自動運転AI、アメリカの免許試験に合格!韓国Hyundaiが快挙

ロボタクシー「IONIQ 5」の高い安全性



出典:Hyundai公式動画

自動運転車が、米国の運転免許試験と同様の試験に合格する様子が公開された。試験をパスした自動運転車は、韓国最大手の自動車メーカーであるHyundai Motor(ヒョンデ)と自動運転技術開発を手掛ける米Motionalが共同開発したものだ。

ヒョンデの公式YouTubeで、全電動式の自動運転車両「IONIQ 5(アイオニック ファイブ)ロボットタクシー」が運転免許試験を受けている様子が公開されている。


■認定運転試験官が試験を実施

出典:Hyundaiプレスリリース

IONIQ 5は、日本の運転免許証センターに相当する米DMV(車両管理局)認定運転試験官による運転免許試験を受けた。なお、この試験は正式なものではなく、実際にDMVの認可を受けたわけではない。キャンペーン動画として、封鎖されたコースで運転免許試験のシミュレーションを行ったものになる。

動画の冒頭では視覚障害がある女性の様子が流れ、「米国では500万人以上が精神的または身体的な理由によりクルマを運転することができない」と表示される。その後「アメリカ人の73%は自動運転車を信用していない」との一文が出てくる。

しかしヒョンデの完全ドライバーレスの自動運転車は、ネバダ州ラスベガスの中心部などを人間の運転のようにスムーズに走行し、ベテラン試験官によるさまざまな項目をクリアしていく。具体的には、速度制御や車線変更操作、一時停止標識での正確な停止、左折、そして危険発生時の反応時間といったチェック内容になる。動画を見ると、カーブや車線変更なども問題なく行い、道路へ歩行者が飛び出した際もきちんと急停止している。

試験の結果は・・・「びっくり!パーフェクトスコアよ」という試験官のコメントがあり、素晴らしい結果を残して試験をパスすることができた。それにより、視覚障害のある女性は自動運転車で行きたい場所へ移動できるといった流れになっている。


■ロボタクシー「IONIQ 5」とは?

今回使用されたIONIQ 5 ロボタクシーは、ラスベガスの限定エリア内で利用可能だ。自動運転レベルは「4」となっている。IONIQ 5は、米ライドシェア最大手Uber Technologiesの自動運転タクシーのベース車両に選ばれている。

乗車したい場合はUberの公式アプリにアクセスし、「UberX」または「Uber Comfort Electric」を選択すると、マッチングされる可能性があるという。Motionalによる自動運転機能のテスト中は常に運転席にドライバーがいるため、必要に応じて走行中の車両の運転を人間が引き継ぐことができる。

なおMotionalは、ヒョンデと自動車部品大手の米Aptivが立ち上げた合弁会社だ。Uber初のロボタクシーサービスは、Motionalの協力により2022年からスタートしている。


■ヒョンデとMotionalの今後に期待

動画では、顔写真欄が自動運転車となっているレプリカの運転免許証も渡されている。今回はキャンペーンのための運転免許試験のシミュレーションとなっているが、近い将来、自動運転車が運転免許試験と同様の試験を受ける日が来るかもしれない。

また心身障害や身体障害がある人にとって、自動運転車が移動の自由をもたらす新しいソリューションであるという視点にも気づかされた。自動運転開発においては米国や中国が先頭を行っている印象があるが、ヒョンデやMotionalの開発スピードにもますます注目していきたい。

【参考】関連記事としては「ヒョンデ製自動運転タクシー、米国で2024年サービス開始へ」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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