モビリティサービス事業を手掛けるホンダモビリティソリューションズ株式会社(本社:東京都港区/代表取締役社長:高見聡)が、自動運転関連の求人に力を入れているようだ。
自動運転モビリティサービスの実装に向けた公道実証が2022年に始まる見込みで、実用化に向け本腰を入れ始めた格好だ。
この記事では、ホンダモビリティソリューションズの求人内容とともに、レベル4実現に向けた同社の取り組みに迫っていく。
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記事の目次
■ホンダモビリティソリューションズの自動運転関連の求人
ホンダモビリティソリューションズが現在公式サイトで募集している自動運転関連の求人は、以下などとなっている。
- ①システム企画
- ②法務・知財担当
- ③事業企画/PMO
- ④技術領域責任者/担当者
①システム企画
①では、無人自動運転モビリティサービスをはじめ、カーシェアサービスなどのアプリケーションやITシステム、コネクテッド技術といったデジタル領域の企画・推進を担当する。
②法務・知財担当
②では、資本・業務提携関係にある米国パートナー企業との協業における契約交渉や、無人自動運転モビリティサービスなど新規事業開発に伴うNDA、MOUなどの契約書類作成・レビューを担当する。
③事業企画/PMO
③では、国内での無人自動運転モビリティサ―ビス事業実現に向けたプロジェクト全体のマネジメントを担当し、事業戦略の立案・立上げをはじめ、米国パートナー企業との折衝や国内実証、ホンダ内の各部門や米国パートナー企業など複数のステークホルダーとの協業プロジェクトの推進、事務局運営、プロジェクトマネジメントなどを行う。
④技術領域責任者/担当者
④では、国内での無人自動運転モビリティサービス事業の社会実装に向けたプロジェクトにおいて、レベル4技術の国内導入を図る活動の責任者・担当者として、GMやCruise、ホンダ、本田技術研究所との共同開発の一環として行う栃木県内の技術実証プログラムに参画し、プロジェクトの技術領域責任者のもと技術実証プログラム運営の実務全般をリードする。
また、技術実証プログラムを踏まえたレベル4の導入・社会実装へ向けた実績の構築と、北米でのGM・Cruiseとの渉外実績を踏まえ、日本におけるレベル4モビリティサービス事業の早期実現に向けたステークホルダーとの各種交渉や、制度整備への働きかけ、社会受容性の醸成といった渉外活動を担う。
給与・待遇は「年収:~1,500万円(前職での待遇を考慮の上で決定)」とされている。なおこの求人では、以下の代表メッセージも添えられている。
世界で初めてレベル3の実用化を実現したホンダのチャレンジングスピリットと世界最先端のレベル4テクノロジーを有するGM・Cruiseのシナジーが生み出す、無人自動運転モビリティサービス事業によって、日本の交通社会の様々な課題を解決してゆく事を目指します。すべての人へ“生活の可能性が拡がる喜び”を提供できるようにグループ一丸となって情熱を持って取り組んでいます。モビリティの新しい価値の創造に向けて、ぜひ我々と一緒に皆さんの夢を実現していきましょう!(出典:https://js02.jposting.net/honda-rd/u/hms/job.phtml?job_code=892)
■レベル4実現に向けたホンダの取り組み
自動運転に向けGM、Cruiseと協業
ホンダは2018年10月、GM、及び傘下のCruiseと自動運転技術を活用したモビリティの変革に向け協業していくことに合意したと発表した。協業に向け、ホンダはCruiseに7億5,000万ドル出資するほか、今後12年間に渡る事業資金として約20億ドルの合計27億5000万ドル(約3,000億円)を支出する予定としている。
3社による協業では、さまざまな使用形態に対応するCruise向けの無人ライドシェアサービス専用車を共同開発するとともに、無人ライドシェアサービス事業のグローバル展開の可能性も視野に入れている。
なお、Cruise向けの自動運転車両は、2020年1月に「Cruise Origin(クルーズ・オリジン)」が発表されている。ハンドルやアクセルなどのペダル類、ミラーなど従来の自動車に必須の装備を備えていない、自動運転を象徴するモデルとなっている。車両はボックス型で、車内は対面座席の6人乗りとなっているようだ。
【参考】Cruise Originについては「GM Cruise、ハンドルなしオリジナル自動運転車を発表!」も参照。
GM Cruise、ハンドルなしオリジナル自動運転車を発表! https://t.co/3zKfoxCsd4 @jidountenlab #自動運転 #GM #Cruise
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) January 23, 2020
日本国内での実証に着手
2021年1月には、日本における自動運転モビリティサービス事業に着手することが発表された。GM「Bolt」をベースに改造した自動運転試験車両「クルーズAV」を活用し、同年中に国内で技術実証を開始する見込みとした。
また、将来的には自動運転モビリティサービス事業専用車両「Cruise Origin」を活用した事業展開も目指すとしている。
同年9月には、技術実証の大まかな工程が発表された。まず栃木県内のホンダ施設内に実証拠点を新設し、そこで地図作製を行う。その後、宇都宮市・芳賀町の公道実証に着手する計画だ。実証拠点における取り組みはすでに始まっており、公道実証は2022年を予定している。
実証期間は未発表だが、技術実証中の録画した画像データの取り扱いに関する事項で、データ取得用車両台数3台、データ取得期間は2021年9月から2023年3月を予定している旨記載されている。
実用化後の事業運営は、ホンダモビリティソリューションズが担う予定となっている。
Cruiseはカリフォルニア州やドバイで自動運転タクシー実用化に取り組む
一方、Cruise陣営は、2021年に米カリフォルニア州でドライバーレスによる自動運転タクシーのサービス許可を取得したほか、2023年からドバイで自動運転タクシーの運行を行う契約をドバイ道路交通局と結ぶなど、着々と前進を続けている。カリフォルニア州における公道走行実績も米Waymoと1、2を争う展開となっている。ホンダによると、2020年におけるCruiseの同州の実証走行距離は120万キロ超に及ぶという。
日本での展開にあたっては、カリフォルニア州での取り組み同様走行実証を積み重ねる必要がある。高精度3次元地図の作製はもちろん、米国仕様の自動運転システムを日本仕様に直さなければならない。
グローバル展開を目指す3社にとって、「異なる道路環境にどのように対応していくか」という観点も非常に重要な要素となりそうだ。
■【まとめ】自動運転サービスはタクシーかバスか?今後に注目
まず栃木県内でスタートすることになるだろうホンダの自動運転サービスは、タクシーなのか、定路線走行のシャトルバスなのか。乗用車タイプのクルーズ・AVの使用を前提とすれば、タクシーとなる可能性が高い。一方、Originはタクシーもシャトルバスもこなせる印象だ。
タクシーサービスであれば、国内初となる可能性がある。普段、開発競争にあまり関心を示さない国内開発勢も刺激を受け、日産「Easy Ride」やティアフォー勢など各社の取り組みが一気に加速することも考えられる。今後の動向に要注目だ。
【参考】関連記事としては「ホンダの自動運転戦略まとめ 世界初のレベル3量産車を発売」も参照。