パナソニックは2018年7月6日までに、夜間でも遠くの距離情報を画像化できるTOF(Time of Flight)方式の長距離画像センサーを開発したと発表した。車載カメラをはじめ産業用、監視用など多分野への展開が可能で、2019年度にサンプル出荷を開始し、自動車メーカーなどへの売り込みを強めていく計画だ。
TOF方式による距離計測は、光源から発した光が物体に当たり、反射して戻ってくるまでの飛行時間を計測して距離を算出するが、今回のセンサーは、最短10ナノ秒の短パルス光と同期して、センサーに内蔵する10ナノ秒の高速シャッターを駆動する独自の短パルスTOF方式を開発した。これにより、近距離から遠距離までの複数の距離レンジを合成し、一括で3D(3次元)距離画像を取得できるという。
また、従来のイメージセンサーはノイズに弱いという課題があったが、光電変換領域と増倍領域と信号蓄積部の積層で構成するアバランシェフォトダイオード(APD)画素化技術により、従来比約4倍となる25万画素の高解像と信号増幅1万倍の高感度を両立するセンサーを実現した。
これら新開発のTOF方式とAPD画素化技術により、従来は難しかった3D距離画像の長距離化と高解像度化の両立に成功した。視認性が悪い夜間においても、従来比約2倍の250メートル先にある物体までの距離情報を画像化できるという。
【参考】詳しいセンサーの性能や技術については、パナソニックの「プレスリリース」も参照。
■重点4領域がパナソニックを「自動車部品メーカー」に!?
同社は以前から自動車部品を製造・販売してきたが、電気自動車(EV)や自動運転車の普及を見越し、電機メーカーとしての強みをより前面に出していく姿勢を示しており、IVI(車載インフォテインメント機器)、コックピット、ADAS(先進運転支援システム)、電動化の4カテゴリーに重点を置き本格展開する構えだ。
また、AI(人工知能)人材の育成にも軸足を置き、自動車の分野においては「CASE(コネクテッドカー・自動運転・カーシェア・電動化)」というテーマを主軸に据え、AI技術を活用してセキュリティや配車サービスの強化、エネルギーの効率化などを図っていく方針を打ち出している。
パナソニック、供給先テスラの量産遅れで悪影響 車載電池事業で中国勢が台頭 https://t.co/ppX6fw7wos @jidountenlabさんから
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) July 4, 2018