トヨタがe-Palette(イーパレット)発売に向けた事業を水面下で進めているようだ。トヨタの求人から判明した。
自動運転技術を活用したモビリティサービスの象徴となるe-Paletteの発売は、自動運転時代の本格到来を意味する。
この記事では、求人内容やe-Paletteの概要とともに、e-Paletteが持つ可能性に触れていく。
▼東京/事業企画【自動運転とモビリティサービスの融合】の中途採用・求人・転職情報|パソナ
https://www.pasonacareer.jp/job/80807108/
記事の目次
■トヨタの求人案件に書かれていること
「e-Palette発売」に言及しているのは、人材派遣のパソナによる求人情報だ。トヨタの案件として、「自動運転とモビリティサービスの融合」の中途採用・求人・転職情報が掲載されており、この中で「e-Paletteの発売に向けた準備」と明記されている。
「CASE(C=コネクテッド、A=自動運転、S=シェアリング・サービス、E=電動化)」「MaaS(Mobility as a Service)」といった新しいモビリティに注目が集まる中、自動運転とMaaSを融合させたトヨタ独自の「Autono-MaaS」推進に向け、モビリティサービスの企画・開発をはじめ自動運転を組み合わせたサービス企画・開発をリードしていく業務内容だ。
サービス例には、e-Paletteを活用した自動運転サービスやオンデマンドサービス、医療・福祉・観光などのMaaSが挙げられている。
トヨタ公式のキャリア採用情報でも
なお、トヨタ公式のキャリア採用情報でも、「e-Paletteを活用したサービス・事業企画」を募集中だ。e-Paletteの発売には言及していないものの、Autono-MaaS車両を活用した事業企画やMaaS事業者の課題・ニーズの把握、e-Paletteの新たなユースケース発掘・事業モデル構築など、ほぼ同一の内容となっている。
モビリティサービス関連ではこのほか、「自動運転×モビリティサービスのシステム企画・開発」や「モビリティサービスの事業企画(MaaS×観光)」「商用車事業でのデータプラットフォーム設計・開発」なども募集されている。
モビリティカンパニーへのモデルチェンジへ
こうした求人からわかるように、トヨタが自動運転×モビリティサービスの事業化・具体化に本腰を入れ始めているのは間違いない。モビリティカンパニーへのモデルチェンジを図るトヨタにおいて、近い将来中核となっていく事業だ。
その象徴が、自動運転技術を活用したMaaS専用次世代EV(電気自動車)のe-Paletteだ。多目的な活用が想定されるe-Paletteだが、その活用方法の幅を広げ無限とも言える可能性を示していくとともに、モビリティサービスとしてのビジネス性を利用者に示すことができれば、次世代モビリティ社会においてもトヨタは大きな存在感を発揮することができそうだ。
■新たなモビリティを象徴するe-Palette
e-Paletteは、移動や物流、物販などさまざまなサービスに対応し、人々の暮らしを支える「新たなモビリティ」としてトヨタが提案する自動運転車だ。世界最大の技術見本市「CES 2018」で初公開された。
低床・箱型の広大な空間が特徴で、荷室ユニット数に応じて全長が異なるサイズの車両を用意する予定で、ライドシェア仕様やホテル仕様、リテールショップ仕様など、サービスパートナーの用途に応じた設備を搭載することができる。「CES 2018」出展モデルは、全長4,800ミリ、全幅2,000ミリ、全高2,250ミリで、全長はおおむね4~7メートル前後のモデルを想定している。
トヨタ独自の自動運転技術を搭載するほか、パートナー企業の希望に沿う形で他社の自動運転ソフトウェアを搭載し、冗長性を高めることもできる。
運行管理システム「AMMS」と「e-TAP」を発表
2020年12月には、運行管理システム「AMMS(Autonomous Mobility Management System)」と「e-TAP(e-Palette Task Assignment Platform)」を発表した。
AMMSは、リアルタイムの移動ニーズに基づいて運行計画をフレキシブルに変更することを可能にするほか、車両の異常を自動で検知し、自動運転で車庫に回送するとともに、代替車を運行ルート上に投入することで安定した運行を支える機能を持つ。
一方、e-TAPは車両やスタッフの異常を「見える化」する技術で、運行に必要なスタッフに対し自動的に作業指示を行い、遅れや進みなどのタスク管理を実現する。1人で複数台を管理する場合などに真価を発揮するシステムだ。
【参考】AMMSとe-TAPについては「トヨタの自動運転車e-Palette向けの「AMMS」「e-TAP」とは?」も参照。
トヨタの自動運転車e-Palette向けの「AMMS」「e-TAP」とは? https://t.co/5sRlJHAaVE @jidountenlab #トヨタ #自動運転 #ePalette
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) January 5, 2021
今後は実証が加速?
e-Paletteは、2020年代前半に複数のエリア・地域で商用化を目指す計画だ。未来の話に思えるが、おおよそ3年以内の話だ。それまでに商用段階に持っていくことを考えると、まもなく実証を本格化させなければならない。
2021年夏には東京五輪・パラリンピックに導入され、サービス実証を積み重ねた。今後は、トヨタの実証都市「Woven City(ウーブン・シティ)」で実証を進めていく見込みだ。
並行して、MONET Technologies(モネ・テクノロジーズ)における取り組みへの導入も本格化することが予想される。各地でさまざまなサービスに活用されるe-Paletteの姿を目にする機会が徐々に増えていきそうだ。
【参考】MONET Technologiesの取り組みについては「【独占インタビュー】新時代は「サービスを運ぶ」!MONET Technologies」も参照。
【独占インタビュー】新時代は「サービスを運ぶ」!MONET Technologies https://t.co/8dqFonHdmA @jidountenlab #MONET #インタビュー #自動運転 #デマンド交通
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) August 23, 2021
■【まとめ】e-Paletteが自動運転サービスのポテンシャルを引き出す
自動運転を活用したモビリティサービスは、想像も及ばないほど大きなポテンシャルを秘めている。e-Paletteを活用したモビリティサービスの企画や開発は、このポテンシャルを広げていくことに直結する。
また、e-Paletteが発売される頃には、MaaSも今以上に進化・定着していることは間違いない。MaaSが、自動運転車がさまざまな用途に導入される基盤の1つとなり、サービス向上に向け相乗効果を発揮していく近未来の社会に期待したい。
【参考】e-Paletteについては「トヨタのe-Palette(イーパレット)とは?自動運転EV、東京オリンピックでは接触事故も」も参照。