自動運転システムを開発する中国のスタートアップ企業Momenta(モメンタ)と、同じく中国企業でEV(電気自動車)メーカーのBYD(比亜迪汽車)はこのほど、合併事業を設立した。ロイター通信などが報じた。
合併事業の名称は「Dipiインテリジェント・モビリティ」で、中国の深センを拠点とする。この合弁事業は、BYDの一部モデル向けに自動運転機能を提供することなどが目的のようだ。
Momentaにとっては、自動運転技術の売り先としてBYDを獲得した形と言えそうだ。自動運転システムを開発する企業はここ数年で数がぐっと増えているが、企業として存続していけるかどうかは、売り先をいかに多く確保できるかにかかっている。
■トヨタなどが出資するMomenta
2016年に北京で設立したMomentaは、自動運転レベル4(高度運転自動化)が可能な自動運転ソリューション「MSD」(Momenta Self Driving)や、自家用車向けの大量生産に対応した自動運転レベル3のソフトウェア「Mpilot」などを製品化している。
2018年10月に総額10億ドル(約1,150億円)の資金調達を発表し、2021年3月にはトヨタ自動車や自動車部品大手の独ボッシュなどから5億ドル(約570億円)の出資を受けたことを明らかにしている。
民間調査会社のCBインサイツによれば、2021年12月時点の時価総額は10億ドル。非上場企業で時価総額10億ドルを超えているため、Momentaはユニコーンだ。すでに自動運転タクシーの試験走行を開始していることでも知られている。
【参考】関連記事としては「中国の自動運転企業Momenta、トヨタなどから5億ドル資金調達」も参照。
https://twitter.com/jidountenlab/status/1373054377875763200
■ライバルが多い中、存在感を示せるか
Momentaのライバルとしては、米Aurora Innovationなどが挙げられる。同社は2020年12月にUberの自動運転開発ユニット「Advanced Technologies Group(ATG)」を買収しており、自動運転技術の売り先は実質的にUberとなる見通しとなっている。
そのほか、中国においてもPony.aiやAutoXが競合だ。このような状況の中で、自動運転システムベンチャーとしてMomentaがどこまで存在感を高めていけるのか、引き続き注目したい。
▼Momenta公式サイト
https://www.momenta.cn/
【参考】関連記事としては「トヨタと提携の米AuroraがSPAC上場 自動運転スタートアップ、株主にUberやAmazon」も参照。