タクシー配車件数が記録更新のS.RIDE、純損失20%縮小

サブスクサービスもローンチ



出典:官報(※クリックorタップすると拡大できます)

東京最大級のタクシー配車アプリ「S.RIDE」を運営するS.RIDE株式会社(本社:東京都台東区/代表取締役社長:西浦賢治)の第4期決算公告が、このほど官報に掲載された。当期純損失は3億3,078万円で、前期の純損失4億1,300万円から約20%縮小した。

■第4期決算概要(2022年3月31日現在)
貸借対照表の要旨(単位:千円)

▼資産の部
流動資産 1,010,551
固定資産 118,781
資産合計 1,129,333
▼負債及び純資産の部
流動負債 201,794
株主資本 927,538
資本金 100,000
資本剰余金 1,690,000
資本準備金 1,690,000
利益剰余金 △862,461
その他利益剰余金 △862,461
(うち当期純損失)(330,780)
負債・純資産合計 1,129,333


■前身はみんなのタクシー

タクシー配車アプリ「S.RIDE」を運営するS.RIDEの前身は、みんなのタクシー株式会社だ。みんなのタクシーは、ソニーと東京都内のタクシー会社により2018年に設立され、2021年1月にS.RIDEへ社名を変更した。2019年4月に東京都内からアプリのサービス提供をスタートし、神奈川や埼玉、千葉、茨城、愛知、大阪、宮崎などへサービス展開を広げている。

特に東京ではグリーンキャブと国際自動車、寿交通、大和自動車交通など15のタクシー事業者の配車サービスを行い、ネットワークの強さを見せている。

「S.RIDE」アプリはスタイリッシュなデザインとシンプルなUI/UXが特徴で、使いやすく短時間でタクシー配車できるように設計されている。タクシーの迎え位置を細かく調整しなくても、ワンスライドすれば一番近くのタクシーが迎えに来てくれる。20 分後から6日後までの配車が可能だ。

2020年2月からは、タクシー相乗りマッチングアプリの「AINORY」との連携を開始した。「AINORY」はタクシーの相乗りマッチングと割り勘機能を備えたアプリで、この連携によりさらなるユーザー獲得への期待が高まった。


■「S.RIDEプレミアム」の提供を開始

2022年3月にはサブスクリプションサービス「S.RIDEプレミアム」の提供を開始した。タクシーを頻繁に利用する顧客に月額3,480円でサービスを提供する。第1弾はタクシーの予約機能が使い放題になるもので、都度支払う必要があったサービス利用料がなくなるものだ。乗車するとたまるライドポイントも通常の2倍になる。

7月7日には第2弾のサービスとして、予約機能を利用する際にも車両が指定できる車種指定機能が追加された。今後もサービスを追加してアップデートしていくという。

S.RIDEは第4期も赤字となったもののその額は前期より縮小している。いずれにしても、事業のローンチ初期においては、赤字であることと将来性がないことはイコールではない。2022年4月には月間配車件数が過去最高件数を更新している。今後も同社の展開に注目していきたい。

※官報に掲載された決算公告に関する記事は「自動運転・MaaS企業 決算まとめ」から閲覧頂くことが可能です。


記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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