トヨタとも提携している自動運転開発企業の米Aurora Innovation(オーロラ・イノベーション)は、2024年末までに完全自動運転トラックをテキサス州の高速道路で走行させる予定だという。
それに向け、同州のダラス〜ヒューストン間の約3時間のルートで、自動運転車の有人でのテスト走行をこのほど開始した。緊急事態に手動運転に切り替えられるよう、ドライバーは後部座席に同乗しているようだ。
■死傷者数が全米トップのテキサスで
Aurora Innovationが自動運転トラックを実用化させようとしているテキサス州は、トラック輸送による死傷者数が全米で常にトップに入っている。同社は、この数を減らすことを使命とし、自動運転トラック開発に取り組んでいる。
同州のメディアが実際に自動運転トラックに乗車したリポートによると、2人のドライバーが後部座席から道路を監視し、障害物がないか、自動運転技術に問題がないかをチェックしているという。
自動運転技術がどのように作動するかを人間側が理解することで、ほかのクルマのドライバーが安心できるような走行や、歩行者を認識できないというミスを起こさないような走行をシステムに覚えさせていく。
【参考】関連記事としては「トヨタが提携のAurora、自動運転で「テキサスUターン」もクリア」も参照。
■トヨタも注目するAurora Innovation
Aurora Innovationは、Googleやテスラ、Uberで自動運転開発を手掛けていた技術者3人により、2016年に設立された。さまざまなメーカーが製造した車両で動作可能な自動運転システム「Aurora Driver」の開発を進めている。
2020年12月に、配車サービス大手Uber Technologiesの自動運転開発ユニット「Advanced Technologies Group(ATG)」を買収することを発表したことで注目を集めた。同時に、自社テクノロジーをUberの配車プラットフォームに接続し、Aurora Driverを幅広く提供していく戦略的パートナーシップも締結している。
そして2021年2月にトヨタ、デンソーと戦略的パートナーシップを締結したことを発表した。Aurora Driverを搭載したトヨタ「シエナ」のフリートを設計・構築し、2021年末までに自動運転車の開発とテストを共同で行うという内容であった。
翌3月にはボルボ・グループとの戦略的パートナーシップのもと、高速道路での自動運転を可能とするトラックを共同開発したことを発表した。また、同年11月に米ナスダック市場に上場している。
2022年3月には、トヨタの自動運転MaaS専用車両「Sienna-AutonoMaaS」にAurora Driverを統合した試験車両を公開した。オーロラはトヨタモーターノースアメリカのエンジニアリングチームと協力し、同車両へAurora Driverを統合するための要件を確立し、2021年秋にプロトタイプを発表していた。顧客要件に合わせこれをさらに改良し、より大規模なプラットフォーム車両を構築したようだ。
2023年6月に自動運転システムの最新バージョン「Aurora Driver Beta 6.0」のリリースを発表した。これにより、今回スタートしたダラス〜ヒューストン間の自動運転トラックの完全無人走行が可能になった。
■今後の取り組みにも引き続き注目
Auroraは、自動運転トラック技術を専門に開発している企業ではない。同社の強みは、自動運転システムがさまざまな種類のクルマに搭載できるということだ。
独VWグループやフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA:現ステランティス N.V.)、大型トラックメーカーの米PACCAR、スウェーデンのボルボ・グループ、貨物運送大手の米US XpressやFedExとも提携している。
今後の取り組みにも引き続き注目していきたい。
▼Aurora Innovation公式サイト
https://aurora.tech/
【参考】関連記事としては「Aurora Innovationの自動運転戦略(2023年最新版)」も参照。