JR東日本が「Suica×モビリティ」事業 配車サービスも連携、巨額投資も

中期経営ビジョン「変革2027」発表


JR東日本(本社:東京都渋谷区/取締役会長:冨田哲郎、取締役社長:深澤祐二)は2018年7月3日に発表した10カ年計画の中期経営ビジョン「変革2027」の中で、アプリや配車サービス、交通ICカード「Suica」などの多面的な活用・連携を通じて、移動のための情報・購入・決済をオールインワンで提供する「モビリティ・リンケージ・プラットフォーム」を推進していく方針を明らかにした。







2020年以降、人口減少や働き方の変化、ネット社会の進展、自動運転技術の実用化などにより、鉄道による移動ニーズが縮小し、固定費割合が大きい鉄道事業においては急激に利益が圧迫されるリスクが高いと予測。このような経営環境の変化に対して「鉄道を起点としたサービスの提供」から「ヒトを起点とした価値・サービスの創造」に転換し、新たな成長戦略を推進していく方針だ。

具体的には、利用者があらゆる生活シーンで最適な手段を組み合わせて移動・購入・決済などのサービスをシームレスに利用できるよう①「JRE POINT」活用による個別ニーズに応じた多様なサービスの提供②「モビリティ・リンケージ・プラットフォーム」による総移動時間の短縮③「安全・安定輸送のレベルアップ」を基盤とした輸送サービスの質的変革④日常生活の快適性や利便性をさらに高めるくらしづくり(まちづくり)の推進⑤さまざまな決済手段との連携によるSuicaの利用機会の拡大――を挙げている。

Suicaを基盤に多様なサービスのワンストップ化を目指す=出典:JR東日本発表のグループ経営ビジョン「変革 2027」

①では、他の鉄道会社や自動車メーカーなどのサービスや電子商取引の商品・サービスなどをJRE POINTを通じて幅広く結び付け、新サービス導入を拡大・加速するとともに、個別ニーズにきめ細かく対応し、多様なサービスをワンストップで提供することを目指す。

②では、輸送サービス企業や自動車メーカー、決済サービス企業などと連携し、例えば自宅からタクシーやシェアカー、徒歩を経て、在来線や高速鉄道などの鉄道ネットワークを利用してホテルにチェックインする一連の行動に対し、アプリで検索や手配、決済などをシームレスに行えるようにする。

⑤では、各種金融サービスや個人間送金、モバイルアプリなどさまざまな決済サービスや、デジタルチケットやホテルのルームキーなどの認証サービスとしてSuicaを利用可能にする。また、配車サービスなども含めあらゆる交通手段でSuicaが利用可能になるような環境構築を目指す。

■2022年度までに2兆円近くの巨額投資

同社では計画実現に向け、中間年度に当たる2022年度までに技術革新に資するイノベーション投資に4000億円、将来に資する成長投資に1兆4400億円を予定している。また、数値目標としてモビリティ・リンケージ・プラットフォームのサービス利用を3000万件/月、Suicaなど交通系電子マネーの利用を3億件/月と設定した。

なお、同社は2017年9月にモビリティを変革する場を創出する「モビリティ変革コンソーシアム」を設立している。交通事業者や国内外メーカー、大学、研究機関などが連携し、パーソナルモビリティやバス、タクシーなどとの運行連携による移動時間の短縮や、移動支援ロボットを活用した荷物搬送や重作業支援など、単独では難しい社会課題の解決に取組む組織を立ち上げている。

また、2018年2月にはJR東日本スタートアップ株式会社を設立し、スタートアップ企業のアイデアや技術とJR東日本グループの経営資源をつなぐ取り組みを加速している。これまでに、株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)が提供する個人間カーシェアリングサービス「Anyca(エニカ)」を活用し、JR東日本レンタリース株式会社の保有車両を無人で貸し出すサービスの実証実験などを開始している。







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