非エンジニア職でも自動運転業界に転職できる!求められる職種は?【この機を逃すな!「自動運転×転職」特集 第5回】

異業種連携で新サービスの生みの親に



新型コロナウイルスの影響の中でも、エンジニアを中心に採用活動が盛んな自動運転業界。AI(人工知能)やセンシング技術を持ったエンジニアは引く手あまただ。

ただ、自動運転の実用化が近付くにつれ、非エンジニアの求人もどんどん増加している。自動運転技術は開発して終わりではなく、その技術を社会の中でどのようにビジネス・サービスに結びつけていくかが問われるからだ。この分野では、企画力や営業力などエンジニアとは異なる能力を持った人材が求められる。

今回は、非エンジニア職としてどのような人材が求められるのかに焦点を当て、業界の動向に迫ってみよう。




■「事業開発」関連:サービスの企画やビジネスモデルの創出

事業開発関連では、自動運転技術を活用した新たなモビリティサービスの企画やビジネスモデルの創出などが代表に挙げられる。

すでに事業化を見据えた開発が進められているタクシーやバスは自動運転技術を用いた移動サービスの代表格で、このほかにも宅配事業や警備ロボット、清掃ロボットなど、多方面でサービス化が進められている。こうした自動運転モビリティを活用した新たなサービスを生み出し、ビジネス化していくことが求められる。

例えば、超小型モビリティ・マイクロモビリティの開発・実用化を各社が進めているが、こうした新たなモビリティの中でどのようなものが自動運転との相性が良く、どのような手法で社会に導入すれば受け入れられるのかといった観点や、成長を続けるカーシェア市場に自動運転車をどのように投入すれば採算性が上がるのかといった観点など、事業性を考慮した調査や企画を行っていく。

既存事業と結び付け新たな価値を生み出す発想力も求められる

また、自動運転車などが収集するデータをビッグデータとして有効活用し、新規事業につなげていくことなども考えられるだろう。自動運転を生かした移動コンビニや移動ホテルなど、既存の事業と結び付けて新たな価値を生み出す発想力も重要だ。

MaaSが浸透していく今後は、移動の概念そのものが変わっていくため、自動運転を含めさまざまなモビリティがどのような形で導入され、連動していくことが望ましいかを考えていくことも重要だ。MaaS分野には、各交通事業者をはじめさまざまな業種が参入する。その中で自社がしっかりと存在感を発揮できるような戦略を策定していくことも必要となりそうだ。

より大きな視野に立てば、スマートシティ構想が挙げられる。国が目指す経済発展と社会的課題の解決を両立していく新たな社会「Society 5.0=超スマート社会」の象徴で、日本のまちづくりや都市計画などに大きなインパクトをもたらすものと考えられる。

このスマートシティにおいては、人や物の移動を支える自動運転技術は切り離せないものとなっている。世界各地でスマートシティ構想が持ち上がる中、日本国内でもトヨタがCES 2020で「Woven City(ウーブン・シティ)」構想を発表するなど具体的な動きが表面化してきた。

より大きなビジョンを掲げ、スマートシティ分野における一大事業を構想していくのも、最高の充実感を得られる事業開発の醍醐味だろう。

トヨタやホンダも採用に積極的

事業開発分野では、例えばトヨタは新しいMaaSビジネスに適したモビリティを企画しけん引していく「MaaS車両 商品・事業企画」や「ビッグデータを活用したマーケティング・新ビジネス企画」「まちづくりと連携した総合モビリティサービス企画・開発」などの職種で募集をかけている。

ホンダは、自動運転技術を活用した新たなモビリティサービスの企画やビジネスモデルの創出、戦略ロードマップの策定、外部アライアンスプロジェクトの推進を行う「事業開発・アライアンスビジネス推進」や「次世代モビリティ・スマートシティのサービス研究・開発」などで人材を募集している。

■「営業」関連:他社との協業・提携などのシーンで活躍

従来の自動車業界のみならず、多様な業種が参入する自動運転やMaaS分野においては、営業や交渉を要する場面も急増する。

ADAS分野がすでに活況を呈しているように、今後は自動運転分野においても自社開発したLiDARなどの販促活動がより盛んになってくる。技術開発を進めるスタートアップ・ベンチャーによる資金集めや協業に向けた企画・営業もますます勢いづいてくるものと思われる。現段階では自動運転の開発は一社でまかないきれないケースが多く、他社との協業・提携が必須の状況なのだ。

