タクシー配車アプリのS.RIDE、黒字目前!純損失1.1億円に縮小

ソニーグループと都内タクシー会社の合弁企業



出典:官報(※クリックorタップすると拡大できます)

タクシー配車アプリを手掛けるS.RIDE株式会社(本社:東京都港区/代表取締役社長:橋本洋平)の第5期(2023年3月31日現在)決算公告が、このほど官報に掲載された。

当期純損失は、前期比64.1%減の1億1,870万円であった。過去の当期純損失は、第3期が4億1,295万円、第4期が3億3,078万円であり、徐々に赤字額が減少しているのが分かる。黒字は間近だ。


■第5期決算概要(2023年3月31日現在)
貸借対照表の要旨(単位:千円)

▼資産の部
流動資産 926,178
固定資産 139,170
資産合計 1,065,348
▼負債及び純資産の部
流動負債 256,511
株主資本 808,837
資本金 100,000
資本剰余金 1,690,000
資本準備金 1,690,000
利益剰余金 △981,162
その他利益剰余金 △981,162
(うち当期純損失 118,700)
負債・純資産合計 1,065,348

■ソニーなどにより設立されたS.RIDE

S.RIDEの前身は、みんなのタクシー株式会社だ。みんなのタクシーは、ソニーグループと東京都内のタクシー会社により2018年に設立された。来たるMaaSや自動運転の時代を見据え、「移動と交通の最適化の実現」を中長期ビジョンに掲げる企業として、2021年1月に社名をS.RIDEに変更した。

タクシー事業者等に向けた配車ソフトウェア・システム他の企画・サービス提供を手掛けており、ソニーグループが保有するAI(人工知能)とIT技術を活用して開発したタクシー配車アプリ「S.RIDE」を運営している。

■タクシーアプリ「S.RIDE」とは?
出典:S.RIDE公式サイト

S.RIDEは、1アクションでタクシーを呼ぶことができるタクシーアプリだ。東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、宮城県、愛知県、大阪府、宮崎県で展開している。


タクシーの配車のほか、流しで乗車したタクシーにてQRコード決済ができるサービス「S.RIDE WALLET」、経費精算プログラムとの連携、メールでの電子領収書発行といった機能を持つ。

2022年3月からは、月額課金サービス「S.RIDEプレミアム」を開始した。ワゴン車種の指定配車や優先配車、サービス利用料無料、車種指定などの特別な機能があり、月額3,480円となっている。

2023年3月には、S.RIDEの累計ダウンロード数が前年比184%の150万を突破したことを発表した。また2022年12月には過去最多の月間配車件数を記録したという。なお東京圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)での配車件数が、約98%を占めているようだ。

さらにS.RIDEプレミアムについても、2023年1月までの半年間で有料会員数は約3.8倍に増加している。


■ヤフーやイオンとも連携

S.RIDE は、「Yahoo!乗換案内」アプリとの連携を2023年3月に開始した。Yahoo!乗換案内アプリのルート検索結果画面から「S.RIDEで配車」ボタンをタップすると、S.RIDEアプリの起動が可能になった。さらに同年4月からは、「Yahoo! MAP」アプリとの連携も開始した。

2023年6月には、タクシー利用代金の支払いでコード決済サービス「AEON Pay(イオンペイ)」が利用できるようになった。

東京圏に強みを持つ配車アプリとして勢いを増すS.RIDE。今期の決算で黒字となるか注目だ。

※官報に掲載された決算公告に関する記事は「自動運転・MaaS企業 決算まとめ」から閲覧頂くことが可能です。

【参考】関連記事としては「タクシー配車件数が記録更新のS.RIDE、純損失20%縮小」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




関連記事