ドイツ自動車メーカー大手のアウディ(Audi)は2019年9月30日までに、自動運転に対する意識調査の結果を発表した。
この調査は、考え方や感情、価値観、生活スタイルなどによって、どのように自動運転に対する考え方が形成されるのかを調査したものだ。調査はフランスの市場調査機関「Ipsos」(イプソス)と協力して行い、3大陸9カ国の2万1000人にインタビューを実施したという。
報道発表によれば、この調査によって「自動運転に対するイメージ」「ヒューマンレディネスインデックス(新技術の受け入れ準備指数)」「ユーザータイポロジー」という3つの指標が導き出されたという。それぞれの指標について詳細を説明していきたい。
■1つ目の指標:自動運転に対するイメージ
「自動運転に対するイメージ」は人によって様々だが、高速道路の渋滞時や自動駐車機能での活用への期待が大きいようだ。ただ現状、自動運転に関する知識を多く持ち合わせていない人が総じて多く、自動運転に関して説明できると回答したのはわずか8%だった。
ただ回答者の半数以上は自動運転を試してみたいと考えており、利便性の向上や安全性の向上などのメリットを十分に認識している人も少なくないようだ。ただ車両コントロールの喪失などを懸念に感じている人も多くおり、回答者の41%はテクノロジーに懐疑的で、38%が不安を感じているという。
■2つ目の指標:ヒューマンレディネスインデックス
「ヒューマンレディネスインデックス」は「新技術の受け入れ準備指数」のことで、自動運転車を利用するための知識・関心・感情・準備といった項目を組み合わせ、「-10〜+10」の幅で数値化した。
この指数は国によって違いが明確で、中国人は「+5.1」、韓国人は「+1.2」、スペイン人とイタリア人は「+0.7」と肯定的な見方が高い。一方で、ドイツ人やフランス人は「-0.7」、アメリカ人や日本人、イギリス人は「-0.9」と消極的な傾向だ。
さらに、若くて教育と収入レベルが高いほど自動運転に対する態度が前向きだと判明した。
■3つ目の指標:ユーザータイポロジー
「ユーザータイポロジー」の日本語訳は「ユーザー類型学」とされ、アウディは今回の調査から5つのユーザータイプが導いている。その5つのユーザータイプとは下記の5つだ。
- ステータス志向のトレンドセッター
- ハイテク技術に精通した乗員
- 懐疑的なドライバー
- 安全志向で消極的なドライバー
- オープンマインドな副操縦士
この5つのユーザータイプのうち、自動運転に最も高い期待を寄せるのは「ステータス志向のトレンドセッター」で、テクノロジーを信頼し導入されることを望むのが「ハイテク技術に精通した乗員」タイプだった。一方で「懐疑的なドライバー」タイプは、現状維持を好み自動運転に対して消極的な考え方を持っているという。
先端技術が十分に実証されれば自動運転を利用したいと考えるのが「安全志向で消極的なドライバー」タイプ。最も多いユーザーグループとなった「オープンマインドな副操縦士」タイプについては「いつもで自分でクルマを制御できるという条件付きで、自動運転を受け入れます」と報道発表で説明されている。
■【まとめ】「明確に差別化された洞察」から議論を
アウディの自動運転責任者であるトーマス・ミュラー氏は今回の研究について「自動運転に関する人々の立場の違いや、社会において新しいテクノロジーに対する適切な期待感をどのように確立できるかについて、明確に差別化された洞察を得ることができました」としている。
今回アウディの発表した調査結果は、自動運転の政策や法律の制定において大いに役立つ資料だと考えられる。こうした資料を使い、国も民間企業も利用者も巻き込んだ議論が求められる。
【参考】関連記事としては「自動運転への対応度、日本がトップ10入り KPMGがランキング発表」も参照。
自動運転への対応度、日本がトップ10入り 「イノベーション度」など高評価 KPMG発表 https://t.co/T4LpYjrrlA @jidountenlab #自動運転 #対応度 #国ランキング
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) February 25, 2019