また、トヨタとソフトバンクの合弁企業MONET Technologies(モネ・テクノロジーズ)に代表されるように、実用化を見据え各自治体などと手を組むケースも増加している。新たなモビリティサービスの導入には、B2CではなくB2BやB2G(企業対行政間取引)が先行するため、こうした企画・交渉なども重要性を増している。

また、モネはコンソーシアムを形成し、非常に幅の広い企業群の参加のもと次世代モビリティサービスの在り方を探っている。今後、さまざまな形で協業・プロジェクト化が推進される可能性が高く、注目度が高い。

【参考】MONET Technologiesの取り組みについては「“MONET×自治体”で、全国に「自動運転特区」が続々!?その狙いとは」も参照。

一方のMaaS分野も、基本的に一社では有効なサービスを提供できないため、各交通事業者やサービス事業者らが共同体制で実証を進めるケースが大半だ。

全国各地でMaaS実証プロジェクトが盛んに行われているが、今後は実証結果を応用する形でサービス提供エリアの新規進出や既存エリアの拡大、MaaS連合同士の統廃合などが進んでいくものと思われる。こうした過程にはエリアの自治体や交通事業者らとの折衝は必要不可欠で、他のMaaS連合との駆け引きが繰り広げられる場面なども想定される。高い交渉能力や企画能力、営業能力が問われる場面だ。

■「エンタメ」関連:今後は乗員向けのエンタメサービスが伸びる

コネクテッドサービスは新車への標準搭載化も始まり、本格的な普及がスタートした。スマートドライブやGMOモビリティクラウドのように後付けで自動車をコネクテッド化する製品の開発なども進んでおり、市場の拡大は確実視されている。

現在のコネクテッドサービスはテレマティクス保険との連動や遠隔監視・操作システム、緊急通報、アシスタント機能、スマートフォン連携などが主力となっているが、今後は乗員向けのエンターテインメントサービスが伸びてくると予想される。5Gの実用化によって通信環境が整い、自動運転の実現によって車内で過ごす移動時間をより有効なものに変えていく動きが活発化するためだ。

さまざまなアプリの実装で市場を拡大したスマートフォンと類似したことがコネクテッドカー市場に起きる可能性があり、車内向けコンテンツ・アプリの開発が急速に進むものと思われる。当然、そこには企画や営業の余地が多く生まれることになる。

スマホ向けのアプリ開発企業などが自動運転分野に進出してくるほか、AR(拡張現実)などを生かした最新コンテンツも誕生する可能性が高い。これらの分野で活躍する企業に今のうちに目を付け、動向を探っておくのも重要だ。

【参考】コネクテッドカーについては「【最新】コネクテッドカーとは?自動車メーカーの開発状況まとめ」も参照。

■「サービス」関連:エンタメのほかにも新たな車中サービスが

自動運転時代には、エンターテインメント同様車内向けの各種サービスも充実してくるものと思われる。例えば、出勤前の時間を有効活用したい人向けに車内における身支度環境を整えるサービスや、ビジネス環境、就寝環境を構築するサービスなども考えられる。自動運転理容室なども登場するかもしれない。この手の発想に制限はなく、純粋に需要があるかどうかがカギとなる。

自動運転技術で社会を変えていくためには、自動運転を素材にどのようなサービスが実現可能か?自動運転だからこそ可能なサービスは何か?世の中に求められているサービスは何か?といったことを精査し、企画・行動できる人材が求められるのだ。




■【まとめ】非エンジニア需要も大幅増加 社会実装見据えた発想で勝負を

移動そのものの概念が変わる新しい時代には、既成概念を打ち破る発想の持ち主が必要だ。また、夢物語を実現するための手腕も問われる。これらの能力はエンジニアとは一線を画すものだろう。

どれほど優れた自動運転技術も社会実装されなければ意味がない。社会実装するためには、需要を喚起する新たなサービスが求められることになる。

自動運転の実証が進み、実用化の段階を迎えつつある現在。今後は、非エンジニアが活躍する場も格段に増加することになるだろう。

>>特集目次

>>第1回:自動運転業界への転職、3つのパターン

>>第2回:自動運転業界へ転職する具体的な方法は?

>>第3回:自動運転業界、採用に積極的な企業は?

>>第4回:自動運転業界で求められているエンジニアは?

>>第5回:非エンジニア職でも自動運転業界に転職できる!求められる職種は?

>>「自動運転×デジタル人材」で採用支援サービスを本格展開【ストロボ・下山哲平】

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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