米カリフォルニア州サンフランシスコで、自動運転車に抗議する活動が行われている。
歩行者の安全や公共交通機関の利用を提唱する米団体「Safe Street Rebels」は、自動運転開発企業であるGoogle系WaymoとGM傘下Cruiseの自動運転車のボンネットに、「三角コーン」を設置してまわっている。
三角コーンを置くと自動運転車は走行不能になり、機能が強制的に無能化させられてしまうという。恐らくセンサーが異常を検知して、走行できるなくなるということだろう。
■「住民は自動運転車のモルモット」
米メディアによると、WaymoとCruiseはサンフランシスコで限定的に自動運転タクシーサービスを行っているが、このサービスの拡大に関する投票が2023年7月にカリフォルニア州公益事業委員会の会議で行われるという。Safe Street Rebelsによる抗議活動はその投票に先立つもので、「サンフランシスコに自動運転車はこれ以上不要だ」というメッセージを表現している。
同団体は、この抗議活動を「Week of Cone(コーン週間)」と呼んでいる。三角コーンを自動運転車のボンネットの上に置き、走行を阻害するという過激なものだ。
団体のメンバーは、匿名を条件に「自動運転車の公道へのアクセスを拡大し、自由に走行できるようになることは、よからぬ考えだ」とコメントしている。また、「住民はこの件に関しての発言権がなく、(実験用の)モルモットとして使われることに同意してもいない」と抗議している。
さらに「自動運転車が自転車専用レーンで立ち止まったり、ドアを開けたりしているのを見て心配している。自動運転車の前を横切るときには、急かされている気がする」とも語っている。
■WaymoとCruiseは反論
確かにWaymoとCruiseの自動運転タクシーは、急停止し交通を遮断するといったようなトラブルを何度も起こしているが今回のSafe Street Rebelsによる抗議活動に対し、両社は次のようにコメントしている。
Waymo:自動運転車がどのように作動するかについての理解が正しくないだけでなく、これは破壊行為であり、公道での危険で無礼な行為を助長するものだ。公道で我々の車両に対する危険な妨害を受けた場合、当局に通報する
Cruise:Cruiseの自動運転車は、信頼できる交通手段がない深夜のサービス労働者を無料で乗せており、食糧難のサンフランシスコ市民に200万食以上の食事を届け、地元企業から食品廃棄物を回収している。意図的に車両を妨害することは、こうした取り組みの妨げとなり、交通渋滞を引き起こす危険性がある
Cruiseはさらに「ドライバーレスでの自動運転の走行距離は300万マイル(約483万キロ)を達成しているが、死亡事故や生命を脅かすようなけが人は1件も出ていない。自動運転拡大の投票についても、40通以上の支持の手紙を受け取っている」と反論しているという。
■「社会受容性」を高めることの重要性
自動運転車の導入を歓迎する人も多いが、危険性を感じている人ももちろんいる。新技術の発展のため、「安心感」そして「社会受容性」を高めていくことが大切だということを、改めて浮き彫りするトピックだ。
【参考】関連記事としては「自動運転トラック禁止を!米ドライバー労働組合、議会で主張」も参照。