサービスの開発も進行しているからだ。

自動運転をはじめ最新の技術全般に共通することだが、開発した技術が最終的にどのように社会に貢献し、活用されるかが最も重要となる。

現在、各地で実証が始まったMaaS(Mobility as a Service)においても、効率的かつ効果的な移動サービスを提供するために自動運転技術をどのように生かすかが問われている。

開発が進む超小型モビリティなども将来自動運転機能が搭載される可能性が高いが、こうした新たな移動手段も、どのようなタイプの乗り物をどのような形で提供するのが社会の需要に適しているのかを考え続けなければならない。

モビリティ業界全般に広げると、タクシー業界を中心に浸透が進むスマートフォンを活用した配車サービスなども関連してくるだろう。MaaS含めこれらのプラットフォームが自動運転による移動サービスにも応用される可能性が高いからだ。

これらの分野で活躍する人は、自動運転開発エンジニアとは異なる能力が求められる。今後どのようなモビリティが社会に求められるのかを的確に見定められる人や需要を掘り起こせる人など、企画力や想像力が求められる場面が増加するだろう。

自動運転に関する基本的な知識・情報を習得することは必然となるが、自動運転と社会を結び付け、ビジネス化できる人材も業界にとって必要不可欠な存在なのだ。

新たな分野ゆえにプロフェッショナルがまだまだ少なく、育成の余地も大いにある。サービスが本格化する前段階の今のうちにこの分野に身を置くことで、自動運転時代の到来時に第一線で活躍できる可能性が大きく高まりそうだ。

【参考】MaaSについては「【最新版】MaaSとは?基礎知識まとめと完成像を解説」も参照。




■【まとめ】自動運転やMaaS関連求人が今後も増加

AIや各種センサーなど、直接自動運転に関連した技術を有するエンジニアはもちろん、幅広い分野で人材が求められていることがわかった。特にMaaS分野の裾野は広がり続けており、今後全く想像もつかない異業種がモビリティと結びつく可能性も高い。関連する求人も今後大きく伸びることだろう。

技術職以外の人材も多く求められる自動運転業界だが、自動運転やMaaSに関する基礎的な理解がなければ何も始まらない。業界に関心のある人は、積極的に自動運転に関するニュースやトピックに触れてもらいたい。

>>特集目次

>>第1回:自動運転業界への転職、3つのパターン

>>第2回:自動運転業界へ転職する具体的な方法は?

>>「自動運転×デジタル人材」で採用支援サービスを本格展開【ストロボ・下山哲平】

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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